ここ2〜3年、フェルメールの作品が次から次へと来日している。残念なのは、フェルメールの作品数が非常に少ないのである。フェルメールの作品は、約350年前とは思えないくらい写実的であることが特徴である。

　最近、「真珠の耳飾の少女」修復時の調査で、下塗りには場所によって黄土、赤、クリーム色などさまざまな色を使い分け、微妙な階調を出していることがわかった。少女の衣服の襟の白色がイヤリングに反映しているところも的確に描写されている。修復の結果、唇の両端に白の点を置き、唇の濡れている感じを表していることもわかった。「地理学者」では、ガウンのような服を羽織り、左手を机につき身体を支え、右手にコンパスを持っている。机に広げられた広げられているのは大きな海図。でも学者の視線はその海図ではなく窓の外に向けられている。何かを考えているいるようだ。フェルメールの作品も学者の顔に光があたっている。特に、窓際に丸めて置かれた海図を通す光の表現は見事だ。

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