![]() 家は小さい家から城まで全部で20種類がある。値段は約4万GP〜100万GPくらい。大工屋にいる建築家が「権利書」という形で 販売してる。お金は購入と同時に銀行から引き落とし。 権利書を購入したら、今度は土地探し。家を建てる土地には色々条件があって、その条件をクリアできた所にしか建てられないの。 この条件をチェックするために「土地計測ツール」というアイテムを使って土地をチェックする。これは一見望遠鏡にしか見えない 代物だけど。使ってる本人にのみ、家の幻像が視えて、実際に建てた時のイメージを掴むことができる。もちろんその場所に家が建て られるかどうかもチェックしてくれる。優れものなのだ。 こうして条件をクリアする所が見つかったら、魔法で空ルーンに位置をマークする。これを繰り返して幾つかの場所をピックアップ。 そして。当日の解禁時間直前にマークしておいた場所にリコールで移動する。解禁時間になったら、家を建てられる位置で権利書を チェック。すると、あらあら不思議。ものの1秒でお家が建っちゃうのだ。 土地は予約制ではないので、解禁された瞬間から早い者勝ち、建てた者勝ちの土地争奪戦争が繰り広げられる。敗者は、リコールで 次のマークした場所に移動して、またがんばるというワケ。 わたしのフェルッカのお家はライバルもなく、あっさり建てることができたのだけれど。 この度のトラメルでの家解禁はすごいらしい。フェーズ1のお城ですら、土地争奪戦が繰り広げられたらしいもの。 フェルッカだったら「ライバルを殺して」という方法が使えるかもしれないけど。殺人禁止のトラメルはまさに椅子取ゲーム状態 だったみたい。いったい何人が涙を飲んだのかな。 で、どうしてこんなことを今日お話したかと言えば。わたし達の頼れる(?)隊長がついに家を購入するからなんです。わたしは ざなちゃんと共にそこに居候する予定だから、余計気になっちゃう。 さてさて。結果は明日を御覧あれ。 ![]() 解禁時間中はマジックストームという嵐が吹き荒れる。家を購入した者は購入後。家を購入していない者は、遠慮なく。 この時間中に街をうろうろすると、マジックストームに巻き込まれて トラメルからフェルッカに勝手に飛ばされてしまう。同時にかばんの中にはトラメル石が入れられているらしい。トラメルには 帰られるんだから、大丈夫。そう安心できないんだよね。 これを好機とばかりにPK達が何も知らないトラメルからの珍客を虎視耽々と狙っているという話だもん。それもトラメル石で トラメルに続くゲートが開く瞬間を狙った犯行が多いんだとか。うぅ、怖いよぉ。 そういう理由から、わたしは宿屋から一歩も出ないで、このマジックストームの嵐が過ぎ去るのを静かに待っていた。もちろん、 隊長が無事に家を建てられることを祈りながら。 嵐の過ぎ去った後。宿を出て、通い慣れた道を歩いて魔法ギルドの前にやって来た。お店に入って、空ルーンと秘薬を購入する。 空ルーンは隊長のお家の場所をマークするためね。辛うじて空ルーンは買えたけど、秘薬は在庫がなかった。仕方がないので、 銀行にストックしてある分を下ろしに、1銀に向かって元来た道を戻る。 嵐の過ぎた街は少しずつ本来の活気を取り戻しつつあった。人々の話し声に耳を澄ますとやっぱり話題は「家」。無事建てられた者、 涙を飲んだ者。フェルッカに飛ばされた友人の心配をする者。などなど。土地争奪戦は相当激しかったみたい。 隊長は大丈夫だったのかな。 秘薬を下ろしたわたしは、また魔法屋に戻ることにした。実は、いつもより遅い時間に隊長達と待ち合わせしてるの。 マジックストームが収まらなかった時のことは考えていなかったけど、無事過ぎ去ったようだし。よかった、よかった。 直にざなちゃんも到着し、二人で隊長の家についておしゃべり。隊長の家に居候すると言ってた割に、ざなちゃんは購入予定の家の 情報を全く知らないらしい。わたしがそれらを伝えると、ぼそっとざなちゃんが呟いた。 「で、隊長の家はどこにあるの?」 それはわたしにも分からないの。いったいどこに建てたんだろぅ。まずは無事に家は建ったのかな。隊長が来たら分かることだけど。 そう言って二人で他愛のない会話を楽しみながら待つこと1時間。一向に隊長は来ない。どうしたのかなぁ。ざなちゃんは 待ちくたびれたらしくて、先に宿屋に帰ると言う。うん、わかった。了解。 そうして一人隊長を待っていると、偶然ねこが通りかかった。ねこ城の野望を果たせなかったねこだけど、無事今回は建てられたみたい。 ねこのお家にも今度遊びに行くことを約束した。やった。もう一つ空ルーン買わなくちゃ。 待ち始めて1時間半くらい経った頃、隊長が姿を現わした。そして開口一番叫ぶ。 「家がどこにあるか分からん」 は?一瞬自分の耳を疑ってしまったわたし。だって家の場所にマークしたルーンがあるのに。そう呟くわたしに隊長の絶望に満ちた声が 響く。 「そのルーン。ブロックされててリコできないんだ」 ・・・。つまり。隊長がマークした場所に誰かの家が建ったためにブロックされてリコールできない。そういうこと? わたしの言葉に隊長が大きく首肯する。・・・サイアク。 「ルーンに書かれた名称からどこか分からないのかな?」 通常、マークされたルーンには場所の名称が自動的に書き込まれている。もちろん自分で書き換えも可能だよ。 わたしの持ってるルーンはすべて分かり易い名称に変更してある。「ぺこの家」、「ブリテイン地下水道前」、「ブリテイン魔法ギルド前」 という具合。 で。問題の隊長の家の場所を示すルーンに書かれた名称はデフォルトのままで「北の森」。 ・・・。ブリタニア大陸に北に森がある場所が幾つあると思ってるんだ〜!! 隊長もルーンの名称と右手に海という2つのヒントを元にマジックストーム直後からずっとブリタニア大陸中を探し回っていたらしい。 おつかれさま。 「わたしも一緒に探そうか?」 そう言ったけれど、隊長は一人でがんばると応えて消えた。自分なりに当たりをつけながら探してるみたい。 更に待つこと数十分。「見つかった〜」と歓声をあげながら隊長が再び姿を現わした。おぉぉ。良かったぁ。 「すぐ行く?」 もちろん。ではでは、早速。改めて隊長がマークしてきたルーンを借りて、リコールの呪文を唱える。 視界が一変したら、鼻先にガーゴイルが立ってた。あ。ガーゴ・・・。馬に乗ったわたしとほぼ同じ高さだったから、思いっきり 目が合ってしまう。下を見下ろせば、左右にオークメイジも従えていた。 あ。なんかヤバいかも。って、うわぁ〜っ、いきなり攻撃してこないでぇ〜〜っ。大急ぎで扇動の旋律を奏でて、相打ちをさせておいて。 こちらから目をそらしている間に、隊長の家に向かってインディを走らせた。っが。しまった。鍵がかかってる。当たり前なんだけど。 あぅ。 ![]() だけど。間髪おかず現れた隊長が玄関の鍵を悠々と開けてくれた。隊長に続いて部屋に入る。オークメイジも侵入しようとしていたので、 隊長が鼻先で扉を閉める。ほぅ。助かった。 部屋を見回すと、窓際にエティンの死体があった。げげっ。家を無事発見して、自宅に入ろうとした所を教われたらしい。 余裕で倒したらしいけど。何も新居で倒さなくても・・・。 「早く死体消えないかな?」 えと。死体は約15分くらいで消滅するんです。だから一人で行動してる人は死亡した際は気をつけようね。制限時間内で蘇生して死体の場所まで戻ってこないと、 荷物の回収ができないんだから。わたし達は仲間が回収しておいてくれるので、この点安心かな。 ところで。隊長の大きいお家はわたしの家が二軒は入るくらいの広さだった。 「二階、行く?」 もちろん。階段を昇って二階に上がる。廊下を歩いて、奥の部屋に入る。一階よりは小さく、だけどわたしの家よりは大きい部屋がある。 部屋に入ってみると左側にもドアがある。ドアの向こうはベランダだった。ベランダに出てみると。おぉ。まさにオーシャンビュー。左側の海の水面がキラキラ輝いてるのが見える。うわぁ、景色いいな〜。 「ここにベンチを置いて一休みする」 なるほど。それ、とっても素敵♪ 階下の玄関を見下ろすと、先程のモンスター達が玄関に張り付いていた。よく見ると右手のほうには植物モンスター。 それに人を襲うので有名なダイアウルフまで。 「・・・。隊長、モンスターだらけですね」 「・・・うん。建てる場所失敗したかなぁ」 そんなことないですよ。ここなら、魔法スキルの訓練だけじゃなくて、魔法耐性スキルの訓練まで出来そうだし。もちろん狩りも出来るし。タイクツしないで済みそうです。 「そそ(笑)。前向きに考えよう」 はい。これからここで一緒に暮らします。よろしくね、隊長。 ![]() 部屋を見回すと、ベランダに続くドアのそばには書物机と椅子が。壁には時計も掛けられていた。いつの間に家具入れたんだろぉ。 廊下に出ると、スタンディングハープも置いてある。 階段を降り一階の居間に行く。 「おはよ〜」 ブラックや隊長が椅子に腰掛けてくつろいでいた。うわぁぁ、すっかり人の住む部屋になってる〜。 木製のテーブルや三客椅子。木製玉座(通称:王様椅子)は隊長専用。壁にはタンスやチェストが置かれている。 ちなみにこれらの作品はすべてざなちゃんのお手製である。 開いている椅子に腰掛けて、会話に加わる。 「合鍵作ろうと思ったんだけど、全部失敗して壊れちゃった」 ブラックと二人で笑ってしまったけれど、よく考えると合鍵がないと 入れないんだわ。隊長、わたし作りましょうか。 「うん」 じゃ、合鍵買いにブリテンまでお買い物に行ってきます。 「ついでに、家に置けそうなモノ買ってきてよ」 は〜い。了解。ブリタニアではどんなモノでも自給自足だから、合鍵すら自分達で作らないとだめなの。不便だけれど、 物を創造する悦びがあるのは事実、かな。 玄関を出て、立ち止まる。昨日買っておいた空ルーンをかばんから取り出した。ブリテンに移動する前に、この場所をルーンに マークしておかないとね。マークの呪文を唱えて、ルーンに位置をマーキングする。ルーン名称を「隊長の家」に書き換えてっと。 できあがり。 リコールでブリテインに向かって飛んだ。1銀のそばにある細工屋で合鍵用キーを40個程購入する。 失敗するから多めに用意しないとね。ついでに一階用の掛け時計も買っちゃった。 買い物ついでに魔法ギルド前までキールとヘブンを迎えに行って、また家に戻る。そのまま二階に上がり、部屋で合鍵作りに没頭する。 なんか外と下が騒がしいな。なんだろぉ。部屋に閉じこもってから十数分が経過していた。気になって、部屋を出る。 で、慌てて扉を閉めた。なんで二階にエティンがいるの?? ドアが再び開いて、隊長が入ってきた。 「ヘブンが玄関開けて、入れちゃったんだよね」 ・・・。合鍵作ってる真っ最中なので、この部屋には入れないでね。部屋を出る隊長の背中に向かって声をかける。 合鍵をすべて作り終えて、部屋を出た。廊下には誰も何もいない。だけど階下の騒音は依然として鳴り止んでない。階段を半ばまで降りて、絶句。モンスターが三体程いる。 「これじゃ隊長の家じゃなくて、モンスターハウスじゃないのぉっ」 わたしの絶叫に、全員が大笑いするけれど。笑ってる場合じゃないって。もぅ、モンスター入れるの禁止!! ![]() だけど会ってみたら、やっぱりぴょんはぴょんだった。ってあたり前なんだけれど。だけど、変わっていないことが嬉しかった。 これからフェルッカに連れて行ってもらうの。自宅を管理人に任せきりで放りっぱなしだし、そろそろ一週間ほどご無沙汰してるし。 多少は腐り始めてるかもしれないかな、なんて。 2銀で偶然会った隊長も一緒にフェルッカに行きまぁす。そういえばぴょんはGM(グランドマスター)魔法使いに無事なったんだって。 おめでと、ぴょん。 ![]() ゆいなに招き入れられ、室内に入る。居間の椅子に腰掛けた。ケーキを頂きながらもイマイチくつろげない。 「新婚家庭のジャマをしにきた友人って感じですね」 「うん」 以前来た時はぴょんの家だったけれど、今はぴょんとゆいなの家だものね。 隊長とぴょんが席を立ったので、しばらくゆいなと二人で話した。こうして話していても、やっぱりヘンな気分だな。 ぴょんとゆいなが結婚するなんて。すでに一緒に住んでいるというのに、ね。 ぴょんがどんどんわたしから離れていっちゃうよ。なんだかとっても淋しかった。 ![]() そこで知り合った二人の戦士も加えて、五人で狩りを楽しむ。戦利品は適当に分配しましょ〜。 ![]() 「昨日の人が悪すぎたんだよ」 いったいこの二人は昨日どんな目に遭ったのかなぁ。 魔法耐性を上げたかったので、火エレの攻撃目標がわたしになるように、先制攻撃だけさせてもらえるように彼らにお願いした。 包帯術で蘇生も出来るようになった隊長と快諾してくれた戦士達が回復を担当してくれるというので、安心して火エレの魔法攻撃を 受ける。火エレの吐き出す炎の塊は熱いけれど、ここはガマン、ガマン。 少しずつ、だけど確実に傷を負っていく。だけど回復を担当してくれる人達がいるので安心して、どんどん攻撃を受ける。 ところが。三人に任せっぱなしにして、一切わたしは回復をしなかった。だから、彼らが目を離した隙に大きな一撃を浴びて死亡。 うぅぅ。そんなぁぁっ。 隊長に蘇生してもらって、復活したけど。あぅ。これでまた名声が下がったかも。せっかく名声上げてるのになぁ〜。 やっぱり今のわたしにはデシートよりも蜘蛛城だわ。だってまだ一度も死んでないんだもの。 ![]() 木造の小さなざなちゃん家はなんとブリテンの街から徒歩一分の所にあった。目の前にロード・ブラックソーン城を望める素敵な場所。 ちなみにロード・ブラックソーンはブリタニアを統治する王ロード・ブリティッシュの親友なんだよ。 「ひゃぁ、めちゃめちゃいいトコだね〜。競争率高かったでしょ?」 え。競争率0倍だったの?信じられない。こんなに素敵な所で、ざなちゃんはこれからいろんなものを作るのね。 毎日逢いに来ようかな。だって、ざなちゃんが大好きなんだもん♪ そう言うと一緒に来てたキールが「ざなさんは僕のハニーです」と口を挟む。最近わたしがざなちゃんのことを話題にするたびにコレだ。 間髪入れず、「ざなちゃんは誰にもあげませんっ」と怒りも露に叫んだ。「だいたい、キールはざなちゃんに会ったことないでしょっ」。 そうツッコムと「前世から結ばれる運命なんです」ときたもんだ。きぃ〜っ。見えない火花がわたしとキールの間に走った。 刹那。とても静かに穏やかなブラックの声が響いた。 「知らないところでそんな話になってるのか」殺気に満ちたオーラが昇り、刀を抜いて「殺すか」と言いながら戦闘態勢に入る。 もちろんブラックの標的はキール。キールも悪ふざけが過ぎたことに気づいて、すばやく馬の影に隠れた。 さすがブラック。刀を抜いただけで背筋が寒くなっちゃった。普段物静かなだけに、迫力が違う。 明くる日。自宅でキールと二人くつろいでいると。すっかり自宅呼ばわりしてるけど、もちろん隊長の家です。てへ。 で、くつろいでいると。街から帰ってきたブラックからざなちゃんの工房の合鍵を貰った。やったぁ、これでブラック公認で ざなちゃんのお家に行ける〜。お泊りもしちゃおっと。 ざなちゃんのお家の合鍵をうっとり見つめながら、何気にブラックがキールにも同じように合鍵を渡すところを目撃してしまった。 思わず口走ってしまったのは、ざなちゃんを想うわたしの愛ゆえだったのかしら? 「キール、合鍵使ってざなちゃん家襲ったらダメだからねっ」わたしの言葉で口を「あ」の字にしたまま固まってしまったのはブラック。 そして当のキールは「くっくっく」と不気味な笑顔を見せる。あ。ヤバいかも。キ〜ル〜。 ブラックもざなちゃんの危機を悟ったみたいだった。「やっぱり始末するか」と呟きながら静かに刀を抜く。 ただならぬ殺気にキールも剣を抜きながら、なぜかわたしの元に歩み寄ってきた。そしてわたしの首元に切っ先を向けて 「人質の命がどうなってもいいのか」だって。 「むむむ。卑怯なり」ブラックが歯噛みしながら立ち尽くす。ふふん。キール甘いよ。軽く息を吸い込んで、わたしは剣に 臆することなく声高らかに言った。 「いいよ、キール。ざなちゃんのためなら喜んで死ぬわ」なんちって。でもこの言葉にキールは唸り、ブラックは破顔した。 「だって、死ぬの慣れてるも〜ん」わたしのこの言葉で、おふざけもおしま〜い。 とにかく。キール、ブラックの前で軽はずみなこと言っちゃだめだよぉ。ざなちゃんのことになると、冗談通じないんだから。 わたしが言う分には何も言われないけどね。わたしとざなちゃんは親友だもの♪ それにしても。ざなちゃんと結婚する相手はまずはブラックと決闘することになりそうだなぁ。わたし、勝てるかしら? |