OPTIMOD FM8100 シミュレート機の特性

 一部の特許モジュール類の割愛とVCA回路をオリジナルの物で構成したシミュレート機の特性を示します。


ノイズ特性
 便宜上-120dBまでレンジを落としていますが、平均レベルで-90〜-100dB程度のノイズレベルとなっています。50Hz・100Hz・150Hz・250Hz・350Hzに大きな信号が出ていますが、これは基板を未だケースに収めていない事によるシールド処理が不完全な事に起因する電源ハムによる物です。特に50Hzは-70dBとかなり大きな物になって現れています。
 また、回路の増設から起こる電源容量不足も原因しているようです。当初の予定では±15Vで300mAを予測していましたが、現在は500mAの電源を確保していますが、それでも若干不足している様子です。実際に+側で0.6V位の電圧降下が生じています。ケースに収納する際にはハムが最も減る位置にフレームグラウンドを取り、電源も1A程度を確保出きるように改造が必要になります。(GRメータの制御回路は別電源で構成させます)
 

周波数特性
 5Hz〜20KHzまでの正弦波スイープによる周波数特性を示します。赤いラインがMAXホールドによる結果です。リミッタのスレッシュショルド以下での動作のため、プリエンファシス・ディエンファシスカーブは現れません。以前測定した際には400〜500Hz付近での5dB減衰が見られましたが、各バンドのフィルタ回路の見直しをしたところバンド2のLPFの減衰が300Hz付近から発生しており、回路図を見直したところ誤っていました。これを改修したところ特性はほぼフラットになりました。



ひずみ特性
 正弦波による各周波数の高調波レベルを示します。


基本波315Hz-9.5dBで2次高調波レベルは-76dB 3次高調波レベルは測定不能


基本波1KHz-2.7dBで2次高調波レベルは-75dB 3次高調波レベルは-90dB


基本波3.15KHz−2.7dBで2次高調波レベルは-75dB 3次高調波レベルは-86dB


基本波6.3KHz -5.5dBで2次高調波レベルは −82dB 3次高調波レベルは-87dB


基本波10KHz -7.3dBで2次高調波レベルは −96dB 3次高調波レベルは帯域外のために計測不能


 このような数値特性をもっています。本物のOPTIMODではこれよりも優れたS/N比とひずみ特性を実現しています。特にディジタルシリーズにおいてはS/N比が110以上と現行FMにはオーバスペックとなる数値をはじき出すようです。ひずみ特性があまり良くないように見えますが、基本波:高調波で60dB以上のDU値を出していますので、ひずみっぽい感じがすることはありません。また、音楽等はソース自体がひずみの集合体であり、正弦波で現れる特性がイコールではありません。


各バンド毎のフィルタ・VCA・クリッパ特性



 8100XTで施されるマルチバンドクリッパはダイオードにて振幅制限を行うためひずみを伴う事になります。ダイオードクリップを行う事により振幅制限と同時に高調波が生成されます。高調波成分は3次5次と言った奇数次のものに成ります。これらの高調波はギラギラとした音を付加させる効果がありますが8100XTはエキサイタではありませんので、これらの高調波を取り除く必要があります。ディストーションキャンセリングクリッパと呼ばれる回路は実はこのダイオードクリッパ回路の後にフィルタを挿入する物です。ただし、バンド6においてはローパスフィルタを加える事はせずに、8100本体に実装されている2.2KHzローパスフィルタへ5・6バンドのクリッパ通過信号とクリッパ未使用信号の加算回路信号にて、高調波を削減させる方法をとっています。

 以下に各バンド毎のフィルタ特性とバンド1〜3のひずみ除去クリッピング特性・バンド4のBPFフィルタ特性(クリッピングは行っていないので、リミッティング時のひずみを軽減させている)、バンド5のひずみ除去クリッピング特性・バンド6のクリッピング特性を示します。テスト用ソースは帯域5Hz〜22KHzまで記録されている正弦波(CDDAソース)のスイープ信号です。
 バンド6ではひずみ除去を行っていないため特性は高調波による右上がり、つまり高域が強調されているものになっています。




バンド1リミッタ出力特性


バンド2リミッタ出力特性


バンド1・2ひずみ除去クリッピング 特性






バンド3リミッタ出力特性


バンド3ひずみ除去クリッピング後 特性





バンド4リミッタ出力特性


バンド4 バンドパスフィルタ特性






バンド5リミッタ出力 特性


バンド5ひずみ除去クリッピング特性






バンド6リミッタ出力特性


バンド6クリッピング特性(ひずみキャンセルなし)





ひずみキャンセルなし全バンド加算特性


バンド5・6 ひずみキャンセル用信号特性


ゲインリダクションの動作概念と試験用ソース

 
 ピークリミッタ動作をさせるレベルゲインリダクション装置における動作概念には、一般的に動特性を持ちいります。これに対する物がAGCや動作が緩やかなリミッタでは静特性を持ちいります。動特性と静特性の違いはその名前のとおりでして動く・停止している事なのですが、具体的には以下のように分類出来ると考えられます。

静特性ソース 正弦波・方形波・三角波 等オシレータ信号成分
動特性ソース トーンバースト オシレータ信号成分

 連続した一定レベルを保つ信号を静特性ソース、レベルが断続して発生する信号ソースを動特性ソースとします。音楽ソースやトークは残念ながら不安定なレベルと不規則な高調波が多いため、測定用ソースとしては用いられません。この点はオーディオ回路を設計する上で十分に周知すべき事です。FM放送やTV放送での試験放送での音楽ソースによる送出は設定による特性結果が十分に得られた状態で初めて使われるものです。いきなり音楽をソースとして使う事は絶対にありません。勿論趣味の世界で行うのであれば、いきなり音楽ソースでの設定を行うのも良いかもしれませんが、正確設定を行う事は不可能です。あくまでも音楽は最終段階でのレベルで用いるものである事は覚えておくべき事です。

 これらの事踏まえてゲインリダクションの動作設定を行います。行うファクタとしてはアタックタイムとリリースタイム、レシオはピークリミッタなので常時無限大となります。

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