ラビット開発の物語

S-41 から S-48 まで・・・・昭和20年代中期

 基本構想 
                                                               
    S−41型スクーターは、大型化と共に実用性向上を図ることが目的で強力なエンジンの搭載、
    16インチタイヤの採用、キックの装着、頑丈で軽量なフレーム構造等が取り入れられた。                                                                                                 
    S−47型スクーターは、S−41型が免許上小型3種に属し単車の取扱になるので、これを軽自動車
    にすれば使用者も非常に便利となり営業政策上好都合となる。このような考え方から、S−41型車体
    にH−17型エンジンを搭載し市場に出すこととした。                      
    S−48型スクーターは、S−41型の性能、実用性向上及び、要望事項を全面的に解決することを
    主眼に計画された車で、大容量エンジンの搭載、機能関係の充実と共に、外観は新しい感覚をだすこと
    等が取り入れられた。
                                                                         
 試作経過の概要                                                          
                                                                         
   S−41型
     昭和24年頃に開発が検討され、車の大きさ、性能共に大型化することにより、実用性の向上を
     図った。外観は、アメリカ製スクーター”クッシュマン”の思想を取り入れた S−30系の試作車
     が作られたが、重量、コスト、エンジン冷却等に問題がありS−30系は生産化されなかった。                                                                         
     S−41型試作車は、昭和25年9月、3台が完成、特徴としては、                      
         1. フレームは、鋼板の溶接構造を採用。                                
         2. タイヤは、16インチ(4.00-8)を採用。                            
         3. 起動に、前踏み込み式キックスターターを採用。                      
         4. エンジンは、169CC 3 HP の G−31型を採用。
                                                                         
   S−48型                                                            
     昭和26年に入り、S−41型の次期車として、S−41型の不具合、要望事項を全面的に解決して、
   5馬力 スクーターに移行し、性能向上を図った。                                              
     昭和26年9月、試作完了、(試作台数不明)                          
                                                                         
 技術的問題と対策の概要

    S−41,S−47型関係
         1. フレームの折損
           A. フレームの強度及び、剛性の増大を図った。
               板厚 2.3mm のフレームに 2.6 mm の帯鋼板を溶接補強した。
               (車体番号 No.2450 - 2604 該当)
           B. フレーム全体の板厚を 2.3mm から 2.6mm に変更した。
               (車体番号  No.2605 以降該当)
         2. タンク袖金具の折損
           A. 外経 7.5mm から 9.5mm に変更して強度増大を図った。
               (車体番号 No.2245 以降該当)
         3. 前方泥除取り付け部が弱く、ガタガタになる。
           A. 6mm ボルトを 8mm にして、特殊座金を使用し締付けを確実にした.
               (車体番号 No.2444 以降該当)
         4. カバーの材質
           A. アルミから鋼板に変更した。(昭和26年8月生産より)

    S−48型関係
         1. キックギアーの噛み合いが悪い
           A. エンジン取り付け部に、調整座金をいれ、調整出来る様にした。                                  
         2. 緩衝部の軸筒が摩耗する
          A. 軸筒の材質をオイルレスに変更し、注油回数及び摩耗を減らした。
         3.ハンドルの振動が大きい
           A. フレームに発動機の振動を伝えないように防振装置を装着した。
           B. ハンドルバーを一文字型とし、フォークとの結合部に緩衝ゴム・ッシュを挿入して完全に
              弾性支持とした。
         4. クラッチが焼ける
           A. 接触面積を増大し、フインを付けて加熱を防止し対策した。
         5. 以上の対策は、車体番号 No.21201 以降に適用された。

  
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