ラビット・スカーレットの電動化
昭和24年、富士重工はS22型車体をベースに電動ラビットを製作した。 名前を「電気ラビットES型」とし、バッテリーで走行する画期的なスクーターで あったが鉛電池の重さと、走行の持続性等から23台の製造で打切られた。
それから半世紀、環境にも優しく、経済的な電動化したラビットが誕生した。 |
1.プロローグ |
★ラビットスカーレット S102AE型(50cc)をベースに、出来るだけ現在の外観を損なわない様に電動化を進める。
★車体重量の増加を抑えて一充電当たりの走行持続時間を延ばす。
★写真左=ベース車S102AE。 ★写真左=電動化したS102A_EV。
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2.ベース車の選定 |
★電動化するための改造の簡易さ、完成時の車体重量などからスカーレットを選んだ。
★S102AE 走行6400Km、昭和36年(1961)11月、半田工場で製作された車両を選定。
★車体重量は前輪27Kg、後輪34Kg、 計61Kg。 |
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3.分解作業−1 |
★エンジン、燃料タンクなどを取り外して、バッテリー4個、コントローラーなど電装関係部品に交換する。
★構造部分も大幅な変更を必要とする
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4.分解作業−2 |
★下半身を裸にし、まずエンジンを取りおろす。
★後にフレーム塗装が必要なためその他の部品も全て取りおろす。
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5.分解作業−3 |
★取卸した部品、この他に外装部品がある。
★電装関係、フロントフォーク、前車輪等は再整備の上使用する。
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6.レイアウトを考える |
★車体重量の40%を占めるバッテリー4個の配置を真っ先に考える。
★コントローラー、メインブレーカー、保安装置に使用する12Vへのコンバーター等の取付ブラケットを製作し溶接しておく。
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7.フレームの塗装 |
★取付ブラケットなどの加工が終わればフレームの塗装を行う
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8.組み込み−1 |
★バッテリー、コントローラー、ブレーカーなどの部品を順次取付、配線を行う。
★バッテリーからの電線は加速時の大電流に絶えられるよう充分な余裕を見ておく。
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9.組み込み−2 |
★@=レジスターボックスはスロットルコントロールの役目を行うものでアクセルグリップからのケーブルで抵抗値を変える。
★A=メインコンタクター、キーをONにするとバッテリーの出力(48V)がコントローラーに送られる。
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10.組み込み−3 |
★モーターは車輪に組み込まれた「ホイール・イン・モーター」を使う。
★ブレーキは構造上ディスクブレーキとなる。
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11.配線を進める |
★電源系統は48Vのモーターコントロール関係、ヘッドライト、指示器、クラクションなどの保安装置用の12Vの2系統になる。
★12V系統はDC−DCコンバーターで48Vを変換して使用する為コンバーターの放熱を考慮する必要がある。また、単一故障により連鎖的な障害を防ぐための対策を考慮しておく。
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12.ほぼ出来上がり |
★カウリングを付ける前の姿。
★すっきりした形に仕上がった |
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13.充電用コネクター |
★スカーレットの給油口は充電用のコネクターに変わった。
★バッテリーは完全密閉型鉛電池12V22Ah を4個使用。充電はそれぞれ単独に行う。
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14.完成のスタイル |
★注意深く見ないとどこを改造したか解らないがディスクブレーキだけは隠せない。
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15.改造前後の比較 |
★改造後の重量は、 ★前輪=32Kg ★後輪=50Kg 合計82Kg、原型より21Kg増加した。 バッテリーの重量が4個で30Kgあるためやむを得ず。
★左の写真をクリックすると拡大写真になる。 |
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16.性能は? |
★低地走行での最高速
60Km/h ★フル充電での走行距離38Km ★原動機は第一種、0.6KW(50ccと同等)で登録。
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17.風を切る |
★エンジン音の無いスクーターは実に奇妙である。アクセルをひねると風切り音と、タイヤの擦れる音だけで60Km/hまではすぐに出る。 ★内燃機関搭載の同じスカーレットとは時代が違う感じがする。
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