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都立小石川高校旧校舎イラスト

石川高校が改築されると初めて聞いたのが確か大学2年のときだったか、とにかく古い校舎だったので雨漏りなど損傷がひどく、在学中は何とかしてもらいたいものだと思っていた。ところがいざ改築と聞くと何となく寂しいもので、まあ、卒業してしまっているからこんな勝手な感傷にひたれるんだろうけど。
 校舎をイラストとして残すことはこの頃から考え始めてはいたが、結局動き出したのは大学を卒業して1年以上経ってから、当時私は大学の研究生をやっていたので時間は比較的融通がきいた。朝早く起きて高校へ行き、巻き尺とスケッチブックを持って学校内のいたるところを測って回って、それから研究室へ行って、夜帰宅してからイラストを書いた。
 巻き尺を持った変な人が朝の校内をうろちょろ歩き回っている光景は我ながら変だったろうなと思う。あれは私だったのです。


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全景

上のイラストの拡大図。卒業アルバムを原図として起こしたイラスト。写真の権利者から許可をとってないの(悪い子です)。

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プール

道路を挟んだ反対側にあるビルに勝手に入ってそこから描いた。プールの観客席の向こうに紫草園の木が見える。正門の左にある公衆便所は在校生でも知らない人がいる。

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正門

正門入ってすぐのところ。目の前にある「ハワイ」と呼ばれる一角はヤシの木があるから名付けられたのだと思うが、この超ウルトラスーパー安直なネーミングは一体誰がいつごろ言いだしたものなんだろう。

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体育館

思い入れがほとんどないことが絵を見てもわかる。体育館の中にハトがいてときどき上から糞が落ちてきたのは覚えている。それだけ。

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図書館

勉強はしなかったけど、この部屋にはよくいた。いわゆる青春の思い出というやつがここにはある。今から思うと赤面してしまうようなことが結構あった。私の在学中にはなかったが、柱の一つ一つに絵が掛けてあった。

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生物実験室

小石川生なら必ず知っている「生物実験室」。毎週実験、毎週レポート提出、予習も大変だったし、レポートが毎回真っ赤になって戻ってくるので再提出に追われて、もう大変だったのを覚えている。

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講堂

これはグラウンド側から見た。1階は、向かって右半分が定時制の学生食堂、左半分手前が被服室、向こう側が工芸室。2階部分が講堂で、右側が舞台のあったところ。外から見てもわかるが、2階の窓は左へ行くほど上にずれている。これは以前ここが階段教室式のいわゆる「講堂」だったころの名残。

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講堂内部

芸能祭の会場としておおいに盛り上がる場所。普段は体育館と同様の使われ方をしている。前半分は卓球、後ろ半分は柔道に使われていた。さらに最後部の一角はベンチプレスなどが置いてあった。また、隅に不法に作られた通称「ワンゲル小屋」は何やら怪しい雰囲気を醸し出していた。

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中庭

小石川高校には軟式用のテニスコートが2面あった。これはA棟とB棟の間のコートで、もう1面はB棟とC棟の間にあった。しかし、硬式用のコートはなかったので、私はいまだに硬式テニスができない(責任転嫁してるぞ)。

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当時のスケッチブックから

おまけです。妹尾河童氏のイラストの影響を色濃く受けていますが、氏のイラスト技法に建築透視図法を混ぜたのが私のイラスト技法です。ラフスケッチと巻き尺で測った寸法表と照らし合わせながら建築透視図法に基づいて正確な図面を鉛筆で描いて、それをフリーハンドでなぞるのです。興味のある方は妹尾河童「河童が覗いたニッポン」(新潮文庫)と現代構造研究所「建築透視図法」(鳳山社)の2冊をお勧めします(私のイラスト技法はこの2冊でできています)。