『おしっこでるでる大さくせん!』 木村 研

草炎社こども文庫〈25〉 木村 けん【作】 篠崎 三朗【絵】  草炎社 (1988/04 出版)
85p / 21cm / A5判  ISBN: 9784882640257  NDC分類: K913  価格: ¥1,101 (税込)

 卒園や入学が近づくと、ボクは決まって、一年生を二度やったことを思い出す。
気の早い人はそれだけで、「体が弱くて進級できなかったのね」と気の毒そうな顔をされるが、
実はそれは逆で、元気がよすぎていたずらばかりしているボクに手をやいた両親が、
学校にたのんで一年生になる前にめんどうをみてもらった、ということである。
今でいえば、保育園か幼稚園のようなものだろう。
 ボクは近所の一年生の女の子と毎日分校にかよって、一・二年生の教室で、
みんなといっしょに勉強までさせてもらっていた。
ただ、本校と合同の運動会や学芸会の時だけは、先生のひざで、いつも見学をさせられていたが、
楽しい思い出ばかりが残っている。翌年、本当の一年生になるわけだが、その時の記憶はあまり残っていない。
父や母にしても、子どもが一年生になる緊張感などなかったと思う。
だが、よくよく考えてみれば、一年生になるということは大変なことである。
それまでの生活が(園であれ家庭であれ)ガラッと変わるわけだから、期待もあるが不安もそれ以上にあるはずである。
そんな時にぜひ読んでほしいのが『おしっこでるでる大さくせん!』ぼくの本である。
入学したばかりの子どもたちが、学校のトイレにいけない友だちを助けるために考えた作戦とは―。
子どもたちのプレッシャーが少しでも和らげば、と思って書いた作品である。
 その姉妹編ともいえる『おねしょがなおるおまじない!』(草炎社)も、おねしょの悩みを持つ子どもたちを元気にする話です。
あわせて読んでいただけたら嬉しく思います。