PSA異常の方が前立腺生検を受けるか悩んだ時に読むページ

癌の可能性が高い人だけに日帰り6箇所生検を行っている横浜市都筑区の木村泌尿器皮膚科です。
ここは、院長ブログの原稿倉庫です。PSAと無関係な内容も多いブログです。

フクダ電子のウロメセル


1987年にパソコンを購入。それからは論文を一太郎で書いたので、フロッピーに原稿が残っていました。 それらはすでにネットにアップ(症例報告を除く)してあるのですが、メタタグに文字コード宣言がないページも多々。 文字化けしないように、今、すべてUTF-8で保存し直す作業中です。

前立腺癌の診断法から前立腺肥大症の経過観察へ、そして前立腺肥大症の薬物療法の効果判定へ、 というのが私の研究歴について一昨日書いたところ。で、その続き。

前立腺肥大症の治療効果判定の分野に進出すると、前立腺体積の計測だけではダメです。 排尿パターンの研究も必要です。

1995年(東大講師時代)に出会ったのが、ウロメセル。 入院患者全員の排尿量と時刻を記録する装置でした。 病棟のトイレでよく見かけた蓄尿袋の代わりになる装置で、 フクダ電子が試作したものが、いち早く東大病院に入ったのです。

「加齢による夜間多尿と夜間頻尿」という学会発表をして、これを論文として投稿しましたが、リジェクト。 結果で有意差が出ていないのに、「夜間頻尿が加齢に伴う夜間多尿を反映している」と結論づけるのはおかしい、と。

すでにデータ解析時点で、結構強引な手法で夜間尿量を見積もっていたので、 それで危険率0.18しか出せなかったものを、これ以上手を加えても、危険率0.05には持っていけないと、 論文にするのは断念しました。

ところが、どういう経緯だったか忘れましたが、このお蔵入りするはずだった論文は、 フクダ電子の担当者が引き取ってくれて、印刷してくれました。 ありがとうございました。採尿蓄量比重測定装置ウロメセルの販売促進に少しは役立ったでしょうか。 学会誌に載った論文の別刷りほどには役立たなかったでしょうね。

ウロメセル内部のデータをRS232C経由でパソコンに取り込むのにご協力いただいたのに、力不足で済みませんでした。
レジのレシートみたいな紙に印刷された排尿記録を手入力するほどの根気は持ち合わせていませんでしたから、本当に助かりました。

2013年6月18日の院長ブログ原稿


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