炎、だと思う。
恐らく、イメージを問われてそう答えるヤツと言うのは、他にいないだろう。
他の同級生たちに比べて、酷く落ち着いた言動、静かな雰囲気。特に、いつも一緒にいる火神と比べると、本当にふたりは同い年なのかと思う程。
そう。火神ならば、きっと炎と称する人間は多いだろう。その名の通り、赤々と燃え盛る炎のイメージ。
けれど、そんな火神の隣に立つ黒子も、炎であるとオレは思う。黒子は青い炎だ。
青い炎は実際には赤い炎よりも遥かに温度が高い。物静かな黒子の内側には火神よりも熱い青い炎が、やはり静かに燃え盛っているのだ。
炎の赤は不完全燃焼の色。赤い炎は供給する酸素量を増やすと色を変え、青い炎へと変わって行く。
では、火神の赤い炎を青いそれに変える酸素とは何だろう。やはり、黒子だろうか。
「ボクは、チームのみんなだと思いますよ。カントク、キャプテン、センパイ方…みんなが酸素なんだと思います。」
火神の力を最も引き出せるのは、黒子のパスだから。そう思って、練習の合間に呟いたら、それは違うと黒子はやんわりと否定する。
「ボクが青い炎だと仰るなら、ボクにとっての酸素は、チームのみんなです。火神くんにとっての酸素も同じだと思います。」
それでも、ピタリと息の合ったふたりのプレイを見ていると、やはり火神にとっての酸素は黒子のパスであり、黒子自身なのではないかと思うのだけれど。
黒子がオレたちを酸素と言ってくれるのならば、その青い炎の色が淡く白くならないような、火神の炎を熱く青く変えるようなそれでありたい。
黒子を介し、パスと言う形で酸素を受け取った火神は青い炎になる。
その瞬間、火神と黒子、ふたりの生み出す青い火花は、勝利と言う光になるのだ。
青い火花