ミガキング


 ケチのつけどころが少ない隼だが、純正のタンデムステップ(2人乗りで足をかけるところ)は、ちょっとペカッとした安っぽい雰囲気で、あまり好きになれない。そこでペイント・マイスターM氏と、金属加工に詳しいY氏のアドバイスの下、ちょいとバフ掛け(鏡面加工)に挑戦してみることにした。
 磨いて、磨いて、磨いて、磨く。ただひたすら磨き込む、テマヒマ・エコノミー・チューンである。(Re-bornプロジェクトにお金がかかったので、金欠なのだ)

 まず愛車からタンデムステップを取り外して…と思ったが、このパーツはマフラーのステーを兼ねているため、外すと作業終了まで乗れなくなってしまう。のんびり作業をしたかったこともあり、スペアを購入することにした。もちろん新品の必要はないので、オークションで入手。少々キズのあるやつが左右セットで2000円。まぁ、ぶっつけ本番で失敗するのが怖かったし、この金額なら許容範囲だ。キズも消してしまうから関係ないし。

 グラインダも、同時にヤフオクで購入。新品は高いけど、中古なら2000円くらいから売りに出ていて、案外安かった。これからも使えそうだし、要らなくなったら、売ってしまえばいい。
 あと、ホームセンターで耐水ペーパーと、電動ドリルにつけるようバフ(堅バフ。他に仕上げバフやら羊毛バフやらあるんだけど、一番荒いヤツだけで割愛した)と、「青棒」と呼ばれる研磨剤を入手し、準備完了。
 ん? なんだかんだ云って結構費用ががかかっているような…(-_-;

 取り外されたパーツをよく見ると、シルバーとクリアの塗料で塗装されているようだ。まずはこいつをキレイに剥がさねばなるまい。
 耐水ペーパーの、80番くらいで一気に塗料を落とし…はじめたら、かなりキズが深くなってしまったので(あとで消すのに大変だった(^^;)、120〜180番くらいでスタート。裏側は肉抜きのため複雑な形状をしているし、どうせ見えないので触らず、オモテ側をシコシコと磨いていった。

 

 右が、120番→180番→240番→320番→400番まで掛けたところ。(片側だけで、ここまで6時間ほどかかっている!)
 この状態だと、磨く前の方がかっこいい。もはや後戻りはきかない。


 600番〜1000番までは水研ぎ。耐水ペーパーだけでもかなりピカピカになった。(耐水ペーパーは2000番くらいまでかけることもあるそうな)
 所要時間8時間。くどいようだが片側だけだ。今の状態でも悪くないかも…とも思ったが(正直、ここでギブしたかった)、工具に掛けた費用が頭をよぎり、もうひとふんばりして電動工具で仕上げることにした。

 説明書を読みながら、グラインダにバフを取り付ける。3分間ほど試運転し、一端電源をオフ、増し締め。特に問題はないようだ。再びグラインダを回転させ、回転が上がったところでまず青棒をバフに押しつけると、わずかに削り屑を出しながら、白いバフがグリーンになっていった。


工房となったのは、わずか2/3畳ほどのスチールデスク。
サンドペーパーがけは、DVDでも見ながらのんびりと…

 さぁ、いよいよ本番だ。両手で材料をしっかり保持し、そっとバフに押しつけた。わずかに回転音が低くなり、アルミが付いたバフが黒っぽくなっていく。思ったより手にかかる力は強くない。バフに当てる面を少しずつ変え、上端を右から真ん中ぐらいまで押し当てていった。
 その成果を見てみて驚いた。たった30秒磨いただけなのに、鏡のようになっている。ほぇ〜! 比べちまえば、サンドペーパーで磨いただけのとこは、まるで曇りガラスだな。

 面白くなって、どんどん続ける。磨けるだけ磨いて、グラインダで磨けないところはドリルにつけたバフを使うことにした。こちらは丸く切ったボロ切れを数十枚重ねて棒をぶっ刺したような構造で、900円もするのがちょっと信じられない。へにょへにょのバフを回転させ、これにも青棒を付けてから、今度はクランプで机に固定した対象にドリルを近づけて磨いていった。

<クランプに近いあたりがバフがけしたところ。手前側はまだ磨いていない。
 サンドペーパーを掛けるときや、ドリルにつけたバフで磨くときには、対象を固定しておくとやりやすいし、安全。

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磨き終わったところ。
下に敷いたタオルの柄が映り込んでいるのが分かる?

 結局片側終わらすのに約10時間。反対側も8時間ぐらい掛かった。
 取り付けは、テールランプを外して、グラブバーを外して、テールカウルを外して、マフラーとの固定を解除して…、と結構面倒。ま、こないだやったばかりだったから手順に不安はなく、小一時間で両側取り付けることができた。(磨くだけでヤル気を使い果たし、結局取り付けは1ヶ月も経ってからだったことは捨て置く(笑))

 事前・事後にいろいろ検索したところによると、一般的な方法としては、(最初の塗料剥がしがなかったら)320〜400番くらいでスタートし、徐々に1000〜2000番くらいまで上げて青棒でバフ掛け→仕上げバフ掛け、というのが丁寧なやり方らしい。バフは3種類くらいを使い分けることもあるようだが、装身具ならともかく、バイクの部品だし、僕は1種類しか使わなかった。
 あと、もうちょっとラクをするなら、ディスクグラインダに付けるオフセット・サイザルという道具と、もっと粗めの研磨剤(赤棒・白棒)を使うと、バフ前の下地作りの手間が省ける。仕上がりは、サンドペーパーの方法にはやや劣るようなので、やっぱり好きでやる人には、愛を注ぎ込んでサンドペーパーで磨き上げてほしいな(^-^)

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 さて、手元に残ったのは、取り外したタンデムステップ一組。
 …磨いて、誰ぞに売りつけてやろうかしら?(いや、たぶん、もうムリ(^^;)

Nov.5th.2007
___PoN___