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5. 7音のスマル・プグリンガン=サイ・ピトゥ

updated 2001.8.19.
2006.9.5 表記や文言を修正し、記事を追加。
2006.9.9.写真を追加。

5音のガムラン・ゴン・クビャールやゴン・グデなどと異なり、ガンブーの曲を移植したスマル・プグリンガンは7音で作られたと見られます。
しかし時代の波に押されて7音のスマル・プグリンガン(=スマル・プグリンガン・サイ・ピトゥ(semar pagulingan saih pitu))の存在は数少なくなっています。ここでは今でも7音のスマル・プグリンガンを持つ代表的な村を挙げてみました。

5.1 パガン・クロッド(Desa Pagan Kelod, Denpasar)


sekeh gong pagan kelod
■録音:
1."GONG SEMAR PEGULINGAN PAGAN KELOD" VOL.1&2."(BALI RECORD B373&374)カセットテープ
2."PANJI IN BALI 1"(MUSICAPHON BM30SL2565) LPレコード
・古いスタイルのスマル・プグリンガン、それも7音のものは、ここと次に挙げるKamasanカマサン(クルンクン)のものぐらいらしい。

古いスタイルの「曲」を持つスカ(またはスコSekaa,Sekehe)はアバビ(Ababi カランガサムの北)にもあることが昨年出たCDからわかったが、Ababiのガムランも7音ではなく5音である。

sekeh gong pagan kelod ・録音2の解説によると、Paganのガムランはお金が無くて調律できないらしい。1997年のペスタ・スニでは上記録音と同じレパートリーで登場したが、楽器の音色も相変わらずだったそうだ。

2001.8.追加:2001年のペスタスニにも登場。前回よりも演奏された曲数が減っていた。音色は相変わらずショボいが、曲のスタイルは今となってはユニークなもの。うまく生き残ると良いが。。。

2006.9.追加:楽器所有権の問題から修理ができないので、音がへっぽこになっているのだ、という話を聞いてから随分経ちます。スコが無くなったという話は聞きませんが、大丈夫なのか?

■楽器編成:ジェゴガン2、ジュブラーク4*、グンデル・ランバット2、ガンサ・プマデ4*、ガンサ・ジョンコック4*、トロンポン1、クンプール1、クモンなし、クレナン1、カジャール1、クンピュン(ポンガン)1、チェンチェン1、グントオラッグ1*、クンダン2、スリン4、ルバーブ1。(Rai,1996)
(*注*1972年当時は、ジュブラーク2+プニャチャ2 、ガンサ・プマデ2+カンティラン2、ガンサ・ジョンコックとグントオラッグは無かった。"Panji in Bali I"(LPレコード)解説Tillman Seebasによる。)
写真上:トロンポン。ウチでは「鶏ガラのオジサン」と呼んでいる。彼の後継ぎは居るのだろうか?写真下:左から、ガンサ、クンダン(2)、ポンガン。このクンダンがテンポを早くし過ぎているように思った。

5.2 カマサン(Desa Kamasan, Klungkung*)

*今はKotaの方はSemarapuraというんですよね。。。
■録音:
1. "ANTHOLOGY OF THE MUSIC OF BALI VOL.4" (BUDA RECORDS) CD
*2曲収録
2."GAMELAN SEMAR PEGULINGAN SAIH PITU ; THE HEAVENLY ORCHESTRA OF BALI"(CMP)CD
3.(パガンの2.に同じ)
    *1曲だけ収録。
・ここのガムランは数年前にCDがリリースされ、(そのせいもあってか)再調律されたらしい。
古い録音よりも良い音になっている。

・パガンと同じく1997年のペスタスニに登場していた。
2001.8.追加:こちらも2001年のペスタスニに登場。2000年にプラ・バレ・バトゥールに見に行ったときは、新しく5音のトロンポンを作ったとかで、儀式用の曲(ルランバタンLelambatan)をガンガンに弾いていた。見ると、ゴン・グデやブレガンジュールに使う楽器ブンデ(Bende)まで揃えてあった。
古い曲も保存しているが、儀式の実用に供するためにはゴン・グデの曲もやる。ASTIスタイルのレゴンに挑戦しているテープを聞いたこともある。(結構悲惨だった)。スカとしては良い状態にあるようだ。

■楽器編成:ジェゴガン2、ジュブラーク(チャルン)4*、グンデルなし、ガンサ・プマデ4*、ガンサ・カンティラン4*、ガンサ・ジョンコック4、トロンポン1、クンプール1、クモン1、クレナン1、カジャール1、クンピュン(ポンガン)なし、グマナック4(1)、チェンチェン3(1)、グントオラッグ1(2)、クンダン2、スリン4(1)、ルバーブ1。(Rai,1996)(カッコ内はCD解説書の編成)
(*注*1972年当時は、ジュブラーク2+プニャチャ2 、ガンサプマデ2+カンティラン2、ガンサジョンコックとスリン、ルバーブは無かった。"Panji in Bali I"(LPレコード)解説Tillman Seebasによる。)

写真上:ガンサ・ジョンコック4台を二人で叩いている。
写真からするとジュブラーク(奥)は2台だけか。
写真右下:狭い所に無秩序に並ぶガンサ。いづれも2000年
バレ・バトゥールにて撮影。この日はルランバタンをやっていた。

5.3 プリ・バトゥブラン(Desa Batubulan, Gianyar)


2006.9.追加
■録音:なし

■楽器編成::ジェゴガン2、ジュブラーク2、グンデルなし、ガンサ・プマデ4、ガンサ・カンティラン4、トロンポン(14鍵 1、クンプール1、クモン1、クレナン1、カジャール1、クンピュン(ポンガン)なし、チェンチェン1、グントオラッグ1、クンダン2、スリンやルバーブは未確認だがおそらくあるはず。

■記事:カランガサム王家から売りに出された楽器を購入し、プラワ(Prawa:楽器の枠や土台)を塗り替えて、プリ・バトゥブランに保管されているとのこと。一応活動もアクティブな状態になっているようだ。鍵盤の状態は非常によく、美しい音がする。(2006.8.28.取材)
カランガサム王家から出たという話には疑問をはさむバリ人も居た。カランガサム王家ならば5音のはずだ、との論拠であった。(2006.8.コマン・スディルゴ氏口頭)王家からプリへ直送されたわけではないのでその間の事情はどうであったのか。。。
王家の話が本当であれば、そこに伝わっていたかもしれない曲の数々はどこへいったのか(失われたのか)という疑問も残ります。
とにかく、再び売りに出されたりしないよう活動を続けてくれれば、サイ・ピトゥのファンとしては嬉しいです。

  
写真左上:左手前からガンサ・カンティラン2、真ん中と右にガンサ・プマデ4、右奥にガンサ・カンティラン2、
真ん中奥がジュブラーク2、左奥にジェゴガン2。
写真右上:ガンサ・カンティランの鍵盤に注目!分厚くて丸い「カマボコ型」ですねえ。(以上写真追加2006.9.9.)

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