ドビン星人の逆襲

 20XX年−。ヤカン星は、ドビン星から飛来した円盤群の総攻
撃をうけていた。
 このふたつの皇が、全面戦争を始めた原因は、複雑である。
 ドビン政府の調理庁官−クック・ドビン−が、ヤカン星人らしき
人物によって暗殺されたのだ。しかし、これくらいで全面戦争をし
かけるはど、ドビン星人は好戦的ではない。最初は、平穏な話し合
いをする目的でヤカン星に調査船を送ったのである。

「誰が殺した、クック・ドビン?」ドビンソン・クルーソーが訊ね
た。
「……」ヤカン星人は、何も答えない。
「誰が殺した、クック・ドビン?」ドビン・ウイリアムズも訊ねた。
「……」しかし、やはり何も答えない。
「むむ、そっちがその気なら、こっちはこの気だ!」長官ドピンフ
ッドはそう言い捨てて、ヤカン星を後にした。

 それから、全面戦争が起こったのだが、これが、またドビン星人
の早とちりで、ヤカン星人が、何も答えなかったのは、ただ、寝て
いたからなのである。彼等は、昼問寝て、夜活動する。これを、や
かん活動というのだが、ドビン星の連中が、それを知らなかったの
は、悲劇としかいいようがない。
「お願いです!援軍をよこしてください!」ヤカン政府は、キュウ
ス星に無線で助けを求めた。
「おいどんらは、ドビン星にも.恩義があるよってに、それはでき
んぱい」キュウス政府は、きゆうすう弁で頼みを断わってきた。万
事キュースである。
「だめだー、俺たちは、もうやかん、いやあかん。ヤカン星もこれ
までだー」
 と、その時である。茶器型星人の中でも、最強を誇る、鉄びん星
からロポットがやってきたかと患うと、ドピン星人の円盤をかたっ
ぱしから、壊しはじめたのである。

 こうして、ヤカン星に平和が戻った。
「ありがとうございます。せめてお名前をお聞かせください」ヤカ
ン星人は、ロポットにむかって言った。
「わたしは、鉄びん28号といいます」
 くだらないダジャレだったが、戦火にあぶられてヤカン星人たち
は、沸きに沸いたのであった