SLY走行会

●無念のトミン
 ツナギを持っていない僕がサーキットを走れる機会はあまりない。
 しかし,「またサーキットを走ってみたい!」と僕は密かに思い続けており,昨年に続き今年も鉄騎士倶楽部主催のトミン走行会がアナウンスされた時は,また走れるぞ〜!と胸を高鳴らせ、待つのももどかしく、受付開始当日に申し込みをした。

 数日後、Horic部長から受付受理の知らせが届く。よぅし,これでまたサーキットを走れるぞ!
 早速準備にとりかかる。装備についてはいつもの通勤ルックで問題はなかろう。あとはバイクだが,1ヶ月前に1年点検(?)して貰ったばかりだし,タイヤもブレーキもまだ残ってるし,基本的には軽整備でいいはずだ。
 それと前から密かにたくらんでいたオンボードカメラ搭載にも挑戦してみることにした。走行会2週間前にカメラのテストも兼ねて,箱根で練習。5時出の9時戻りという超短時間の朝駆けだったけど(その後家族サービスがあるのだ(^^;;;),まずまずの調子。ちと寒かったけど,ノッてたので,全然気にならなかった。(詳細は「鵜の目鷹の目、隼の目」で)
 さらに,うずうずしてきた僕は,青空の掲示板でまた別の走行会情報 〜2ちゃんねる発,第2回初心者の為のサーキット走行会〜 を発見し,そちらも申し込んでしまった。僕は何かに熱中しだすと止まらなくなるタチだが,こうなると子供と変わらない。カミさんも呆れていた(ほとんどビョーキ)
 走行会3日前にオイル交換。寒くなってきたので柔らかいオイル(SAE 5-40)にしてみた。さらにチェーンとキャリパーもメンテ。(つまりできる整備のレシピは全部やった(^^; )。よっしゃ,準備ばっちり、覚悟完了!

 と・こ・ろ・が…。
 走行会前日:職場の同僚がカゼ引いて病欠。午後になり携帯を見ると同僚から着歴あり。イヤ〜な予感…。
 おそるおそる電話してみると,体調が悪化傾向であり,明日も出られそうにない,と。同僚も私もいないでは明日は仕事にならないではないか。
 →休暇取り消し,決定。 な,なんてこったぁ…!!うぁぁぁん

 主催者に参加中止の詫びのメールを出し,世を拗ねる。鬱(-_-;;; 
 ま,なぐさめは当日が雨になったことぐらいですかね…(でも参加者のコメントを読んでると,雨の中でも実に楽しそうだったのよ。雑誌の取材も来てたみたいだし…。悔し〜)

 というわけで「2ちゃん発〜」が,僕の大本命になった。今回の事情があったので,当日の休暇はもちろん了承された(というか了承させた)
 さて,トミンの走行会では青空メンバーが居たが,今度は2ちゃんねる発だ。知り合いなんかいない。う〜ん緊張するなぁ…と思っていたら,なんとトミンを主催した鉄騎士倶楽部のホリック部長が,今度の走行会も副主催者であった(なんたること)
 部長にはこれまで1度しかお目にかかったことはないのだけれど,連絡を取ると,このサイトも見て下さったことがあるようで,僕を覚えていてくれた(隼のおかげだな〜)。おまけに,「よかったら…」と,部長が昔着てた皮ツナギを貸して下さるとのこと。
 ツナギ,つなぎ着られるんだ,ツナギ〜!! うわぁ,俄然盛り上がってきたぞ!


●SLYに行くぞ!
 朝5時半に起床,まだ暗く寝静まった町内を,音を殺して出発。甲州街道を西進し,ほどなく中央高速へ。
 仕事で八王子までは良くいくのだが,八王子以遠の中央高速をバイクで行くのは珍しい。高速とは思えないほどの上り坂,スラロームが続く,割と面白いルートだ。まだ車も少なくて,ハヤブサで疾走するのはとても気持ちが良かった。とりわけ厳しい上り坂も何のストレスもなく駆け上って、談合坂SAで小休止。韮崎までの距離を確認して,すぐに出発。ほどなくして,一度抜いたメルセデスSLが張り合ってきた。すぐ後ろについてくるから,一旦パスさせて,追走。こういうのは初めてだが,ちょっと楽しい。そろそろ車が増えてきてるから,ついて行くのは全く苦ではなかった。  20kmほどもそうしてついていっただろうか,目の前に「見渡す限りの直線」が飛び込んできた。こんなおいしい地形逃す手はない。久々にアクセルを全開にした。
 朝日を背負って冷たい風を切り裂いていく。まっすぐの追い越し車線を,4速で目いっぱいまで引っ張った。すごい,気持ちいい。あぁ,ハヤブサに乗ってて,良かった…(SLは既に眼中無し。最初の一瞬で置き去り。)
 道路のうねりで跳び(飛び?)そうになったので,アクセルを戻してお楽しみは終了、市民のスピードまで減速。双葉インターを通り過ぎた。そろそろ出口が近い。

 韮崎インターで降りて右折。道なりに15分ほど行くと,もうSLYの入り口だ。看板がなければサーキットの入り口とは信じられないような半舗装の林道みたいな細道を行くと,居るわ居るわ…。まだ7時半を少しまわったばかりだというのに,30台以上のバイクが既に集まっていた(実は僕はビリから3番目だったみたい。受付終了まで20分以上あったのに!)

 受付を済ますと,パドックへ案内される。屋根付きパドックに感動! バイクを停めて右隣のNSR(バイクの名前)さんと,左隣のTL1000(これもバイクの名前)さんにご挨拶。よろしく〜(^^)ノ

 走行会の舞台はスポーツランド山梨(通称SLY)。トミンは,全長660m,原っぱにアスファルトを敷いただけのような「草コース」だが(失礼),SLYは全長が1200mあり,コントロールタワーやパドック完備,シグナルや,スポンジバリアや,エスケープゾーンなども備えられた,サーキットらしいサーキットだ。

 さて,サーキットも2回目になると準備が早い。手早くミラーの撤去,灯火類のテーピングなどを進めていく。さらに今回のお楽しみ,ラップ計測用発信器を取り付ける。これはホームストレートのコントロールラインを通過すると自動的に1周回ごとのタイムを計ってくれる機械だ。結束バンド(タイラップ)でもってタンデムステップにしっかり括り付けた。
 前回のトミンの主催者、ホリック部長にもご挨拶。金髪短髪のサングラスのお兄さんで、まともにおしゃべりしたことなかったからちょっとビビリながら声をかけたのだけれど、部長はとっても奇策気さくな方で、快くツナギとブーツを貸してくれた。やったやった、ツナギだ〜(^^)



●走行開始、しかし…
 さていよいよ走行開始だ。
 カメさんクラス(無経験)、ウサギさんクラス(経験少々)、ウサギさんターボクラス(ツワモノ:以下ウサT)とあって、僕はウサギさんクラス。当日の出走順はウサT→カメ→ウサギ、各枠走行時間30分という風に始まったので、最初は待ち番だったのでホームストレート脇で見学。爆音を上げて各バイクが走り抜けて行くたびに表示板にラップタイムが表示され、そして良いタイムが出ると上位5番までは表示が残される。うわぁすげぇ本物みたい!(本物だってば) なんか、ヤル気出てきたぞっ。

 1時間のオアズケの後、コースイン。
 最初の数周だけ先導が付く。4番目くらいを走っていたのだが、とりあえず最初の数周はコースを覚えて路面を把握することに専念した。
 ここの特徴は高低差があることだろう。ホームストレートから,これに続く第1左〜第2右コーナーはかなりの登りになっている。その先は一転して下りになり,第3右コーナーはまるでジェットコースターの様に駆け下りていく。第4コーナーは軽く左にあおったあと,第5第6は右左の2連ヘアピン。その先はまた下りになっていて左クランクから右最終コーナーまではスピードが乗ったまま突っ込んでいくからかなり恐い(逆走したら更に恐いだろうな…。いや死人がでるかもしれん…)
 とりあえずコースの形を覚えたところで、ちょっとずつペースアップ。この日は気温が低かったし、先に走ったウサTの人たちが「タイヤが暖ったまんないよー」と泣いていたので1本目はとにかく無理はしなかった。
 途中、ラップ用発信器がうまく作動していなかったようなので,ナンバープレートステーに付け替え。下に金属物(この場合はマフラー)があったり,先端が下に向いていないとうまく計れないそうだ。再びコースインしたが今度は大丈夫。ラップするたび自分のタイムが表示されるのが、とっても嬉しい(^^)

 午前遅く、ウサギさんクラス2回目。
 外足荷重と切り返しのスピードアップをテーマに周回を繰り返す。タイヤが暖まったかどうかも、自分ではよく分からないので5周かけてウォームアップすることにした。頃合いを見計らって練習開始。左コーナーに対して、右がどうも苦手なのだ。腰がどうもしっくり入らない。左、右、とやってみて何が違うのか分からないのだが、左はすぱーんと倒し込んでいけるのに、右は全然安心感がない。怖いのだ…。
 30分時間いっぱい頑張ってみたが、全然乗れてない。うぅむ…。

 気分を変えるためにヒル飯を食べて、旗振りを続けて2回やる。
 3回目のコースイン。だいぶ暖かくなってきたのは良いが、すぐ隣のTL1000が転倒・リタイアしたばかりなのでちょっと萎縮気味。
 旗振りをしてて思ったのだが、自分のラインは全然なっちょらん。まだクリッピングという概念が分かっていないのだ。試行錯誤しているうちに少しマシになってきたが、ペースが上がるにつれステップを擦るようになり、やっぱり怖くなる。あげくにストレートエンドでギアが抜け、危うくオーバーランしそうになった。
 体力というか、気力が尽き、今度は時間いっぱいになる前にギブアップ。やっぱりぜんぜんダメ。絶望的な気分になってきた。来なきゃよかった…(ウツ



●疾走! 開眼!
 最後の走行順を待つ間、ホリック氏と雑談。ステップを擦ってしまうばかりで全然ペースが上がらないよぅ!と嘆くと、ハヤブサのバンク角の浅さに一定の理解は示しつつも、ハングオンできてないんじゃない?とばっさり斬られる。
 ハングオン!? そうか、バイクを倒しすぎないようバンク角は一定に抑えつつ、体をしっかりイン側に入れ込めばいいんじゃないか?

 4回目のコースイン。タイヤが暖まるのももどかしく、作戦実行。腰をしっかりイン側に落とし込み、外足のヒザの裏でバイクにぶら下がる様にするといとも簡単に安定した。先ほどまでの練習が効いているのか自然に外足荷重になる。内足はステップを踏むというより、ボディ側を圧迫。自然にヒザも出る。これが正解なんだ…! もはや確信だった。ノリノリで駆け抜ける。前が居ても遠慮無くパス。時計なんか見なくても分かる。絶対に、ペースが上がっている。涙が出てきた。(マジ) 嬉しい、楽しい、気持ちいぃ〜!!
 終了をつげるチェッカーフラッグ寸前、突然フロントブレーキが効かなくなってきた。フェード? いずれにせよもう体力も限界だったし、無理をせず撤収した。

 いやった〜、おわったぁ…。でももう1ヒートあればなぁ、せっかく乗れてきたのに。
 荷物を片づけ初めていると、主催者のぴたさんに肩を叩かれた。
 「PoNさん、模擬レースにエントリーしてますから」
 え?どういうこと!?
「もう決定ですから。ホームページのネタにもなるでしょ?
 ぬに〜??(な、なぜ主催者までうちのサイト知ってるんだ…)

 気が付くとスタートグリッドに並ばせられていた。模擬レースは全5周。早い人達は半周後ろからスタート、僕はもちろん遅い方だから前グループ(それどころか1番手だった)だ。全5周じゃ、タイヤが暖まる間もないじゃないかよぅ…と泣き言を言いたかったが、周回数を増やされそうだったので黙る。1周与えられたので、せいぜいタイヤを暖めようと加減速を繰り返してたら、フロントロックして危うく転倒しそうになり萎え萎え(-_-;
 グリッドについたところで、レッドシグナルが黄色に点灯し、スタート! 日が暮れかけて再び冷たくなった路面に怯える僕を、後続は容赦なく責め立てる。インをついて前に出たホリックさんがバランスを崩しエスケープゾーンに突っ込んでいくのを見てさらにビビる。う〜こんなんダメだぁ… 先ほどまで大分いい感じだったけど、最後の草レースでは全く乗れてなかった。頑張ったけど、ダメダメの最下位。ま、こんなもんだろうけどね、ちょっと悔しい…

 その後はリザルトを貰って解散となったが、もうちょっとライダー達とお近づきになりたかったので主催者(ぴたはは氏)やホリック部長達とご飯を食べについて行くことにした。食事のあと、調子に乗って慰労会まで参加、温泉ランドで裸のつきあい、してきました。(素っ裸でウォータースライダーやったぜ、イエーイ!(^^; )

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 帰り道は甲府昭和インターから調布インターまで45分で帰宅。怪我もなく、天気も良くて最高の1日でした(^-^)
 主催者のピタさん、大感謝です。どうもありがとうございましたっ! ホリック部長、ツナギありがとうございました。とってもいい思い出になりました!

 あ、そうそう。主催者から強要されているので(笑)、特に書いておきます。
「ぴたさんは,とってもイイ人です!」


(レポートのアップがめちゃめちゃ遅れてしまいました m(_ _)m
 毎日3回見に来てくれたぴたははさん,ずっとお待たせしてすみませんでした.おかげでカウンタ稼がせて頂きました(笑)

Mar.26th.2005