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 第2章激闘!北アルプス編  2000年7月13日〜8月2日

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                  旅の理由 地図とルート 食糧と装備 ポンポコ・ムンクの自己紹介


ついに出発!
 7月13日(木) 体重80.2kg
          体脂肪24%
 
 12時10分世田谷の自宅を出たポンポコ浦澤はついに「日本縦断激痩ダイエット登山(略称・快楽登山)」の第1歩を踏み出した!(らしい。私ムンクは会社があるから残念ながらお見送りができなかった)
  きょうから40日かけて単独で日本の3000m級の山々、全21座を登る予定だが、私は心配でたまらない。
 「道に迷いはしないかしら」「脚を滑らせて崖に転落しないかしら」「落雷に遭わないかしら」「熊に襲われないかしら」
 「山にはハブもいるし、スズメバチもいるし、ブヨもいる。体重80kgと的が大きいだけに危険度も高いかも」……。
 どうか痩せなくてもいいから、無事に帰ってきてほしいと祈るばかりだ。
 さて、本日の23時30分、にポンポコの携帯に連絡がとれた。彼はその時刻、新潟県親不知のキャンプ場にいた。そこにはポンポコ以外誰もいないらしい。そこで彼は一人用のテントを設営し、中で休んでいるそうだ。
  お金のないポンポコは新宿駅から普通電車を乗り継ぎ、23時ごろようやく親不知駅に到着。電車賃は5570円だったって。 
 駅からキャンプ場までは徒歩で10分ほどの距離らしいが、案内図も看板もなく、道を尋ねるにも人がいなくて、30分もさ迷ったと言っていた。30kg近いザックを背負って見知らぬ土地を歩きまわったとはさぞかし疲れたことでしょう。今晩はゆっくりお休みください。
(ポンポコ浦澤からのコメント)
 見送りもないひっそりとした旅立ちで、きょうから「日本縦断ダイエット登山」が始まったなんて実感がないなあ。
 たった一人でキャンプ場にいると、「これからが楽しみ」というより「心細い」よ。だって、しばらく「孤独」から遠ざかっていたからね。旅って、本来孤独を楽しむものかもしれないけど、いまはちょっと楽しめる気分じゃない。
 今回の登山のテーマのひとつである「快楽」とは何か? いま、一人で考えている。試しに、ビール2本飲んでみたけど、 「快楽」は味わえなかった。よーしあしたから「快楽」を探すぞ!


いきなり敗退? いや勇気ある撤退だ!
 7月14日(金) 現在地=新潟県糸魚川 
            きょうの食事=朝 カロリーメート1箱、夜 ポルチーニ茸のパスタ、クッキー、コーヒー
           きょうの快楽=ノースフェイスの「ダクロンQDマックス」素材のTシャツは気持ちいい。
           汗だくになっても30分ですっかり乾いていた!  

 「夕立に降られたー」ポンポコとの電話の第一声がこれだ。「いまどこにいるの?」「東北自動車道の橋の下。雨にぬれないように、ここがきょうのキャンプ地」ときた。橋の下ですかい。さすが野生児。たくましいねえ。でも、声を聞くとお疲れの様子。話を聞くと、どうやらきょうは厄日だったらしい。
 親不知から栂海新道を通り白馬方面に向かおうとしたポンポコさんだったが、登山道を進もうにも道がわからない。道が草で覆われていて、人が歩いた跡すらわからなかったのだ。
 しかもこのところ雨が多かったらしく、足元が悪い。しかも背中には20kgのザック! ズリズリと足が滑って、ズボンの左ひざ下が縦10cm横8cmぐらいのカギ十字状に破いてしまったらしい。
 「いやあ、いきなり遭難しそうになって焦ったよ。食糧を持っているから、このまま進んでもなんとかなると思った。でも、タバコを1本取り出して吸ってみたら、冷静に考えられたんだ。『ひきかえそう』って」とポンポコ。
 でも、こんないいこと(?)もあった。水をもらいにいったガソリンスタンドでガムをもらったんだって。車しか通らないような道で、大きなザックを背負ったポンポコ男がひとり、ノシノシ歩いてきて「水ください」じゃあ、ガソリンスタンドのおじさんも驚いただろう。
 最後にはポンポコの旅の予定を聞いて「新聞ざたにならないように」と見送ってくれたらしい。
 とにかく無事でよかった、と私、ムンクは思うのでした。
(ポンポコ浦澤からのコメント)
 きょうは「快楽」どころじゃなかったよ。ヒデーめにあった。ひとけのない親不知周辺はくらーい感じで妖気が漂ってるみたいだった。道に迷ったときにはかなり焦ったけど、「急がば回れ」だ。まだ旅は始まったばかりだからね。
 徒歩の旅だから荷物の重いのがつらい。かなりしぼりこんで荷物を少なく」したつもりだけど、それでも重い!
 だからせめて食糧を食べて軽くしようと考えているところだよ。
      

いよいよ本格的に山道に突入
  7月15日(土) 現在地=たぶん中俣山(1037m)付近
            きょうの食事=朝 ボロネーゼのパスタ あとは不明
            きょうの快楽=夜明けの紅茶

 きのうの約束どおり、ポンポコから朝6時半に電話が入ったものの、私が寝ぼけて電話に出たものだから、8時半に電話をかけ直してくれた。ごねんねポンポコ。
 「いまどこにいるの?」「大糸線とかいう路線の無人駅。『根地(ねち)』っていう駅みたい」
 きょうのポンポコさんは早朝4時に目がさめてしまったらしい。昨晩、キャンプを張った東北自動車道の橋の下は、ひっきりなしにダンプやトラックが通って相当うるさかったのだという。その近くにセメント工場もあり、車の往来がかなり激しくて熟睡できなったって。
 それで4時に起きて出発の準備、夜明けの甘いレモンティー(顆粒のやつ)がお腹にしみわたったと幸せそうに話していた。
 さて、無人駅にはコンセントがあって、携帯電話の充電もさせてもらったようだ。これって電気泥棒? すいませんうちのポンポコが。
 「今晩は中俣小屋に泊まる予定だからね」「それって無人小屋」「当然だろ。ただのところしか泊まらないよ」
 というような話を最後に、それ以降きょうは連絡が取れない。これから山の奥深く入っていくと、電話もかかりにくくなるんだろうなあ。
心配でなりません。いまごろ、美しい星の瞬きに見守られてイビキをかいていると信じて……。
(ポンポコ浦澤からのコメント)
 なんだかこのあたりの木って、いかにも人の手が入っています、というかんじで緑の濃さも人工的に見えてしまう。
 (今年のゴールデンウイークに)屋久島の森を見てしまったからかなあ。屋久島の緑って、何十色も何百色もあるみたいに多様で豊かだったんだけど、このあたりはどうも単調で、ちょっとつまんないなあ。


で、でたー。マムシだあー! 
 7月16日(日) 現在地=雪倉岳避難小屋付近(?)
           きょうの食事=?
           きょうの快楽=?

 本日のポンポコからの電話は、午前11時20分ごろ。10分ぐらい話をしたところで、電話が通じなくなってしまった。山深くなってきたんだなあと実感。短い時間だったが、彼の無事が確認できてよかった。
 でも、話を聞いてみると昨晩はかなり危険な目に遭った、と電話のむこうで興奮していた。
 きのう歩いた富山県・新潟県付近は一日中土砂降り。重いザックを背負ったポンポコさんはかなり体力を消耗しながら、夕方の4時ごろには中俣小屋に到着した。もちろん小屋には誰もいない。(結局きのうは1日誰にも会わなかったらしい)
 中俣小屋には、囲炉裏があり、薪や荷物も置いてあった。地元の山岳会の人や猟師小屋として使われているのだろう、とポンポコは言っていた。
 ずぶ濡れになったせいで、ポンポコは疲労困憊。1時間は動けなかったらしい。ようやく一息つくと、靴の中までビショビショに濡れていることに気がつく。そこで、囲炉裏で薪を燃やして靴を乾かすことにした。火を起こすことはできたが、おかげで小屋中煙だらけになった。
 ふと、背後に気配を感じて振り向くと、棚の上に置いてあったトイレットペーパーがポトンと落ちる。いやーな予感がして、よくよく目をこらして見ると、ゴムのチューブのような細長いものが粘りつくようにスルスルと這っている。どうやら煙にいぶされてこの小屋の主(?)が出てきてしまったらしいのだ。
 あんなにたくましい身体をしていても、ポンポコはヘビや昆虫が苦手だ。何しろ子犬だって触れないんだから。ヘビ一匹のために、ポンポコは小屋を明渡し、外にテントを張ったのだった。
 電話がかかってきたときは、黒岩山まであと2時間の地点と言っていた。いまは、標高1000mぐらいのところだって。きょうは雪渓のある
お花畑に泊まり、明日は朝日岳に登るとか。ずいぶん気温が低そうだから、お腹を出して寝るんじゃないよ。
(ポンポコ浦澤のコメント)
 スミマセン。もう自分のことを「自然児」だなんて言いません。オレはまぎれもない都会人だと自覚したよ。しかし、あれはマムシじゃないのかなあ。あー怖かった。
 仕方なく小屋の外に出てテントを張ったときも恐ろしかったなあ。だってひっそりと静まり返って、ヤマンバでも出てきそうだったんだもん。
 しかし、一日中誰にも会わないっていうのも寂しいもんだね。まだ、孤独を楽しむことはできていないみたいだな。


ポンポコ行く手を雪に阻まれる!
 7月17日(月) 現在地=朝日岳(2418.3m)から40分ほど下った朝日小屋の前にテント設営(のはず)
           きょうの食事=?
           きょうの快楽=?

 きょうの東京は朝から暑かった。梅雨はどこに行ったのか? 日中は33℃ちかくになったはずだ。
「あちー」と会社のデスクでのびているところへポンポコから電話(11時45分くらいに)。なんと、彼のいるナガツカ山付近には雪渓が広がっているのだという。
 灼熱の都会にいる私にはうらやましい限りだが、ポンポコにとっては「雪」を歓迎できるような余裕はなかったらしい。何しろ、雪で山道が見えない。そのために、ルートをはずれてしまった。足元が悪くてストックは壊れてしまうし。雪の壁を登ろうとして、5mほど滑落した。残雪に対応できる装備は用意していなかったので、身の危険を感じるような目にも遭遇したそうだ。
 しかも、このところ午後2時を過ぎると決まってガスが出て前進できない。きょうも、早々と朝日小屋に到着して(といっても、お金のないポンポコは小屋の外にテントを張る)明日早朝から活動するしかないようだ。もし、雪がひどいようなら、白馬岳(2932.2m)をあきらめなければならないかも……。
 そこでポンポコからSOSが出た。私と立山あたりで落ち合って、アイゼンや新しいストックを持ってきてほしいというのだ。
 まさかそこまで雪に悩まされるなんて。ポンポコがケガでもしないかと心配だし、久々に彼に会えるのが嬉しいので、この週末に「お届けモノ」をしに行くことにした。
 というわけで、「速報!今日のポンポコ浦澤」はしばらくお休みである。ナマポンポコに会って、しっかりその間の様子を聞いてきます。
(ポンポコ浦澤のコメント)
 
いやあ、まいったよ。こんなに雪に邪魔されるとは思ってなかった。北アルプスへの登山を考えているみんな、気温はそれほど低くないけど(今朝の気温は13℃だった)、残雪は覚悟して準備したほうがいいよ。
 オレもこのままじゃあ危ないから、ムンクに装備を持ってきてもらうことにした。道中長いのにここでケガをしたら、意味ないからね。


 申し訳ありません。
 7月18日〜7月23日まで、ムンクは出張および、ポンポコに物資を届けに、(多分)立山に出かけます。
 そのため、その間の情報は、戻ってきたらまとめてお知らせ致します
 
 お待たせしました。ムンクは7月23日深夜に東京の自宅に帰ってきました。結局、6日間、このコーナーをお休みしていたことになります。しかし、ポンポコに会いに行くことはできませんでした。予告では、22日、23日ごろポンポコと立山で落ち合い、足りない物資・装備を手渡すつもりでしたが……。
 ポンポコより電話があり「22日ごろは落ち合えそうな場所にいないから、来週(29日)に飛騨高山に来てくれ」だって。ということで、なまポンポコに会うのは1週間先になりましたので、あしからず。
 それでは、7月18日から23日までのポンポコ浦澤の足跡です!



ポンポコからの電話がない!
 7月18日(火) 

 いくら待っても、ポンポコからの連絡がない。そろそろ携帯電話の充電が切れたのか。電波が入らない山奥にいるのか。公衆電話のない小屋に泊まっているのか。ちょっと心配になる。



よかった! 電話があった!
(快楽登山7日目)
 7月19日(水) 現在地=白馬岳(2932.2m)

 2日ぶりにポンポコから電話が入った。(よかったー)
 私が仕事中だったため、1、2分しか話せなかったけど。元気そうで本当に安心した。
 昨晩は避難小屋に泊まったらしい。出発からきょうで1週間。ポンポコさんはこの間ひょっとしてずっとお風呂に入っていないんだろうか。

(ポンポコ浦澤からのコメント)
 大丈夫。オレは元気に「日本縦断激痩ダイエット登山」を続行中だよ。
 痩せてきた実感もあるよ。あのピチピチだったクールマックスのTシャツが苦しい思いをせずに着られるようになったからね。見てろよ。≪ジーンズの似合う男≫に復帰するのも近いかも?



1週間ぶりに温泉に入ったら……
(快楽登山8日目)
 7月20日(木) 現在地=欅平(宇奈月温泉のトロッコ電車の終点)

 ポンポコからのメッセージが入った留守番電話によると……。白馬を下って黒部渓谷の欅平にいるらしい。8日ぶりにお風呂、しかも露天風呂! に入り、洗濯もしたと言っていた。明日は阿曽原温泉を目指すらしい。



苦行の1週間を振り返る
(快楽登山9日目)
 7月21日(金) 現在地=阿曽原温泉

 朝、7時半ごろ電話があり、久しぶりに15分ほどゆっくりと話ができた。
 19日、20日の足取りを確認してみると、白馬岳(2932.2m)を下って、清水尾根を通って、不帰岳(2053.3m)に向かい、欅平に到着したらしい。この間、崖が厳しくて足を滑らせたり、道を間違えて谷に迷い込んだり、土砂で道が途切れていて道を探すのに苦労したと話してくれた。途中クマのフンらしき動物の排泄物に遭遇。冷や汗をかいたって。おー怖い。
 きのうは祖母谷温泉付近で人里におりてきたので、「カツ丼でも食べてやる!」と意気込んで定食屋に行ったら、なんと3時半で閉店していた。さすが田舎だ。しかたなく立ち食いそば屋で天ぷらそばを食べたそうだ。
 しかし、8日ぶりに入った欅平温泉での入浴は気持ちよかったらしい。その露天風呂で久しぶりに鏡を見てみるとそこには、≪別人≫のような自分がいたとポンポコは声を弾ませていた。「頬がこけていて、オマエの知らない顔になっている」だって。「でもお腹はまだちょっとだけ膨らんでいるけどね。しかしもうポンポコさんじゃなくて、ポンさんぐらいかな」と自信たっぷりだ。
 これに安心したのか、阿曽原温泉小屋で「3000kcal近くも食べちゃった」と18時36分の留守電に入っていた。きょうは阿曽原温泉にも入ったとか。気を緩めてケガをしないようにね。

(ポンポコ浦澤からのコメント)
 
親不知で日本海に触れ、零メートル地点からの出発。朝日岳(2418.3m)→雪倉岳(2610.9m)→白馬岳(2932.2m)→清水尾根→不帰岳(2053.5m)→祖母谷温泉→欅平→阿曽原温泉。これが7月13日からきょうまで9日間の行程だった。「快楽登山」を目指したオレだったけど、「快楽」とは程遠い「苦行」のような毎日だったよ。この間、雪渓で滑落したり、整備されていない登山道をで「道がない!」状態に頭は混乱。道に迷うことしばしば。天気は悪く、足元は悪い。「来てよかった」と思えたのは、白馬岳だけ。このごろ柄にもなくホームシックになってしまうし……。
 いかんいかん。いまのところまだ、目指す3000m峰にはひとつも登っていないことに気がついた。これから天気も回復するだろうから、もう少し楽しんで登れるかもしれないな。



■7月22日(土)と23日(日)はポンポコからの電話がない。ムンクは心細い二晩を過ごす■


立山頂上から3日ぶりの声が!
(快楽登山12日目)
 7月24日(月) 現在地=立山(雄山神社3003m)付近

 本日午前9時40分立山の雄山神社にある公衆電話からポンポコの元気な声が届いた。3日ぶりだ。どれだけ、ホっとしたことか。
 だって、きのう帰京の新幹線内の電光掲示板で心臓が凍りそうなニュースを見てしまったんだもの。「北アルプスで神奈川県男性会社員死亡。奥穂高から前穂高に向かう登山道で。悪天候で足をすべらす」。山の犠牲者のニュースに心が痛む。と同時にポンポコのことが心配でろくに眠れなかった。
 ところがポンポコときたら「いま、立山の頂上だー」と無邪気な電話。ともあれ、はりつめていた緊張がほどけた。あまり長くは話せなかったけど、充実したイイ声してたよ。

(ポンポコ浦澤からのコメント) 
 ようやく3000m級の山の頂に立ったぞ! 残すはあと20座。先は長いなあ。


「たまには山小屋に泊まりたい!」ポンポコ悲痛な叫び
(快楽登山13日目)
 7月25日(火) 現在地=薬師岳(2926m)付近
           きょうの夕飯=登山者からいただいたフリーズドライのすき焼きと山菜おこわ(ご馳走!)

 携帯電話の電波の状態がよく、久しぶりに20分くらいゆっくりとポンポコと話をすることができた。北アルプスはこのところ悪天候が続いているらしい。強風でテントのポールは折れ、ゴアテックスのテントも雨でベチャベチャだって。「お金があったら、たまには山小屋に泊まりたい」とポンポコ。かわいそうに……。待っててね、7月29日には高山までお金やテントのポール、食糧を届けに行くからね。
 厳しい日本縦断登山を続けるポンポコさんに、「快楽体験はないの?」と聞いてみた。すると、「あるある、五右衛門風呂!」とハシャギだす。3日ほど前のことだ。剣岳にほど近いさびれた山小屋で、ポンポコは無料の五右衛門風呂に入らせてもらったらしい。薪の燃えるニオイ。山を見上げるのではなく、見下ろしながら入るお風呂。精神的に豊かなひとときを過ごせたようだ。(節約のために山小屋には泊まらなかったけどね)いいねえ。贅沢だねえ。私も入りたい!!
 
(ポンポコ浦澤のコメント)

 ホント、五右衛門風呂は最高だったよ。眼下に山を見下ろしての入浴なんて、なかなかできないよ。いい経験させてもらったよ。たまにはこういう「快楽」もないとね。だって、5日ほど前、黒部渓谷を歩いたときは50cm〜70cmの幅の道(足を踏み外したら、300mはある谷にまっさかさま!)を5、6時間も歩いたんだからね。怖かったよ。
 


きょうはメールでの交信のみ
(快楽登山14日目)

 
7月26日(水) 現在地=鷲羽岳(2924m)あたりか?

 きょうの14時55分ポンポコからの電話が私のケータイに入ったけど、2回呼び出し音が鳴っただけで切れてしまった。話はできなかったけど、無事でいるらしいことがわかり、ひと安心。自宅に帰ってみると、ウチのパソコンにポンポコのIモードからメールが入っていた。
 着信時間は10時56分。内容はこうだ。「メール読みました足が寒いので寝るときように毛糸の靴下が欲しいです 高山楽しみです」。
 私たちは3日後の29日(土)、30日(日)と飛騨高山で久々の再会をすることになっている。そのときにポンポコからのリクエストの品々を届ける予定なのだ。ちなみに頼まれているのは……、ストック(持っていったのが雪渓で折れてしまったらしい)、シュラフカバー、濡れても冷たくならないグローブ、シュラフの下に敷くマット(私の空気で膨らませるマットに穴をあけてしまった!)、テントポール(強風で折れたので)、食糧(なかなか美味しい煮込み用のパスタを買って持っていったが、たまにはご飯が食べたいとのこと)。などなど。寒さ対策のグッズが多い。冬でも布団を蹴飛ばすほど暑がりのポンポコが「寒い、寒い」とSOSを出してくるとは。夏山といっても侮れません。
 待っているんだよ。私は28日(金)23時発のバスで高山に向かうからね。だけどこんなに大荷物を持って朝、会社に出かけなければならないなんてトホホです。
 


きょうは晴天。電話は大パノラマ広がる山頂から
(快楽登山15日目)
 
7月27日(木) 現在地=黒部五郎岳(2840m)

 ポンポコからのケータイの声がこれまでになく鮮明だった。「いやー素晴らしい眺めだね。槍ヶ岳が見える。穂高もキレイだねえ」と、いきなり山頂レポートをしてくれる。黒部五郎岳の山頂にいて、久しぶりの快晴を満喫している様子。
 きょうの電話で、ポンポコの「持ってきて欲しいものリスト(詳しくは≪第2章激闘!北アルプス扁≫をクリックして昨日の記録を見てね)」が増えた。短パンをどこかに置き忘れてしまって、変わりのパンツを持ってこい、というのだ。山でも相変わらず「散らかす、なくす、壊す」の特技を発揮しているようだ。
 頼むからもうこれ以上、「お届けモノ」を増やさないでいただきたい。よろしくね。

(ポンポコ浦澤のコメント)
 
レインウエアのポケットに入っていたメジャーで腹回りを計ってみた。そうしたらなんと、81p! どうだ8cmも減ったぞ!(信じられないキミは、≪第1章苦闘のプレ登山編≫の6月13日のウエスト計測記録を見てくれ)
「快楽登山」は難しいけど、どうやらダイエットは成功しているようだな。 


 
ポンポコとムンクは高山で再会できるか?(快楽登山16日目)
 
7月28日(金) 現在地=新穂高付近でないと困る……
 
 きのうのは黒部五郎岳の山小屋に泊まったはず。きょうはひたすら山を下り、里を目指して進行していると思うのだが、ポンポコからは連絡がない。私が29日の早朝に高山に到着することは伝えてある。ポンポコは新穂高からバスに乗り、高山に向かうはずだが、電話がないから、待ち合わせもできない。
 本当に明日会えるのかなあ?


 というわけで、ムンクはこれから深夜バスに乗って、高山に行ってきます。ポンポコに会えたかどうか、どんな様子だったかは、7月30日(日)の夜には報告できると思います。
 では、行ってまいります!


高山で無事再会(快楽登山17日目)
 7月29日(土) 現在地=飛騨高山


 
ポンポコは真っ黒に日焼けしていました。お腹が少しへこんでいました! 7月29日午前8時半高山のバスターミナル。ポンポコは新穂高温泉からのバスから降りてきた。彼の着ている赤のフリースには、15日間の汗とホコリと森の湿気のニオイが染みついてる。
「炊きたての白いご飯が食いたい」とうポンポコをなだめて、入浴だけでもOKのホテルに向かう。だってもう1週間近くお風呂に入っていないというのだから。ホテルまでは歩いて7分。空腹に耐えきれず、途中のパン屋で4つのパンとトマトジュースを買う。ホテルに着くまでに、むしゃぶりつくようにパンを2個飲み込んだ。
 ポンポコがお風呂から出てくるまで、私はホテルのロビーで待たせてもらった。のびきった髭をそってさっぱりした顔のポンポコが得意そうに戻ってきて言う。「体重75.4kgになってたよ」。2週間で、約5kgの減量に成功! たしかに、丸顔からアゴの先がとがって見えるようになった気が……。

 予約を入れた旅館に荷物をあずけ、高山の街に出た。「うわー、飛騨牛だって、食いてー」「あっ、うなぎもいいなあ」「昼間っから酒を飲むってのもいいよなあ」「ねえ、何食う?」。ポンポコの目に入るのは、食べ物ばかり。「飛騨牛は夕飯に出るし、山で粗食をつづけてきて急に重い食事をするのもよくないから」と説得して、古い町並みにあるシックな佇まいのおそば屋さんで、そばがメインの定食と冷酒、サラダを頼む。あんなに幸せそうな顔で食事をするヒトを見たことがない。
 「きのうはいちにち雨でびしょぬれになって、山小屋で温かいウドンを食べようと思ったんだけど、食べたらきょうのバス代がなくなっちゃうから我慢したんだよ」とポンポコ。「登山中でいちばん美味しかったのは?」と聞くと「山小屋で食べたカツカレー」だって。

 4時ごろまで街をブラブラ歩いて、旅館に戻る。部屋は10畳の小奇麗な和室。そこに、ポンポコがザックの中身を広げはじめた。中から出てくるものはすべてびしょびしょ。雨続きで、テントも寝袋も洋服も地図もとにかくすべてがジットリと水を含んでいる。こんなテントや寝袋で寝なければならなかったなんて、過酷すぎる! 何もかも濡れているから身体が冷えて寝られなかったらしい。そりゃそうでしょう。
 早速、旅館の部屋のベランダでザックの中の品々を干す。夕食後は、ガイドブックに「コインランドリーがある」と紹介されていた「旅篭力車イン」というホテルに洗濯に出かけた。(宿泊していないのに、洗濯させてくださってありがとう!)
「日本縦断激痩ダイエット登山」はまだ3分の2の行程が残されている。この高山で身体を休めて、少しでも気持ちよく登山が続けられるように準備しなくちゃ。久しぶりの再会をゆっくり楽しむよりも、次の準備に忙しい1日だった。 


高山2日目も食べまくり
(快楽登山18日目)
 7月30日(日) 現在地=高山〜新穂高温泉へ

 久しぶりのお布団の上で、ポンポコはゆっくりと眠れただろうか。間違いのないことは、朝からものすごい食欲だった。旅館の朝ご飯は和食。おひつに入ったご飯をポンポコは全部平らげてしまったのだ。お茶碗にすると合計4杯。ご立派! 宿の食堂には、高山で開かれる高校総体に出場する男子バスケットボール選手たちがお行儀よく食事をしていたが、食べ盛りの彼らだってポンポコほどは食べていない。
 食後は、10時のチェックアウトまでに、干していた山行道具一式を取りこみ、また荷造りだ。水分が乾燥して荷物は軽くなったが、その分、体積が増えた。しかも私が持ってきた追加物資もある。ポンポコのザックはみるみる膨れあがった。そのザックを背負って旅館をチェックアウト。高山駅に荷物を預けに行く。
 途中ポツポツと小雨が顔に当たる。空を見上げるといやーなカンジの鉛色の雲。山の方はさらに天気が悪そうだ。せっかくきのう乾燥させたテントや服も今晩にはまたグショ濡れになって、ポンポコを悩ませるのだろうか。

 しかし、ポンポコの頭の中は「お昼は豆腐料理の≪のぐち≫で食事をしよう」ということで頭がいっぱいだったようだ。果たして豆腐料理はおいしかったが、ポンポコ曰く「もう、食べ疲れた」だって。きっとこの2日で1kgは太ったのではないか。
 ポンポコは15時20分のバスで新穂高温泉へ、私は15時30分のバスで新宿へ向かった。今度、再会できるのは私がお盆休みに入る8月12日の予定。これからは、3000m級のメジャーな山への登山だし、夏休みに入って登山者も増えるだろうから、少し安心。何しろ単独歩行だと、何か起こっても誰も助けてくれないからね。快楽登山はこれからが本番です!



「食べ過ぎで身体が重い」
 (快楽登山19日目)
 7月31日(月) 現地=槍ヶ岳(3180m)

 14時22分に、ポンポコから、私のケータイへ留守番電話にメッセージが入っていた。「いま槍ヶ岳山頂です。2時くらいからいつものように霧が出てきましたが、もう少ししたら晴れると思います」とのこと。高山での暴飲暴食がたたってか、身体も荷物も重いと嘆いていた。調子にのって、1日で冷酒2合、ビール2本、ワイン1本も空けるからだ。これで体重が1kg以上は増えたでしょう。
 さあ、これからが3000m級登山の本番。果たしてポンポコは「快楽登山」を極めることができるか?



ポンポコ雨にたたられる (快楽登山20日目)
 
8月1日(火) 現在地=北穂高

 家から駅まで、朝の出勤途中にポンポコからの電話。きょうも体調はよくないらしい。「でも頑張るよ」とケナゲなお言葉。メジャーな登山道を行くようになり、山道も出発当初よりはにぎわっているそうだ。
 本日2回目の電話は14時33分。ケータイの留守電にメッセージが入っていた。「いま北穂高岳小屋に到着しました」なんだか疲れきった声である。どうやら、また雨に降られ、そんな中でテントを張らなければならないらしい。「すごく寒いです」。かわいそうに。東京は35℃とうんざりする暑さで体力を消耗しているのに、ポンポコは凍えそうになっているとは。私がこの間届けた毛糸の分厚い靴下が役立っているといいのだけれど。



本日にて≪第2章激闘!北アルプス≫編 終了!(快楽登山21日目)
 8月2日(水) 現在地=上高地

 きのうきょうと、3000m峰登山がつづく。残念ながら連日天気はよくないらしい。それでも、「いまさら槍、穂高なんてメジャーな山に登っても……、と思ったけど、いやー眺めがよかったよ。何しろ山並みを見上げるんじゃなくて、見下ろすんだからね」とポンポコは興奮したようす。今朝は、テントの中でシュラフにくるまり、レモンティーを飲みながら、美しい朝焼けを眺めたんだって。ずるい自分だけ! ちゃんと写真は撮ったんでしょうね?
 しかし、きょうは雨の中、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳と10時間も歩いて相当疲れたようだ。それでも彼には「下山して上高地でカツカレーを食べる」という楽しみがあった。だから、ズンズン進んだのに……。上高地のかっぱ橋に着いたのは夕方の5時10分くらい。でも、5時で付近の食堂は閉店してしまっていたのでした。「ダイエット登山」とか言いながら、いつも食べ物のことばっかり口にするポンポコ。仕方ないか、それしか楽しみがないんだからね。
 さて、きょうで≪第2章激闘!北アルプス≫編は終わり。あしたから、≪第3章怒涛の乗鞍・御岳・中央アルプス≫編に突入! お楽しみに。
(ポンポコ浦澤のコメント) 
 
あーあ食べたかったなあ。カツカレー。
 しょうがないからいま、ムンクが持ってきてくれた「いちごビックル(中身はワイルドターキー)」を飲んでいる。これでちょっとは冷え切った体が温まるかな。
 あしたは乗鞍の麓で、カツカレーとカツ丼を食べてやる!


     さて、この続きは→

              日本縦断登山中盤、山に里に出没するポンポコの足跡→怒涛の乗鞍・御嶽・中ア編
              3000m峰目白押しの山行から感動のゴールまで→勝手に生きろ!南アルプス編

 心臓等に疾患の無い方のみご覧ください

          現状写真:これが腑抜けてしまった出発前のポンポコ浦澤のカラダだ!
          参考写真:10年前ジーンズが似合う男だった頃のポンポコ浦澤はコッチ!

 ポンポコ浦澤 苦闘の歩み
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  (保存資料)

 励まし、質問、お叱り、その他  ポンポコの日本縦断は無事終了しました ご協力ありがとうございまし

みなさんからのこんなメールをお待ちしています!

●ひとりで「日本縦断登山」に挑んでいるポンポコ浦澤への励ましの声
●現在、北アルプスを行くポンポコ浦澤への快楽情報
 秘湯情報、心が洗われるほど美しい快楽ルート、お金のかからないおいしいもの情報、お勧めのキャンプ場など待ってます! 
●ポンポコ浦澤目撃情報
 ポンポコのパートナー、ムンクは東京にいながら彼が無事に旅を続けているか心配でなりません。そこでポンポコを見かけた方、メールでご一報いただければ幸いです。
 ポンポコ浦澤の特徴は、身長171cm体重80kg。年齢34歳。お腹はたるんでいるが、上半身は胸板が厚くがっしりしている。髪の毛は天然パーマでクリクリとしており、ゴムで後ろで結わえている。薄いブルーのサングラス着用。「ローアルパイン」のモスグリーンの85リットルのザックを背負っている。
 こんな特徴の登山者にピーンときたらメールでお知らせください
●ポンポコ浦澤およびムンクへの質問