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2012年のワールドディ・北海道フォーラム
成功裡に終えました。

【開催報告】交通死傷ゼロへの提言~世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム2012~

11月18日午後、この日の札幌は、みぞれに強風という悪天候でしたが、会場の「かでる2・7」には、約70人の市民、関係者(被害者の会の会員は28人)が集い、「ゼロへの願い」「ゼロへの提言」「ゼロへの誓い」という3部構成のプログラムに熱心に参加されました。

最初に、北海道で昨年のワールドディからこの1年間で新たに交通死された184人(今年に入ってから159人)をはじめ、これまでの日本と世界の数多くの 犠牲者に黙祷を捧げたあと、今年も小栗幸夫さん(千葉商科大学教授)を介して届けられたロードピース会長のショードリィさんからのメッセージ(後掲)が読 み上げられ、世界の方々と連帯しての取り組みであることを確認しました。

主催者挨拶の後、「ゼロへの願い」として、二つの訴えを受けました。ご自身が怪我をされた札幌市の七尾博之さんは、松葉杖で登壇し、「重症被害から1年。治療のため、社会・仕事復帰出来ず、苦しんでいます」と、理不尽な被害とその後の苦しみを語りました。
そして室蘭から駆けつけた土屋めぐみさんが「父と兄を奪われました。こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにして下さい」と題し、悲痛な訴え。ご主人と息子さんを奪われたお母様の土屋京子さんもお二人の遺影を抱いて登壇されました。
苦しみと悲しみの中、悲劇の根絶を願っての訴えに、参加者は深い感銘を受け、第2部「ゼロへの提言」に移りました。

第2部は、「交通死傷被害『ゼロ』のための刑罰見直し」をテーマにシンポジウム。パネリストは3人。
まず代表の前田が要点をスライドで示しながら、10月25日の法制審議会で行った要望意見(要望意見の詳細はこちら)の報告を中心に、諮問に至る経過、刑罰適正化に向けての私たちの願いと取り組み、根本問題としてのクルマ優先社会とこれを支える交通犯罪を軽く扱う刑法と裁判の問題について報告・提起しました。
続いて、当会副代表の内藤裕次さんが、遺族であり弁護士であるという立場から、法制審へ補充意見書として提出した要望書をもとに、刑法改正問題について報告。

最後に、当会会員はじめ多くの事件の代理人を務めている、青野渉弁護士が、代理人を務めた事案例から、刑法改正問題についてコメントしました。
3人の発言を受けて、会場の参加者4人(会員遺族2名)からも積極的発言がありました。

第3部「ゼロへの誓い」は、第1部の願いと第2部の提言を受けて、これを行動として法制審や国会に届けるべくアピール(後掲)が提案、満場の拍手で採択されました。

最後に、今年もこのフォーラムを後援した道と道警から、それぞれ、環境生活部くらし安全局 くらし安全推進課課長および、道警本部交通部 交通企画課 管理官から挨拶を受け終了しました。

北海道フォーラム「交通死傷ゼロへの提言」・アピール

私たちは、国連が提唱した「世界道路交通犠牲者の日」に、今年も「交通死傷ゼロへの提言」をテーマに集いました。

理不尽に通り魔殺人的被害で命や健康を奪われる交通死傷は、決 してくり返してはならない悲劇です。しかしクルマは「静かなる大虐殺」と形容されるように、その凶器性をもった使われ方が今も続いています。根底にあるの は、人命を軽視しスピードと利便性のみを追求する麻痺したクルマ優先社会です。

私たちは、今検討されている刑罰改正が、交通死傷被害「ゼロ」 につながるものとなることを願います。法は、そして社会は、悪質運転はもちろん。死傷被害につながる「過失」の不注意運転も決して許さないという規範を示 すべきです。許容できる事故など無いのです。犠牲を無にすることなく、刑事罰が交通犯罪の抑止力となり、「誰もが加害者になるかもしれないから、罪は軽 く」という負の連鎖が断ち切られることを強く望みます。

Nov.18.2012  世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム

RordPeace代表のショードリィさんからのメッセージ

2012年11月18日(邦訳は小栗幸夫氏)

Dear Japanese Friends who observe the World Day of Remembrance for Road Traffic Victims 
世界道路交通犠牲者の日の催しに参加する日本のみなさまへ

2012.11.18   Brigitte Chaudhry President of RoadPeace, UK
Initiator of World Day of Remembrance
ブリジット・ショードリー イギリス・ロードピース会長
世界道路交通犠牲者の日・創始者

Five years have passed since we started our communication - between Japan and London, UK - about the World Day of Remembrance for Road Traffic Victims, in 2007. It has been encouraging to know that our sense of anger against road violence and our determination to put an end to these tragic events are feelings in common with all, irrespective of culture and language differences.
2007年に、日本とイギリスの間で、世界道路交通犠牲者の日について情報交換をはじめてかた5年がたちました。道路の暴力に対する憤りと、この悲劇を終わらせなくてはならないという決意が文化と言葉の違いを超えたものであることを知り、私たしは勇気づけられました。

I am particularly happy to know that World Day events in Japan take place at various cities and towns there, i.e. in Sapporo, Akita, Ishinomaki, Fukushima, Tokyo, Nagoya, Osaka, kameoka ,Hiroshima, Karatsu and others, and people there are thinking of developing a Japan Forum for the World Day, which will support local events there and will support networking people of good will.
私が特に素晴らしいと思うことは、札幌、秋田、石巻、東京、名古屋、大阪、亀岡。広島、唐津など日本の各地でワールドディの催しが開かれ、各地の催しを支援し、善意あるひとびとをつなぐために、ワールドディの日本フォーラムをつくることが考えられていることです。

I am sure that the network of Japanese people will become an integral part of a global network of people who will act to abolish violence on the roads all over the world. 
日本の人々のネットワークは、必ずや、道路上の暴力を根絶しようと行動する世界の人々のネットワークにつながると信じます。

Let us today remember our loved ones, who either passed away or are suffering with injuries resulting from road violence, and let us be glad that we are empowering ourselves by sharing the sorrow, anger and determination on the World Day.
今日は、道路の暴力で亡くなった愛する人たちを偲び、傷害に苦しむ愛する人たちを思い、また、ワールドディの当日、悲しみと、怒りと決意をシェアすることで私たち自身を勇気づけようとしていることを喜びましょう。

Sincere best wishes to all my known and unknown Japanese friends, my thoughts will be with you.
私が知る日本の友人のみなさん、まだお会いしていな日本のみなさん、私の気持ちはみなさんとともにあることを心からお伝えします。

〈再掲 フォーラム要項〉

■主旨 国連とWHOが提唱した「世界道路交通犠牲者の日」(11月第3日曜日)に連帯し、道路交通による犠牲者を追悼するとともに、悲劇を繰り返さず、交通死傷 被害ゼロを実現するための課題と方策について、被害者のメッセージ、報告、提言などを通して、参加者とともに考えます。
■とき 2012年11月18日(日) 13:15~15:45
■ところ 「かでる2・7」520研修室108人定員) 入場無料
(札幌市中央区北2条西7丁目)
■主催 北海道交通事故被害者の会
■後援 北海道、北海道警察、札幌市
■協力 クルマ社会を問い直す会、交通権学会北海道部会
道はだれのもの?札幌21、スローライフ交通教育の会

プログラム

(1)ゼロへの願い:追悼と被害者からのメッセージ

◇ 「父と兄を奪われました。こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにして下さい」
◇「重症被害から1年。治療のため、社会・仕事復帰出来ず、苦しんでいます」

(2)ゼロへの提言:シンポジウム / テーマ:「交通死傷被害『ゼロ』のための刑罰見直しを」

自動車運転に関する刑法改正が法務省・法制審議会で検討されています。京都府亀岡市で起きた無免許運転による、小学生を含む11人の死傷被害を出した事件の被害遺族の訴えがきっかけでしたが、北海道でも危険運転による被害は止みません。交通犯罪の刑罰はどうあるべきなのでしょう。
 本シンポジウムでは、交通死傷被害を「減らす」だけでなく、「ゼロ」にするための刑罰の在り方を、参加者の皆さんとともに考え、法制審や国会にその声を届けます。

北海道交通事故被害者の会では、自動車が使い方によって「凶器」にもなっている深刻な現状から国民の命を守るために、過失であっても行為責任から重く罰することが不可欠と考え、危険運転致死傷罪の適用拡大、自動車運転過失致死傷罪の最高刑の引き上げ、「逃げ得」解消などを求めています。

発言予定者
青野涉 弁護士
内藤裕次(北海道交通事故被害者の会 副代表 弁護士)
前田敏章(北海道交通事故被害者の会 代表) 

(3)ゼロへの誓い:関係機関(北海道、北海道警察)からの挨拶とアピール採択

関連行事 世界道路交通犠牲者の日 「いのちのパネル展」
11月19~23日   札幌地下街オーロラスクエア
協力:札幌市・中央区交通安全運動推進協議会

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