99年04月24日放送
●私の半生●
らも:今年はね,わりと平穏 無事だったね

チチ: なんか らもさんにとって こういう事件があったな みたいなのはないんですか?

らも:それはね去年の10月にあったの。あのね また 躁病が出てしまったの。

チチ:えっっっ!出たん? それは知らんかったな

らも:東京でコピーライターの 仲畑貴志さんと会う段取りになってたのね。 それで仲介してくれたのは,雑誌のダヴィンチの岸本さんって人だったんだけど。で,その頃俺は躁病が出ててね。
どういうことかっていうと,めっちゃくちゃイラつくワケよ。早くしよう早くしようってするのよね。
東京へ行く 移動日のときに夜中の2時ぐらいに出かけて新幹線に乗ろうとした。気は焦っているわけ。俺の寝泊まりしてる 部屋から事務所見たら明かりがついてるから,入っていったら,山内が1人でコンピュータでなんか打ってたのね。 んで、

「山内,今から東京行ってくるわ」 って言ったら
「え? 今,夜中の2時ですよ」 っていわれて(笑)

じゃあ始発が出るまで俺の相手してくれ って言ってバカ話をずっとしてたのよ。だいたい4時半ぐらいになったから もうボチボチ行けるやろうと,新大阪まで行って始発の新幹線に乗って行ったのよね。
で、待ち合わせは赤坂東急ってとこやってん。俺は仲介してくれている岸本さんの名刺にね,岸本さんの携帯の番号とか, うちの会社の番号とか,ようするに必要な情報は全部その名刺に書き込んでたわけや。その名刺がまぁ命綱だったのね


で、タクシーの運転手さんにここに書いてある赤坂東急ってとこに行きたいんですけど ってその名刺を渡したんやね。 そしたら運転手さんがいろいろ道迷いはって,迷ったあげく赤坂東急に着いて どうもありがとうございました って言って, その名刺をそのまま持っていってしまったん。それで大パニック に陥ってしまったの,おれは。
どうしようと思って。おれがこの赤坂東急に今居るということを どうやって知らせたらたらええんやろう ってずっと考えたんや。 そしたらこのホテルに宿泊して寝城にして,時々 そこのロビーへ何時間か置きに行ったらええやろうと。


チチ:ちょっと待って らもさんやっぱそれおかしい(笑)

らも:おかしいねん

チチ:時間分かってるわけでしょ,何時に待ち合わせって。その時間にそこへ行ったらええだけの話やん。それをなんで宿とらなあかんわけ?(笑)

らも:わかれへんねん(笑) それでフロントにいって部屋に泊まりたいんですけど って言ったら
らも:「今日はあいにく団体さんが着てらして部屋は一つもあいてません って言われて」 そこでまたパニックになったわけよ。 どうしたらええんやろうと。で、この辺から思考能力がもぅ無くなってしまってるんだけど, どっかこの近くのホテルを とってそこを寝城にして


チチ:なんで寝城にせなあかんねん(笑) 会う日,間違ってたわけちがうでしょ その日に会うわけでしょ?

らも:時計とか見てないわけよ。待ち合わせ時間とか覚えてたけどイラちが来て。もう東京駅の近くの ホテルをとってとにかく眠ろうと思って,で東京駅の近くのホテルで眠ったわけよ。んで,起きたら 何時かよく分から へんねんけど,しかし もうこれだけ俺は時間つぶして眠ってしまった以上はもう仲畑貴志さんと会う時間は とっくに過ぎている と判断したんやね。コレはもうアカンと。連絡も無いまま会わないままに過ごしてしまったと。で, 大阪に帰ろうと

チチ:むちゃくちゃやな それ(笑)

らも:で,大阪へ帰ろうとしたら どうも変やねん。京都で降りてしまったんや。

チチ:ちょっと 待ってーな(笑) ホンマにもう東京から新幹線に乗ってしまったん? おかしいわ それ。
自分の事務所の電話番号ぐらい覚えてたんとちがうん?

らも:いや、覚えてなかった。あのね、もうパニくってるからそういう数字みたいなものは 一切でてこないのよ。お金は持ってたから切符は買った。それで京都で降りたんや。で、大阪へ向かわねば ならないと思ったんやけど,京都の駅ってね めっちゃくちゃいろんなコースがあるんや。それ見てる間にワケ わからんようになって,高槻行きの電車に乗ってしまったんや。それでとうとう 高槻で降りて半日ぐらいね, 高槻の駅で じーー っとしててほとんどホームレス状態になって。

チチ:ちょっちょっと待って下さい。それはホームの外 改札を出たんですか?

らも:出てん。


チチ:なんで出るんや 高槻で(笑) なんで?  それで街をうろつくのもしないで

らも:駅のホームでジーッと 喫茶店も2回ぐらい入ったけど 駅のホームでジーッと  どうしたらええんやろうと まず、まず、ここはどこやろう ってのが分からへんかったわけよ。

チチ:えーっ? 場所が?

らも:うん,駅が。どこへ降りてしまったんやろう ってのが分からへんかってんね。 それでとにかく外を歩いてみようとおもって 交差点のりっきょう のところへ行ってみたら下で 土井貴子が演説してたの(笑) で、うわ俺あんなとこ降りていくんイヤやと思ってまた駅のホームのとこ戻って, うんこ座りして じーー っと考え事してたの。
それで,そのうち夜が来て,土井貴子も去ったからね、 これはまたどっか泊まらなしゃあない と思ってね。商店街の入り口に うどん屋があったんや。 そこへ入って酒飲んで
「この近くにビジネスホテルみたいなのありますか?」 って聞いたら
うどん屋のオヤジが 
「う〜ん ある。 あるが ものすごい行きにくい場所にある。ここをまっすぐ行ったら 阪急の高槻があってそれを越えて下へ降りて商店街をずっと行って どこそこのどこそこで左へ行ったら 確か ビジネスホテルが一軒あったハズや。」
とか言われて 「わかりました」って言って酒3杯飲んで,それで言われた通りに行って 途中いろーんな人に 道聞いて。途中自転車に乗った男の子がキーっと来て「中島らもさんでしょ。ファンなんです。 いつも愛読してます」って言うからね
「泊めて」って(笑)。


チチ:家に泊めて 言うたん?

らも:うん 泊めて って。そしたらその男の子が「いや 今日はちょっと 僕は都合が悪いんですが、 友達の家やったら泊めてくれると思うんですけど」 っていうから 「いや ええわ そんなん ええわ 俺行くから。」 って言って。で、ついにビジネスホテルを探し当てて そこへ泊まって。
で、夜やっとすこし落ち着きがでてきたのね。 連絡先の番号とか少しずつ思い出してきたわけよ。そこへ連絡入れて。家の電話番号とかもそれまでは出てこなかったんよ。 で、家の電話番号も思い出したから家に電話して,嫁さんがでたから こうこうこういうことで高槻のホテルに今おるねんけど,君ちょっと来てくれへんやろうか って言って。オートバイで来てもらって。だいぶ,嫁さん来たら安心して落ち着 いて で、タクシーで家帰って。それで 10日ぐらい養生してたんかな。
医者へ行こうかと思ったんやけどね,医者へ 行ってもこれ以上薬が増えるだけだと思ったわけよ。で、これは安静にしてるのが一番良いという判断を自分でして  10日間ぐらいずうっと家で寝てたの。 そんなら 少しずつ少しずつ治ってきて。
で もう大丈夫やろう ってときに  この らもチチの仕事が入ったんや。らもチチへ行く日が来たんや。で,朝からどうしようかなぁと できるやろうかなと 思って。でもまぁ喋ることは喋れるし,神経的にもだいぶ落ち着いてるし,チチさんもおるしできるやろうと。 マネージャーの大村アトムも一緒に来てくれるし。で、アトムに家まで来てもらってタクシーでこのスタジオまで来て  それで何とからもチチは録音できたわけ。


チチ:そんなん僕全然感じひんかったよ。普通やったで。

らも:分からへんかったやろ。もうほぼ治ってたんよ。それでまたそのあと何日かちょっと養生して  でまぁ治ったってことになって,今の私が在るわけやけや。

> チチ:おぉー(笑) 全然分かりませんでしたね。

らも:でも向こうもビックリしたと思うよ。なたはたたかし さんも東京で俺を待ってんのに高槻に いるっていう連絡が入ったんだもん。

チチ:らもさんな 今の話聞いてな,とりあえずどっかに 泊まりたいってのがものすごいあったみたいやな。 なんしかどっかで一休みせなあかん みたいなね。そやから高槻のビジネスホテルで安心したみたいなね。

らも:拠点が欲しかったんやね。

チチ:いやー でも自力で治ったということはすごいですよ。自力で10日間ぐらいの養生で治ったからもぅ自分で抑制というか, そういうことはできるいうことやわ。

らも:ある種の感じがあんねんね。来るときにはね。 あ, 来てんのちゃうかな っていうね。 うすーくだけどね ひょっとしたらこれ来てんのちゃうかな って思うときはあるねん。そういうときは飲んでる 精神安定剤を普通よりちょっと多めに飲んだりとかね。そういうことでバランスとったりして来たんやけど, 去年の暮れのは もぅ ドカーンと来おったからどうしようもなかった。

チチ:いやー 全然しらんかった。しんどそうな時はあったけどカゼでしんどい言うてるだけやから,そんなことは全然感じひん かったね。でもまぁ今年になってからはそういうこともなしに,平穏無事に  あんパンに凝ったというぐらいですね。 毎日2個づつ食べたというぐらいですか(笑) それと 桃の天然水 に 凝って。

らも:めちゃくちゃ太ってしもてん。みなさん気を付けてくださいよ。桃天 を飲みながら  あんパン を食ってたらめちゃくちゃ太りますよ。

チチ:らもさんの今年の大事件はあんパンに凝って桃の天然水を飲み過ぎて太ったという事でしたね。


RAMO-TITI

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