宮沢賢治が自然科学に対する強い情熱を持っていたのはよく知られているが、それでも彼は決して物理や化学、あるいは地質学の専門の研究者になる道を選択しなかった。実際その詩の中には現代科学に対する不満の表明も含まれている。彼が求めていたのは科学よりも錬金術に近かったのではないかとも思いたくなるようなところがある。 彼は短い生涯の最後に、結局は詩人となって詩と童話の傑作を残したわけだけれども、最終的に『詩人』を自らの天職と考えるに至ったとも思えない。 彼がもし錬金術が栄えていた時とところに生まれていたら錬金術師の道を選んでいたのではないか?とか、あるいは彼自身錬金術師の生まれ変わりではないか?とか、彼の遠い目標は錬金術の復興とでも言えるようなものであったかもしれない、というような想像を禁じる事ができない。
正直に言って私自身、もし錬金術が盛んな時代と場所に生まれていたら、錬金術師をめざしていたのではないか、と思わないでもない。もちろん往事の錬金術師もそんな甘いものではなかっただろう。現実には少なくとも人並み以上の知恵と勇気と忍耐力を要したに違いない。今の自分と同じ自分であったなら、とても務まらなかったに違いない。 現在、生涯に渡って遂に自分の真の仕事(職業と一致すれば言う事はないが、職業を一致しない場合を含めて)を見出せない人たちは多いと思う。 ■錬金術の本錬金術は日本にはなかったものだし、錬金術という言葉もまず、明治以後の翻訳語に違いないと思われるから、日本語の錬金術の本はそんなに多くはないと予想される。調べてみると実際そのとおりで、国会図書館の検索でもタイトルに錬金術を含む本は250件程、アマゾンの日本語タイトルでは200件程度であり、どちらもサブタイトルに「錬金術」を含むマネー関連あるいは経済関連書物もかなり含まれるし、フィクションやゲーム関連の書物も含んでいるので本来の錬金術関連の書物はごく少ないといえる。それでもアマゾンで検索した書物のレビューなどを読むと現在は錬金術ブームらしい。「銅の錬金術師」というタイトルのアニメが人気だそうである。もちろん数年前からの「ハリー・ポッターと賢者の石」という本の人気は知っていた。少年物にこういう内容が受けるのはもちろんうなづける話である。いまや世界に誇る日本の童話作家である宮沢賢治にも錬金術の匂いがある。 私が曲がりなりにも読んだことのある、錬金術をタイトルに持つ本は3冊だけだけれども、日本語の書物としては百分の一以上にはなるわけだ。 ■日本語に錬金術の本が少ないからといって世界的に少ないわけではもちろんない。【錬金術の特徴】 【錬金術の影響】
「錬金術の影響は驚くほど大きく、深かった・・・・・。」 ■錬金術とオカルトサイエンス上記セルジュ・ユタン著の「錬金術」(訳)には「隠秘学」という言葉が出てくる。 ■錬金術と象徴 |
◇錬金術のサイト 『錬金術』をキーワードインターネット検索をかけると実に多くのサイトが表示される。しかしその中からどのようなサイトであるかを見分けるのはたやすい。殆どが最近人気があるらしい『銅の錬金術師』大体 |