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「火神くん。首が痛いです。」

「テメエが小せぇからだろ。って、うおっ?!」

 既に全員が帰宅した誰もいない部室。口づけて放したら、黒子が小さく眉根を寄せる。

 返した言葉にはムッとした顔。と思ったら、力一杯突き飛ばされて、不意打ちによろめく。

 後ろにあったベンチにどすんと落ちたところで顔を上げたら、視界いっぱいに淡い色の髪。そうしてまたもや不意打ちで柔らかな唇が己のそれに触れる。

「こうすれば、首も疲れません。」

 珍しい、黒子からのキス。けれど満足気な黒子とは裏腹に、今度は火神が不満気に顔を歪める。

 そうして。

「見下ろされんのは、気に喰わねぇ。」

 言って、素早く腕を引く。

 ガクンと崩れた体躯を膝に乗せ、再びキスを。ゆっくりと離れ、間近でニッと笑みを浮かべてみせる。

「これならいいだろ。」

「………この体勢は恥ずかしくないですか。」

 真っ赤な顔で睨まれても、迫力など皆無。

 生憎アメリカ育ちなもんで、と肩を竦めてみせると、火神は再び唇を重ねた。