Realistic Virtuality
リアリスティック・ヴァ−チャリティ(現実的な仮想性)

 「Realistic Virtuality / リアリスティック・ヴァ−チャリティ(現実的な仮想性)」シリーズは、我々を取り巻くメディア社会について、視覚的・詩的批評を試みるビデオ・インスタレーション作品の連作である。
 このシリーズでは、走行する自動車、きりもみ状態の旅客機、リカちゃんハウスなどのミニチュア・セットと、それをライブで撮影したビデオ映像を同時に展示することにより、「現実」と「メディア(マス・メディア)が運んでくる現実」の“段差”を面白く表現できたら…と思っている。ビデオ・プロジェクターの普及は、近年の美術界においてもビデオ・インスタレーションの制作/発表に拍車をかけているが、その多くは録画画面の投影という“動く壁紙”としての使われ方である。ビデオによる作品制作の必然性とは、映画(フィルム)同様の記録性というよりはむしろ、ライブ映像でありながら「撮られること」によって起きる“意味の変化”や、実材系美術作品にはない“サイズ感の喪失”などのメディア的な特質だと思える。(なお、ビデオ資料にあるように本作品は展示スペースや遮光性に合わせて、プロジェクター、ビデオ・モニターを使い分けて展示することもある。)

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http://www.ne.jp/asahi/r/ito/