吟遊詩人な日々
第71回 蜘蛛城
 うぅ。怖いよぉ。帰りたいよ。ふぇぇぇぇん。やっぱり来るんじゃなかったぁ〜。あの時、もっと考えれば良かった。好奇心に駆られて、 来ちゃったわたしがバカだったぁ〜〜。ふぇぇぇぇん。
 異形のモンスターを目の当たりにしてわたしは金縛りに遭ったように動けずにいた。今ほど、自分の至らなさを後悔したことはない、 こともないかな。てへ。
 今をさかのぼること数十分。わたしはヘブンと森に行くつもりで、その準備のために2銀に来ていた。そこで、ねこと偶然会ったんだ よね。ねこと会うのは久しぶりだったりして。
 ヘブンがねこと話をしているとき、わたしはたまたま通りかかったお友達とおしゃべりをしていた。そのときヘブンがわたしのほうを 向いて声をかけてきた。
 「これから、ねこと蜘蛛城に行くけど、ぺこも行かない?」
 蜘蛛城?
 「閣下狩りに行くけど」とねこ。
 閣下?
 「もしかして。・・・黒閣下??」恐る恐る、だけど確信を持って、訊ねる。
 「そ」
 やっぱり黒閣下。
 新大陸パプアの街の近辺にある蜘蛛城。テラサン蜘蛛族やオフディアン蛇族など凶悪なモンスターがいる。 そのダンジョン内で魔法と挑発でしか倒せないという噂のブリタニア3大モンスターの一角が黒デーモン。ヒト呼んで黒閣下。 一撃で瞬殺される者も少なくないとか。
 「物騒な話してるなぁ。退散させてもらうね」そう言って友達が慌てて立ち去ったくらいだものね。
 「ぺこ、どうする?」
 う〜ん。コワイけど。召喚魔法で呼び出される赤閣下は見たことあるんだけど。でも。黒閣下の実物が見てみたいし。
 「うん。行く♪」
 とりあえず死んだときのために、荷物はすべて銀行に預けた。ヘブンも同じく死んだときのためにかなり軽装になってる。 準備おっけだよ。ちょっとドキドキするね〜。あの黒閣下だもんね。
 このときのわたしはホント何も考えてなくて。相変わらずお気楽なものだった。←ちょっとは学習してよ、わたし。
 「なるべくフォローするけど、こっちも死ぬかもしれないから」ねこの言葉にわたし達の返事は至って簡単。
 「リコールの準備はできてる」とヘブン。
 「逃亡準備は完璧だよ」これはわたし。
 「ちょっとは戦えよっ」えへ。ごめんね。ねこ。そんなことちっとも考えてません。
テラサン城到着
 いざいざ、出発〜。もちろん移動はゲートで。
 真っ暗な城外に到着した。床には星をちりばめたように輝きを放つ石が埋め込まれている。夜目の魔法で視界を明るくする。
 城内にはどうやってはいるのかな??入り口らしきものがないけれど。ねこがテレポートの呪文を唱える。えっ、テレポートでしか 移動できないの?慌てて、呪文を詠唱して、テレポートで城内に入る。
 城内は物音一つしなかった。しんと静まり返っていることが、却って緊張感を誘う。城内に続く回廊を途中で降りて沼になっている 堀に足を踏み入れる。
 「ここに閣下をおびき寄せるから」とねこが堀を歩き始める。堀壁の前まで来ると、立ち止り、「ここで閣下をひっかけて、 すぐに上にテレポートする」とテレポートで壁の上、すなわち回廊に移動する。そして「で、ここから攻撃する、と。わかった?」
 なるほど。魔法だから、頭上からでも大丈夫だもんね。ふむふむ。らじゃぁ。
 ねこの姿が消えたと同時に姿を現わした。う。堀にゆっくりと巨大な影が近づいてくる。闇より深い漆黒の身体を持つ悪魔。
 う。身体中に鳥肌が駆け巡った。こ、こ、怖い。ヤだ。悲鳴をあげることもできない。歯の根があわず、カタカタと音を立てる。 足がすくんで、動けない。インディもぶるぶると震えてる。
 「怖い」あのヘブンまで呟いてる。タイタンや古代竜を倒すほどの戦士なのに。
 ねこが魔法の呪文を詠唱し始めた。すご。怯えもしないで。ちゃんと戦ってるし。だけど。黒デーモンの魔法の攻撃はあっという間に ねこに深手を負わせていく。このままだとねこが死んじゃう。ねこが死んだら困る。落ち着いて。落ち着いて。きっと大丈夫だよ。 少し深呼吸をして。ふぅ。回復の呪文を詠唱する。次々とねこを襲う魔法攻撃に解毒や回復を施して、助ける。
怖いよぉ。  ねこも負けてはいなかった。エネルギーの渦を集めた超強力魔法EVで黒デーモンを襲う。巨大なエネルギーの大渦巻きが黒閣下に どんどん傷を負わせていく。そしてついに倒した。
 はぁ。わたしとヘブンの大きなため息があたりに響いた。
 「さすが腐ってもGM戦士」って、ヘブン。・・・。
 さっそく黒デーモンの死体のそばにテレポートするねこ。
「戦利品を見たければ、降りておいで」怖かったけど。それはとても興味がある。死体のそばにテレポートする。
 ヘブンと二人で感嘆した。おぉ。うわぁ。すご〜い。まずお金が軽く1000GP以上あるし。うわ、これ魔法剣だ。 他にもいろいろある〜。え?これが黒閣下の標準戦利品なの。さすがモンスターも強力になると持ってるモノのレベルが違う。 お金だけ回収したねこに許可をもらって、その他の戦利品を貰う。わ〜い、新しい魔法剣ゲット♪
 新たなモンスターを求めてヘブンとねこが堀を移動した。一人でいるのが怖いので慌ててついていく。カサカサという音とともに テラサンアベンジャーと呼ばれる巨大な毒蜘蛛が二体現れた。二人の後を追ってすべるようにこちらに向かってくる。う。蜘蛛。キライ。 う。キモチ悪いよ。サイズもなんか巨大だし。う。
 急いで上の回廊にテレポートする。ここなら安心。ほっと一息をついていると、「回廊にも蜘蛛が出るよ」。って、ねこ。 うぅ。脅かさないで〜。
 蜘蛛を回廊の上から、ぼーっと見下ろしているわたしに、ヘブンから「扇動は?」と催促された。あぁ、そうだった。 忘れてた。怖くて思考回路が働いていないみたい。
 かばんに入れてあったリュートを取り出して爪弾く。だけど指が滑ってうまく演奏できない。
 一旦リュートから指を離す。軽く深呼吸して。わたしは吟遊詩人なんだからね。「挑発」はわたしの大切な武器なんだから。 よし。もう一度。ゆっくり弦に指をのせ、演奏開始。うまくいった。ヤツらが相打ちを始めた。
 リュートをかばんの中にしまおうとした時、回廊の端を這う生き物が映った。出た。蜘蛛。ホントに回廊にも出た。 出なくてもいいのに。逃げなきゃ。きびすを返して逃げようとしたトコロ、回廊下にいるあの二体の真上辺りで蜘蛛の歩みが止まった。
 ん?どうして襲って来ないんだろ。
 「下のやつと挑発したから、こいつ上から狙ってるんだよ」と、だから大丈夫とねこがねこが教えてくれた。なるほど、ね。
テラサンモンスター  ねこがいるからきっと大丈夫かな。とっても怖いけれど。ねこと一緒に攻撃魔法を唱えてみる。わたしの攻撃はねこよりもずっと威力が 弱いけれど。最近練習中の炎の魔法で回廊下の蜘蛛を攻撃した。安全圏にいるってすばらし〜。てへ。
 ヘブンは戦士として戦いたいらしくて、下に降りたがる。ねこの「サイクロプスより弱いよ」の答えに回廊下に飛び降りて、接近戦に 切り替えた。サイクロプスも強力なモンスターだけど、ヘブンの相手じゃないものね。じゃ、きっと大丈夫。
 一体はヘブン。もう一体はわたし。そして回廊の上にいる蜘蛛はねこが相手をする。時折、ねこが助け船の魔法攻撃をしかけてくれた。 おかげで、一人でなんとか倒せた。
 「ありがと、ねこ」そう言ったら、「腐っても、GM戦士だから」。
 あ。さっきのヘブンの言葉、根に持ってる・・・。でも。ねこ、ホントにありがとぉ♪
 「ううん、ぺこの味方だから♪」
 うん。わたし、ねこ大好きだよ♪
 「(笑)」
 二人で見詰め合って、にこにこしていると、ヘブンの「い〜もんだ」という声が聞えた。あ。いぢけちゃった。ヘブン。ヘブンのことも 好きだよ〜。と叫んだけど。時既に遅し。回廊の向こうに消えちゃった。あ〜あ。お子ちゃまだなぁ。
 「じゃ、ヘブンは置いて帰ろ」ねこの言葉にわたしも頷く。うん、そうだね。だけど、次の瞬間金縛りに遭った。 「でも。ここゲート開けないから各自で帰ってね」。ぐはっ。マジですか?
 「うん」えと、ここからだと、どこに帰れる?
 「大陸の街ならどこでも。あとはブリテン地下水道」そか。じゃぁブリテインに直接帰ることしようっと。と、かばんを開けて、 閉める。そういえば、もしものことを考えて「ルーン、置いてきた」。ルーンブックは持ってきていたので、 一旦パプアの隣街デルシアに行くことにした。
 デルシアで銀行に寄って、預けていた荷物を貰い受ける。今度こそ、かばんからブリテイン地下水道のルーンを取り出す。 二人に挨拶して先に帰宅した。今日はすご〜〜くお金稼いじゃいました。お祝い資金貯め順調です♪

第72回 毒エレ
かわゆい?  最近、白ドレスを新調しました。お気に入りの型なので、色違いであと三着ほど持ってます。
 今日もがんばってデシートでリッチ狩り。メンバはわたし。護衛とは名ばかりのヘブン。そして久しぶりのイグアナ。計三人。
 イグアナだけど。しばらく見掛けないなと思っていたら、なんとフェルッカにいたらしい。拾った石でゲートが開いたので入ってみたら、 着いた先がフェルッカだった、と。トラメル石がないので、帰るに帰られず。フェルッカでずるずると生活していたらしい。 よくPKにも会わず生きてたね。って、しっかり殺されたんだ。そか。あはは。
 さて、デシートに着いてみると、ヤケに人が多い。人が多いと獲物の争奪で脱落しそうだったので、人の少ないトコロに移動して 狩りをすることにした。みんな飛び掛るのが早いんだもん。
 移動した先には先客が一人いた。ファーストスターさん。もちろん、よろしくと挨拶を交わしたよ。一応、礼儀です。
 リッチを順番に倒していると。毒エレが現れたので、逃げることにした。だけど。なぜかイグアナは喜んで毒エレにかかっていく。
 「イグアナってぺこと同じで死にマニア?」とヘブンが呟く。わたしと同じは余計だけど、わたしも同感。相手は最強と謳われる毒エレ だよ?
 強力な魔法を使う人達が同じく戦いを挑む。毒エレ一体に六人はいるのに、なかなか倒れない。さすがに強い。ヘブンがイグアナに 戦い方を伝授してるけど、相手が相手だけにやっぱり死んだ。蘇生できる人がイグアナを蘇生を開始。同時に、他の人達で毒エレを 退治にかかる。
 イグアナが蘇生を完了したときには、毒エレの姿はなく、その跡には戦利品の山。死代として、それはイグアナにすべてプレゼント することにその場にいた全員一致で決定。
 毒エレを退治した途端。モンスターがわかなくなった。
 ヒマなので、ぼーっとしていると、ファーストスターさんが召喚魔法で赤デーモンやエレを召喚しはじめた。かっこいいなぁ。わたしも 召喚魔法が使えるくらい上級魔法使えるようになりたいな。
 歓声を上げるわたしの周りが急に暗くなった。振り返ると背後に赤デーモンがいる。とりあえず場所を移動しようと、インディに声を かけて、2,3歩横に移動した。っが。なぜか赤デーモンもついてくる。
 なんで? 今度はインディと軽く部屋の端まで走ってみる。やっぱり後ろから赤デーモンが追いかけてくる。だけじゃない、 気が付けば、4大精霊すべてがわたしにくっついてる。
わ〜い、鬼ごっこぉ〜♪   どうやらファーストスターさんが自分の召喚した精霊達をわたしにくっつけたらしい。そうとわかれば、おもしろいのでそのまま精霊達と 鬼ごっこをして遊ぶことにする。わ〜い。わ〜い。
 「変わった性格の持ち主だね」という呟きが聞えたのは、たぶん気のせい。きっと気のせい。
 出し抜けに部屋の隅に毒エレが現れた。リッチが出ない割に今日は毒エレがよく湧くなぁ。って、ターゲットはわたしですか? うそぉ。毒エレの緑色の身体が地を這いながらわたしの元に一直線にやってくる。うわぁぁ、逃げろ、逃げろ〜。
 敵に思いっきり背中を向けて、インディに退却命令を出す。狭いダンジョンの通路を走り抜ける。でも毒エレもすごいスピードで追いかけてくる。 その上魔法で攻撃までしてくるから、タイヘン。うぅ。痛い。回復呪文を唱えるけど、全然回復が追いつかない。
 一際強い攻撃を受けた瞬間目の前が真っ暗になった。インディから身体ごと投げ出される。うぅ。死亡。
 ゴーストになったわたしを蘇生してもらっている時、声をかけられた。誰だろ?無事蘇生してから、相手をまじまじと見詰める。
 あ。ペコ。「こんなトコロで会うなんて奇遇だね」とわたしと同じ名を持つ戦士は言う。うん。ホントに。でもこんな姿では会いたく なかったわ。
 死代としてわたしも全員から毒エレの戦利品を譲って頂きました。ありがとぉ。おぉ、1000GPある。すごい。
 その後、リッチロードの待つ通称LL部屋に移動して、狩りを楽しみました。
 「やっぱり、ぺこが一番死にマニアだよね」
 この一言がその後のわたしについてのすべてを語ってます。

第73回 PK?
 今日は北極にてのんびり魔法&調教訓練。ヘブンも一緒に来てます。 彼も調教訓練にやってきたんだよ。でもこのヘブンは同名だけど、戦士のヘブンとは別人だったりする。あぁ〜、紛らわしい。
 着いてみると、なぜか大量にオークキャンプが出現してる。少なくとも5つくらいはできてるんじゃないかな。
 調教訓練中にオークに邪魔されるのもシャクなので、キャンプの影響がないところで訓練することに決定。 だけど、最近スキルの上がりが悪いんだよね。
白熊ぺこ発見。  あ、ヘブン。調子はどう?やっぱり上がらない?なんか上がりにくいよね。こんなにがんばってるのにね。
 「あ、そういえばペットの名前・・・」とヘブンが呟く。
 名前がどうかした?調教されていない野生の動物と調教した動物の区別を一般の人にも分かるように動物の名前を変更するのが、 調教訓練する上でのマナーだったりする。
 「全部ぺこってつけた」
 ぐはっ。スキル上げのターゲット全部?
 「うん(笑)」
 ・・・。なんでわたしの名前なの?
 ぷりぷりしながら、場所を移動するしたら、まさにヘブンが調教したんだろうな、という白熊の「ぺこ」に遭遇した。 冗談じゃなくてホントに名前は「ぺこ」にしてたのね。はぅ。
 呆然とその「ぺこ」を眺めていると、一人の戦士がぺこに目掛けて剣を振り下ろした。あ、ぺこが・・・。なんか自分が殺される みたいでヤな感じだな〜。思わず熊が倒される様をじーっと見守ってしまった。
 熊を倒し終えた戦士が、そんなわたしが気になったんだろうか。声を掛けてきた。
ぺこが・・・。  「倒しちゃったけど、よかったのかな?」
 あ。それはいいんです。ただ・・・。
 「あ、同じ名前だ」
 そうです。そうです。だから、見てただけなんです。うちの仲間がそこら中でぺこってつけたらしくて。
 「他にも2体くらい殺しましたよ、ぺこ」と戦士がしれっと言う。
 ぐはっ。気がつけば横に立ってたヘブンがぼそっと「PKだ」と呟く。は?
 「PK=ぺこ、キラー」
 脱力。お願い、ヘブン。これからは調教した動物にわたしの名前をつけないでね。とほほ。

第74回 蜘蛛城再び
 北極からブリテンの2銀に戻ってきたわたし達は、この後の予定をどうするか検討した。やっぱりデシートでリッチ狩りかなぁ。 そう思うわたしと違って、ヘブンは更にスリリングなところを挙げる。
 「テラサン行きたいな」
 ・・・。ヘブンって、ホントに怖いもの知らず。そう思いつつも。しっかりわたしも乗り気だったりする。←ここらへんが死にマニアと 言われる所以。
 でも二人とも蜘蛛城にマークしたルーンは持ってない。先日の黒閣下狩りはそれどころじゃなかったので、マークできなかった んだよね。で。既に蜘蛛城に行ってるボブが2銀まで迎えに来てくれることになった。ボブの到着までに出発準備を整えておく。
 ボブと共に到着した場所は、ねこと来た時とはとまた違う所だった。
 タイル敷の道が奥のほうに続いて、両側には木々が植えられている。一部しか見てないから、蜘蛛城の全景がよくわからないけれど。 ここはお城に続く外苑通りになるのかなぁ。
 タイル敷の道のそばにある人工の池の前で戦うらしい。少し道との間に高さがあるので、ここに蜘蛛をひっかける、と。なるほどね。
 右手のほうから、ぞろぞろとテラサンアベンジャーが現れた。丁度わたしは池のそばの木陰に立っていた。こっちに向かってモンスター は移動しているわけで。ここにいたらアブナイよね。逃げなきゃ。えと、どこに逃げればいいんだろぉ。えと、えと。んと、んと。 焦れば焦るほどどうしていいのか分からなくなる。
 突然、視界が灰色になった。ボブが不可視の魔法でわたしの姿を消してくれたらしい。ほっ。とりあえずこれでモンスターからわたしは 見えない。
安全圏にいるぺこ。  「ぺこ、そのままで聴いて」
 はいはい。なんでしょう?
 「その位置、かなりキケンだから。蜘蛛誘導するから、こっちの池の上にテレポートしてくれる?」
 うん。わかった。蜘蛛が真横を通っていくけど、この際気にしない。早口でテレポートの呪文を唱えて、池を囲む塀の上に移動した。 あっという間に池の周りにモンスターが集まり、ボブやヘブンに向かって魔法攻撃をしかけてきた。うぅぅ。やっぱり来るんじゃ なかった。怒涛のように押し寄せる後悔の波に呑まれるわたし。
 「やっぱり、わたしにはここは向かないから帰ろうと思うんだけど」
 「わかった、送っていこうか?」と優しい言葉をかけてくれたのはボブ。
 「なんで?平気でしょ、このくらい」とあっさり言い放ったのはヘブン。
 とにかくブリテンに戻ろうとリコールを唱えようと思ったとき、池の縁にねこが現れた。
 「ここにいたんだね」
 ねこが現れた瞬間帰る気が失せた。←現金なのだ。
 みんなと一緒に魔法でモンスターを攻撃する。ねこやボブは扇動によって相打ち状態のモンスターに、剣の精霊やEV (エネルギー大渦巻)を使う。ヘブンもEB(エネルギー魔弾)の攻撃魔法を唱える。わたしは失敗しつつも、同じくEBを使って攻撃。 だけど。どちらかというと回復係かな。相手が相手なので、なるべく早め早めに行う。
 倒しても倒しても、びっくりするほどわいてくるモンスター。戦利品が持てなくなって、ねこが銀行に預けに戻ったくらいの数を今日は 相手にした。
 ちなみに本日の死者は1名。わたしじゃなくて。ヘブンでした。

第75回 
 ついにトラメルでも家が解禁になった。先日がそのフェーズ1(城)の解禁日だった。ということで今日は北極にお城見学ついでに 調教訓練に行くことにした。でもホントは調教よりお城見学だったりする。
 わたしより一足早く見学に行ったざなちゃんによれば、一直線に島を走れなくなったらしい。う〜ん。実際に行って確かめてみよっと。
 北極にマークしてあるルーンを使ってリコールする。景色が一転する。肌に突き刺さる冷気が火照った身体に心地良い。
 辺りを見回したけど、お城らしきものは建ってなかった。かわりにオークキャンプがそこかしこに出来てた。オークが大量にわいてる。 狩り目当てじゃないので、無視して雪豹相手に調教訓練をしながら、島を北上する。
見えてないけど、右側にも城あります。  なんだ、一直線に走れそうだけどな。そう思った矢先。茶色の壁が正面に見えた。大きなレンガ造りの建物がふんぞり返ってる。 こんなトコにこんなモノあったっけ??というか、これ、もしかして、城?
 うわっ、大きい。建物を呆然と見上げる。その上ざなちゃんの言った通りだ。こんなトコに建ってたら、一直線に走れない。
 島の北側はほとんど城で埋め尽くされてた。隣近所すべて城、城、城。この島の先住達のほうが余所者に見えるほど、圧倒的な存在感を 持ってそそり立っている。
 確かお城の値段って100万GPくらいじゃなかったっけ?世の中にはお金持ちが多いのね。あぁ、お城の中を探検したいな。 誰か出てきてくれないかな。誰かわたしにお城下さい。