活動報告

自動車運転に関する刑罰改正についての要望(追加)

法制審議会刑事法(自動車運転に係る死傷事犯関係)部会 部会長殿

北海道交通事故被害者の会 前田敏章

自動車運転に関する刑罰改正についての要望(追加)

刑罰改正に向けての私たちの切実な願いと意見については、10月25日に開催されたヒアリングの場で提出した要望意見書に基づき述べた通りです。
本要望は、先日11月18日、札幌市で開催された「世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム」(主催:北海道交通事故被害者の会 後援:北海道、北海道 警察、札幌市 参加:約70人 ※案内チラシをヒアリングでの発言資料として提出済)において、シンポジウム「交通死傷ゼロのための刑罰見直しを」が行わ れましたので、提出済の要望意見に追加してフォーラムでのアピール文を提出させていただくものです。
本フォーラムのテーマは「交通死傷ゼロへの提言」で、3部構成で行われました。

第1部「ゼロへの願い」では、被害者・遺族からの痛切なメッセージがあり、加害者へのあまりに軽い裁きについての意見が述べられました。第2部が前記シン ポジウム。地元新聞(添付)が報じたように、当会提出の要望実現によって、これくらいの犠牲は仕方ないとする人命軽視の麻痺した社会を改めなければならな いということが、弁護士等の報告、会場からの発言、文書発言(添付)によって確認されました。また,裁判で危険運転致死傷罪の適用が可能とみられる事案で すら,検察庁が無罪(あるいは訴因変更)をおそれて同罪での起訴を断念したことがあるという,運用上の問題も明らかになりました。そして第3部「ゼロへの 誓い」では、道と道警からの挨拶がありました。

参加した市民、被害者・遺族などから終了後に寄せられた感想意見を以下抜粋して紹介します。
「危険運転の危険の判断が社会通念上一般的な感覚ではなく、加害者側の主張や法的解釈により為されているのはおかしい。法は誰を守るため、助けるためにあ るのか。現行法は国民の期待を裏切るものである」「飲酒ひき逃げが常識にならないように早く法改正してほしい。助かる命が増えるように」「法律は、事故を おこす側の加害者にやさしく、被害者を守っていない気持がします。矛盾を感じます」「刑罰見直しは、事故を無くす、減らすために重要な課題だと思いまし た。加害者は保険金支払で、罪のつぐないが終わったと勘違いをしてはいけないと思います」

主催者と参加市民の共通の思いが、集会の最後に採択されたアピール(下記)に集約されております。交通犯罪に対しては、悪質運転はもとより、例え過失であっても、命の重みに見合う適正な刑事罰が科せられ、それが悲惨な交通死傷被害の根絶につながることを切に望むものです。

〈 11月18日の北海道フォーラムで採択されたアピール文 〉

私たちは、国連が提唱した「世界道路交通犠牲者の日」に、今年も「交通死傷ゼロへの提言」をテーマに集いました。
理不尽に通り魔殺人的被害で命や健康を奪われる交通死傷は、決してくり返してはならない悲劇です。しかしクルマは「静かなる大虐殺」と形容されるように、その凶器性をもった使われ方が今も続いています。根底にあるのは、人命を軽視しスピードと利便性のみを追求する麻痺したクルマ優先社会です。
私たちは、今検討されている刑罰改正が、交通死傷被害「ゼロ」につながるものとなることを願います。法は、そして社会は、悪質運転はもちろん。死傷被害につながる「過失」の不注意運転も決して許さないという規範を示すべきです。許容できる事故など無いのです。
犠牲を無にすることなく、刑事罰が交通犯罪の抑止力となり、「誰もが加害者になるかもしれないから、罪は軽く」という負の連鎖が断ち切られることを強く望みます。
Nov.18.2012  世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム

添付資料
・北海道新聞記事 2012年11月20日夕刊
・フォーラム主催者資料より
手記「母は殺されました。刑法の改正を求めます」(清水孝太)

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