Realistic Virtuality (Future/Past)  2003年

[会場キャプションより]

第1室

最初の部屋には、「現在の過去の部屋」です。ここでは「山勇」の床の間がミニチュアで再現され、「家」としての輝かしい現役時代が、今は静寂の中にあるふすまの向こう広がっています。このころの日本の家庭では、テレビが初めて登場した日には床の間に置かれたのではないかと想像されます。

第2室

次の部屋は、「過去の未来の部屋」です。この部屋の仕掛けは、成田亨が著作「特撮美術」で図解したトリックを基にしています。このように創られ、ブラウン管に映されたのは「ウルトラマン」に代表される、豊かで明るい「未来」のイメージでした。子どもたちはハヤタ隊員やモロボシダンごっこに熱中し、育ち、巣立っていきました。

第3室

最後の部屋は、「未来の現在」の部屋です。かつて子どもたちが床の間で夢見てから30年以上が過ぎた、現実の「未来」の姿がここにあります。大量生産とグローバル化の波に洗われ、様々なものが変わました。商店街での日常会話や、家族が団らんで食事やテレビ鑑賞をしたちゃぶ台も、この世界にはすでにありません。その姿は、かつて「山勇」で夢見られた「未来」と同じものでしょうか。

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