トルクコンバーターとオイルについて
トルクコンバーター(トルコン)は、S101、S601,S301BH に用いられ、 その効用は定評がある。トルコンは、エンジンよりクランクシャフトに直結された インペラーを回転させ、その遠心力でトルコンオイルにエネルギーを与え、これを タービンに流し込んで回転させ、タービンと直結したスプロケットによりチェーンを 介して後輪に動力を伝える。 トルコンオイルは、動力仲介の役目の他に各ベアリングの潤滑を行っている。 最高の性能と耐久性を発揮するには、良質のトルコンオイルを使わなければならない。 現在、ラビットの純正オイルは販売されていないが、昭和SHELLの商品名”L”は、 現在販売されているトルクフルードの中では推奨できる性状である(数年前までは ”LL”が販売されていた、このオイルが代替えとして最適であったが現在は製造され ていない)。 ラビットのトルコンオイルは、その粘性が重要で、粘性の高いものを使用すると エンジンが過負荷となったり、含有している水分が沸騰する事となる。 4輪用のトルクフルード(ATF)は低温度粘度(40℃)が35cts 前後と高く ラビットに使用すると発熱の原因となり好ましくない。 性状表を下記に示すので代替えオイルを選択する時の参考にすると良い。 万一、走行中に応急補給の必要性が生じた時は、10W−30 のエンジン用オイルと、石油を 1:1 の割合で混合して使用することが出来る。この時は出来るだけ早く正規オイルに 交換する事が望ましい。 オイルの油量は、MAX と MIN の間にあるようにすること、油量が多すぎると 運転中のオイルの熱膨張のため、タンクのガス抜き孔から溢れることとなり、 状況によっては、トルコンオイルのすべてが流れ出てしまうことがある。 オイルの補給は、2個の盲栓のいずれかの一方を真上にして栓を外し、タンクに補給 しながら上側の栓よりオイルを溢れ出させて完全に気泡を追い出すことが大切である。 油量の点検はアイドリング回転を行いトルコンケースが常温になった時に実施する。 また、オイルの中に水分が混入する様なことは絶対に避けなければならない。これは、 内部で加水分解を起こしたり、オイルの沸騰につながる。雨降りの日の補給は禁物で ある。 トルコンオイルの交換は通常必要はなく補給するだけで良い。しかし異なったオイル を混合する事は好ましくなく、使われているオイルの質が解らないときは全量を交換 するのが望ましい。油量は、0.8 L である。
純正トルコンオイル | 昭石トルクフルイド L | 昭石トルクフルイド LL | |
比重 | 0.900以下 | 0.8655 | 0.884 |
引火点 ゚C | 130゜C | 178゜C | 140゜C |
粘度(30゚C) (センチストローク) | 124 | ||
(40゚C) | 17.72 | 13.37 | |
(50゚C) | 4 | ||
(100゚C) | 4.072 | 3.196 | |
粘度指数(A法) | 141 | 107 | |
流動点(゚C) | -40 | -40 | -50 |
色相(ASTM) | 2.5 | L0.5 | |
色相(ユニオン) | 10以下 | ||
全酸価(mgKOH/g) | 1.85 | 0.17 | |
錆止め性能(60゚C X 24Hr) | 合格 | 合格 | |
銅板腐食(100゚C X 3Hr) | 1A | 1A | |
熱安定度(140゚C X 72Hr) | 合格 | 合格 |