超簡単!!電源の要らないAMラジオ

レポートの概要

災害時にも便利(?!)電池も発電機も要らないラジオの製作。
このラジオの欠点は、増幅器を使わないために音が小さく、難聴者に使っていただけない事です。

材料

渋谷の藤商電子は、足立区・六木の樫木総業(株)になったようです。

作り方

  1. ラップの芯にEUW0.5を根気よく奇麗に巻いてコイルを作るり、電線の端を250番程度の紙やすりなどで被服を取り除く。
    この時、ラップの芯に、巻始めと巻終わりになる所にEUW05が通るぐらいの穴を空けて、線の端をラップの芯に開けた穴に通してセロハンテープで仮止めするとまき易い。
  2. お台所にあるアルミホイルを30センチメートルほどにカットして厚紙に貼り付けたものを2枚作る。
  3. アルミホイルを貼った厚紙一枚とと何も貼ってない厚紙を重ねて事務用のクリップで止める。
  4. クリップ止め厚紙の間に、もう一枚のアルミ箔を貼った厚紙をアルミ箔の面とアルミ箔の面が接触しないように挿入し、コイルをみの虫クリップで止めて、以下の回路図にあるよに、接続する。
  5. アルミ箔を貼った厚紙の重なり具合を調節して選局をする。
    本などで重しをして平面性をよくする事も実験するコツの一つでしょう。

アスキーアートによる回路図

            *カソードマーク
  +------------+--------[ゲルマニューム ダイオード]----+
  |            |                                       |
  |            +                                       |
  |          ア||ア||                                +-+-+
+-+-+        ル||ル||                                |ク |
|  |        ミ||ミ||                                |リ |
| コ|        箔||箔||                                |ス |
| イ|        を||を||                                |タ |
| ル|        貼||貼||                                |ル |
|  |        っ||っ||                                |イ |
+-+-+        た||た||                                |ヤ |
  |          厚||厚||                                |ー |
  |          紙||紙||                                |ホ |
  |                +                                 |ー |
  |                |                                 |ン |
  |                |                                 +-+-+
  |                |                                   |
  +----------------+-----------------------------------+

動作原理

コイルの導体を電磁波が横切った時に電気信号に変わります。
コイルとアルミ箔で作ったバリコンで並列共振回路を形成しております。理論上は共振周波数の点で合成インピーダンスが無限大その外の周波数のところでインピーダンスがゼロに近くなるために、結果として共振周波数のところだけが通過できるようになります。 つまり共振周波数がラジオ局の搬送周波数になった時に、ラジオの選局がされるわけです。
選局された信号を、ゲルマニュウムダイオードで半波整流をして、余分な搬送波を取り除くと、音声信号になります。

制作のヒント

かなりおおざっぱに作ってもラジオは鳴りますが、鳴った時には、ある一定の物理法則が成立しています。

選局される搬送波

選局に必要な肝心要の共振周波数 f0 と部品の関係は・・・・
f0 = 1/(2*π* SQR(L*C))

ここで、πは円周率。/は割り算。*は掛け算。=は等号。
Lはコイルのインダクタンス量。Cはバリコンのキャパシタンス量。SQRは平方根

といことになっております。
この式に注目すると、Lが大きくなるとCが小さくてすむ傾向があることがかわりますね。

コイルのインダクタンス

コイルのインダクタンス量は、ボビンの断面積、芯にする材質の比透磁率、巻き数、といった要素の組み合わせによっていろいろかわる。

自己誘導作用の定義

コイルを流れる電流が変化すると其のコイル自体に起電力が誘導される。この作用を自己誘導作用という。

自己誘導作用による誘導起電力と自己インダクタンス

電圧e = -N(ΔΦ/Δt)[ボルト]において、磁束鎖交数N*ΔΦは電流Δiに比例するので、比例定数をLとすればN*ΔΦ=L*ΔLとなる。
これを電圧eの式に代入すると・・
e = -N*(ΔΦ/Δt)-L(Δi*Δt) [ボルト]
Lを自己インダクタンスという。インダクタンスの単位はヘンリーで単位記号は[H]

自己インダクタンスの計算

無限長円筒コイルの断面積A[平方メートル]磁路の長さl(エル)[メートル]、 鉄心の磁束密度B[テスラ]、電流I[アンペア]、巻き数N[回]、鉄心などの比透磁率をμとしたときに磁束Φは・・・

Φ = B*A = μ*H*A = μ*N*I*A/l [ウェーバー]
したがってこの回路の自己インダクタンスLは・・・
L= N*Φ/I = =μ*N*l*A/l [ヘンリー]

但し、一般的な有限長空芯コイルの場合は計算方法が少し異なります。
L=κ(4π*10-7)*A/l*N2[ヘンリー]
ここでκは長岡係数。
(長岡係数は長岡半太郎によるもの)

バリコンのキャパシタンス(静電容量)

バリコンのキャパシタンス(電気を溜める事のできる容量)は、電極の面積、電極間の距離、絶縁する材質の比誘電率、といった要素の組み合わせによっていろいろかわる。

静電容量の定義 二つの導体版があり、其の一方に-Qクーロン、もう一方に+Qクーロンの電荷を与えた時に二つの導体版の間の電位差がVボルトであるときC=Q/Vを導体間の静電容量という。

面積がA平方メートルの二つの導体(電極)版が空気等の誘電体をを挟んでlメートルの間隔があり、其の一方に-Qクーロン、もう一方に+Qクーロンの電荷が与えられているときに、次の式のような関係がある。
V = E*l = D/(ε0r)*l = Q/(ε0r*A)*l[ボルト]
∴ C = Q/(Q/(ε0r)*l) = ε0r/l [ファラッド]
ε0は、真空誘電率で、0.9.....と続く小数点以下がつづく値であるが、1とみなして計算して構わない。
εrは、誘電体の比誘電率。

誘電体の比誘電率

電極間に絶縁物をいれると静電容量が変わる。
真空中の静電容量をC0、絶縁体を挿入した時の静電容量をCとするとC0とCの比を其の絶縁体の比誘電率という。

主な絶縁体の比誘電率
材質比誘電率
真空(空気) 1
パラフィン 1.9 ~ 2.5
1.2 ~ 2.6
陶磁器 5 ~ 6.5
雲母(マイカ) 6 ~ 8

ゲルマニュウムラジオの音を大きくする

小学生のころお年玉をせしめて学研の電子ブロック(学研の電子ブロックの復刻版が、学研大人の科学シリーズより発売されています。)を買ってきたことがあります。
其の電子ブロックで、遊んでいた時に偶然にも発見した現象なのですが、ダイオートを2個使うと音が倍の大きさになるのです。
いかに回路図を示しますが、イヤーホーンの両端がどちらも検波ダイオードのカソードに繋がってます。
普通に考えたら閉回路にはどっちをむいても逆方向のダイオードが1個入っているので電気は流れそうにないの気がするのです。
どうして音が倍の大きさで聞こえるのでしょうかなるのでしょうか。
わたしには今でも其の理由が良く判りません。
知っている方は、ぜひともおせーてーーーっ。

アスキーアートによる音圧が倍増した謎の回路図

                                   カソードマーク*
  +------------+--------[ゲルマニューム ダイオード]----+
  |            |                                       |
  |            +                                       |
  |          ア||ア||                                +-+-+
+-+-+        ル||ル||                                |ク |
|   |        ミ||ミ||                                |リ |
| コ|        箔||箔||                                |ス |
| イ|        を||を||                                |タ |
| ル|        貼||貼||                                |ル |
|   |        っ||っ||                                |イ |
+-+-+        た||た||                                |ヤ |
  |          厚||厚||                                |ー |
  |          紙||紙||                                |ホ |
  |                +                                 |ー |
  |                |                                 |ン |
  |                |                                 +-+-+
  |                |                                   |
  |                |               カソードマーク*    |
  +----------------+----[ゲルマニューム ダイオード]----+

読者からのお便り

はなはなな@にふちぃ さんからのお便り
Wed, 13 Dec 2000 04:22:44 +0900
 実験してみましたが再現不可能でした。したがって、正確な理由はわかりませんが、次のように推測されます。

倍電圧整流について
 なお、ダイオード2つとコンデンサー1つを使って、倍電圧検波回路を組むという手がありますが、LC回路の負荷が重くなるため、結局出力振幅は同じになってしまいます(下図)。

                C2      D2                 
     /──┬─┨┠─┬─>|──┬─┬──O 
     \    │        │          <  │      
     /    ┷        ⊥          >  ┷      
     \ L ┯ C1    Λ D1    R<  ┯ C3  
     /    │        │          >  │      
     \──┼────┴─────┴─┴──O 
           ┴ GND                         
           ≡                                
         倍電圧検波回路

はなはなな@にふちぃ さん! Web閲覧&メール掲載許諾ありがとう御座います。
編集者的には、なかなか面白そうな意見であります。
ゲルマニュウムラジオがどのように振舞っているか、実際に計測実験をするのも面白そうでありますが、並列共振ということもあって回路自体がかなりハイインピーダンスなので、極ありふれたオシロスコープのプローブでは回路の一部となることが予想され、ちょっぴりチャレンジャーな分野になるかもしれません。
なお、クリスタルイやホーンは、雲母の結晶や塩のような結晶をアルミ箔で挟んだような格好をして、電圧がかかると電極が吸い寄せられたり反撥したりして音が出ます。
直流域はLで高い周波数はCのようなもので、てきとーに共振回路を形成されていると。。。
再現には、もしかしたらイヤーホーンの機種に依存するかもしれません。
浮遊容量云々といってしまうと電子ブロックの配線自体は、接点抵抗の固まりのようなものにも思えてきますし。。。

参考文献

絵解き電気磁気の計算, 福田 務, オーム社, 1991年1月
工業高校生向け参考書。
僕らの鉱石ラジオ, 小林 健二, 筑摩書房,ISBN4-480-86045-2, 1997年9月
美しい鉱石で検波する鉱石ラジオの本。
ダイオードとは違って、とってもファンタスティックなラジオがいっぱい!
紙の上で電子の回廊を徘徊している人には、こんなラジオを作るなんて思い付きそうに無いようなきがします。

関連するホームページ

このページはAccseceCounterの参照がありました。(自2002年12月)


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