"Harmony as Memory" (2002)

ビデオプレーヤー(もしくは DVDプレーヤー),ビデオプロジェクター, 紙,楽器

伊藤さんは(中略)「リアル」と「バーチャル」という問題を見る側に問い掛ける作品を発表してきているが、今回は、ピアノの譜面台のところに置かれた白い板のようなものに、葉のゆらめきのような映像を投射するという、これまたシンプルなものであった(ギャラリー門馬には、ピアノがあるのです)。多少きざっぽく言えば、ドビュッシーなどのピアノ音楽を、沈黙の映像で表現したかのような、おだやかさが感じられた。ところが、どれくらいの間隔でなのかはわからないが、とつぜん、炎が燃えるような映像がそこに出現して、一瞬の後にまたもとの詩的な、光と影の綾なす映像にもどってしまったのである。わたしたちの見ているものは、リアルなのものなのか、虚像なのか。そういう問題を、これまでとは別の角度で提示した作品であるようにおもわれた。(梁井朗,ジャーナリスト/「ほっかいどうあーとだいありー」)

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