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内容
◆分類表(素材、形、用法等)
◆選択と用法に関するメモ

▼研磨材、研削材     ABRASIVES

■分類表:研磨材は工業的に多方面で使われているだけにJIS規格にもさまざまな分類表が掲げられていますが、一般にはとりあえず、次のように分類するのがわかりやすいように思います。

1.素材物質による分類

天然材料
  
    モース硬度 ビッカース硬度 鉱物名 主成分
工業用ダイヤモンド Industrial Diamond 10 10,000 ダイヤモンド 炭素
コランダム Corundum 9 2,200 コランダム 酸化アルミニウム
エメリー Emery 7+ 1,300 コランダムと磁鉄鉱他の混合物 酸化アルミニウム、酸化鉄他
ガーネット(金剛砂) Garnet 7+ 1,100 ガーネット 珪酸塩
珪石、フリント、チャート Quartz,Flint,Chert 7 900 石英 珪酸
軽石 Pumice 5 100 非晶質 珪酸塩
タルク Talc 1   タルク 水酸化マグネシウム
岩石類         珪酸塩他
その他          
  • コランダムはルビー、サファイヤと同じ物質です。
  • 珪酸は二酸化珪素のことで、石英の化学成分。珪酸塩は珪酸と他の金属酸化物(主に、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム)とからなります。
  • 金剛砂は元々ガーネットを指していたようですが、辞書によってはエメリーとしているものがあります。また最近では炭化珪素(C)の粉末も金剛砂と呼ばれているようです。
  • 岩石類としたのは天然といし素材ですが未調査
  • その他も未調査です。
合成材料
1
    化学成分 鉱物名 モース硬度 ビッカース硬度
合成ダイヤモンド Synthetic Diamond 炭素 ダイヤモンド 10 100000
窒化ホウ素 CBN Boron nitride(cubic) 窒化ホウ素   10 7300
炭化ホウ素 Boron carbide 炭化ホウ素   9 3300
炭化珪素 Silicon carbide 炭化珪素   9 2800
溶融アルミナ Fused alumina 酸化アルミニウム コランダム(+ムライト他) 9 2200
酸化クロム(青粉) chromium oxide 酸化クロム   石英より大  
酸化セリウム cerium oxide 酸化セリウム      
酸化鉄(べんがら、ルージュ) iron oxide(rouge) 酸化鉄 ヘマタイト、赤鉄鉱 5-6  
その他          
2
JISによる分類名と記号
黒色炭化珪素研削材 C
緑色炭化珪素研削材 GC
   
解砕型アルミナ研削材 HA
褐色アルミナ研削材 A
白色アルミナ研削材 WA
淡紅色アルミナ研削材 PA
人造エメリー AE
アルミナージルコニア質 AZ
  • 現状では研削材の殆ど、研磨材の大部分を炭化珪素と溶融アルミナで占めていると思われます。
  • その他は未調査です。

2.形状による分類

1 不定形(粉末など)
1
粉粒
各種粒径、粒度
【JISによる定義】
・粗粒 macrogrits:粒度#8〜#220
・微紛 microgrits: 粒度#240〜#8000
・と粒 abrasive grains:研磨材、研削材の粒子
・超と粒 super-abrasives: ダイヤモンド、窒化ホウ素、炭化ホウ素等の粒子

微粉末: ・酸化クロム、・酸化鉄、・酸化セリウム、・タルク
2
ペースト、流体
・ダイヤモンドペースト、・金属磨き、・歯磨き、・食器クレンザー、・各種研磨剤
3 成形品
バフ研磨材 Polishing sticks

右表はJIS規格による粒度の種類。下は最大粒径。
番数 mm μ
#8 4  
#16 2  
#30 1  
#90   250
#240   127
#360   86
#1000   32
#3000   13
#8000   6


粗粒

#8
#10
#12
#14
#16
#20
#24
#30
#36
#46
#54
#60
#70
#80
#90
#100
#120
#150
#180
#220
微紛

#240
#280
#320
#360
#400
#500
#600
#700
#800
#1000
#1200
#1500
#2000
#2500
#3000
#4000
#6000
#8000
2 定型品(といし等)
1 といし
  • 砥石  whet:各種天然砥石、オイルストーン
  • 研削といし:人造研削材と結合材からなる切削工具(JIS定義)
2 回転(グラインダー用)といし
  • 研削といし
  • 切断といし
  • ナット付きディスク型研削といし
  • ナット付きリング型研削といし
  • 軸付きといし
3 カッター  Cutting wheels
  • ソーブレード
  • 切断といし
4 ハンドピース(ハンドモーター、リューター)用ホイール、ポイント: 各種の形状がある。
5 やすり状: ダイヤモンドやすり、ペーパーやすり
6 ペーパー、布、ベルト
  • 研磨布紙(JIS)
    研磨布、研磨紙、耐水研磨紙、研磨ベルト、エンドレス研磨ベルト、研磨ディスク、円筒研磨ディスク、円筒研磨スリーブ、研磨フラップホイール、シート、ロール

結合材による分類
  • ビトリファイド研削といし:
    長石、粘土等の結合材(セラミック)
  • マグネシア研削といし:
    マグネシアオキシクロライドの
  • レジノイド研削といし:
    熱硬化性、あるいは硬質熱可塑性合成樹脂
  • レジノイド切断といし:
    同上
  • ゴム切断といし:
    ゴム(天然、合成)
    (以上JIS定義)
  • バフ研磨材 Polishing sticks
    ワックス、グリス等
研磨紙研磨材粒度の種類

P30
P36
P40
P50
P60
P80
P100
P120
P150
P180
P220
P240
P280
P320
P360
P400
P500
P600
P800
P1000
P1200
耐水紙はP60から

追加情報

  • 砥石に用いられる岩石類について昨年、山形大学の川辺先生からメールでお知らせいただきましたので以下にその部分を引用させていただきます。(2007/08/06)
     
    『1.素材物質による分類 1 天然材料「岩石類」(岩石類としたの は天然といし素材ですが未調査)』ですが,産地によっていろいろあると思いますが, たとえば, 粘板岩は...登米(北上山地)の分析値として http://www.gsj.jp/Pub/Bull/vol_20/20-01_01.pdf が出ています.鉱物組成でいうと, 砕屑粒=オリゴクレス>石英>黒雲母>他鉱物(エピドート(?)・ジルコン・白雲母・その他)。 基質=緑泥石>白雲母。石英>曹長石質,斜長石  なので,硬度6(長石),硬度7(石英)などが混じっている(緑泥石は知りません)かんじで しょうか?  仕上砥には,極細粒の凝灰岩などもあるようですが,その場合には,ガラス+石英+カオリンなど だと思います.  中〜荒目砥石は,たぶん,石英粒が中心で,他に長石類が入っているものが多いのではないかと 思います.


    川辺先生のホームページ⇒http://kescriv.kj.yamagata-u.ac.jp/home.htmhttp://www.jan.ne.jp/~kawabe/

以下(予定)

4.使用機材による分類

1

5.目的素材による分類


1

6.選択と用法に関するメモ