レギュレターの調整法                
 レギュレターの調整は、高度の技術を要し、不注意な調整、又は誤った調整を行うと、 
 バッテリー、ダイナモ、レギュレター、及び配線に取り返しのつかない損傷を与える。
 このため、ラビットの製造元「富士重工」では、この調整を一般ユーザーには解放せず、
 専門の整備工場で、しかも教育された整備士によってのみ行う様にしていた。

 現在、専門の整備工場も無く、自分の手で整備する必要があるため、以下にその
 手順を記述する。しかし、危険が大きいため自分の責任で、細心の注意を払って行う
 必要がある。

 1.手順は、S211A型で解説するが、基本的には、スターターダイナモを装備した
   ラビットはすべて同じ要領で実施出来る。レギュレターの端子番号も同じであるが
   初期の S601型には、62 番端子のないものもある。

 2.充電電流の切換方法  
   バッテリーの充電電流は、敏感で同じ電圧で充電しても、夏冬の温度差、バッテリー
   の古さ加減、ヘッドライトの使用状況等により、過充電、或いは充電不足を起こす。
   このような時は、レギュレターの端子を接続換えする事により最良の状態で使用
   できる。この作業は、安全のため、バッテリーの (−)側端子を外して行うこと。

   A. 充電不足の時 ---- 温度の低い冬季、ヘッドライトを多く使う時等。
       レギュレターの 61 番端子に接続されている電線 2本(S211A,S301A,
       S301B、の場合)または、1本(S301B2以降、S601C2以降の場合)を 
       62 番端子に接続変更する。これで充電電流は 30%増加する。
   B. 過充電気味の時 --- 温度の高い夏季、バッテリー液の減り方が早い時等。
       61 番端子に接続する。又は、以下の無負荷電圧の調整を行う。
   外したバッテリーの(−)端子は以下の調整には接続しておく必要がある。

 3.無負荷電圧調整法
   無負荷電圧とは、充電電流を流さない時のダイナモの発電電圧である。 
    通常、15V〜16Vが正常(S301は15V〜15.7V,S601は15V〜16.5V)である。
      無負荷電圧の測定は、以下のように行う。

    A.レギュレターの (51)番端子の電線 1本(S211A、S301Aの場合)、または
    2本(S301B型各種、S601C2以降の場合)を外し、2本の場合は接続しておく。
     外された(51)番コード及び隣接している(30)番端子には常にバッテリー
        電圧がかかっているのでショートさせないように注意する。(テープで
     保護しておく方が良い)
     B.直流の 30V が測定出来る電圧計を準備し、レギュレターの(51)番端子に
    (+)線を接続、(−)側は、車体のネジに接続する。 
     C.エンジンをかけ、回転を徐々に上げていく。カットインから高速までの
    範囲で電圧が 15V 〜 16V(S301は15V〜15.7V、S601は15V〜16.5V) が標準で
    あり、この範囲内であれば調整は不要。
    (アイドル回転では電圧は指示しないが 1200〜1400 回転で電圧が出る。
    (この点がカットインである。)
    また、回転を上げたときチャージランプが薄く点灯する事があるが問題に
    しなくて良い。

   無負荷電圧の調整は、レギュレターの電圧調整リレーの隣にある電圧調整用
   スクリュー(写真参照)で行う。(S211とS301は異なるので注意が必要)
   無負荷電圧測定法と同じ様に電圧計を接続し、

   D.レギュレターのカバーを外し内部を露出させる。
   E.エンジンをかけ、アクセルを少し上げ(約3000回転)一定に保つ。
   F.電圧調整用スクリューはロックナットで締まっているので緩める。
   G.電圧計を見ながら。電圧調整用スクリュ−をゆっくり動かす。
    スクリューを締め込めば電圧は上昇し、緩めれば下がるため 
        15.5V になるように調整(各車種ともこの電圧を推奨)し、ロックナットを
    しっかり締め付けた後、ロックタイトまたはペイントでゆるみ止めを行う。
   H.エンジン回転を変化させ電圧が上記範囲内にあることを確認する。
   I.問題なければ、外した電線、カバーを元の通りに復旧する。 
    復旧の時、バッテリーの(−)端子を外してから行う事を奨める。