初峠は箱根から

 8月某日,快晴.朝4時30分寝ぼけナマコで起床.朝5時に東名入り口でGSX-R1000と落ち合い,更に5時半,海老名SA(通称(?):エビバー)でZZ-R1100と合流.初の複数台でのツーリングは,こんな風に始まった.まさに朝駆けだ.

 今日は初の峠(超メジャー,かつ近距離の箱根です)チャレンジで,なんでこんなに早起きするかと言えば,GSX-R1000(師匠)によれば「他の車が多いと危ないでしょ」とのことだった.近場なのも「もし怪我しちゃってもすぐ救急車が来てくれるところの方がいいじゃない」と,初心者のオイラにかなり気をつかってくれているらしきお言葉.でもエビバーでZZ-R1100を待つ間お結び(握り飯)を食べてると,師匠は何も食べていない.峠前に食べると気持ち悪くなるからだとか.…やっぱりかなりのペースで走るつもりなんだ.ううっ,怪我はしたくないなぁ….

 ちなみにこの日の服装は,上鎧(メッシュ・肩肘背中にプロテクタ入り)・下鎧(メッシュ・膝にプロテクタ入り)・手首から先の手袋(メッシュ・ごつごつしたガード付き)・ワークブーツ(全然バイク用じゃないやつ,安全靴(笑)).いろいろ揃ってきたもんだ.
 上鎧を,前のツーリング(伊豆単独行)の時にものすごく汗をかいたから,出発前に洗っておこうと思ってインナーを外して洗ったのだけど,洗い終わってよくよく見ると,このインナーどうみてもビニール製(?)で,風が通るようにはできてない.もしかして,春秋用のウィンドブレーカなのか!? こ,こないだのツーリングではメチャクチャ暑かったけど,ひょっとしてこれは取り外せる部品なのか…? インナーを外した状態で装着.室内ではあまり変わった感じがしない.まぁいいさ,走ってみればわかることさ.
 案の定.明け切らぬ朝,自宅から20m走っただけでも知れた.あのインナーは夏は外して走るものなのだ,と.

 エビバーから約30分で御殿場に到着.先の2台は走りなれた道らしく,おおぃ,待ってくれよう(ノビタの声で)と,泣き言を漏らしそうな私をシリ目に打ち合わせもなくどんどこ山を登っていく.途中2台の乗用車をパス(無理のないところでね).ところがその20秒後に濡れた路面にビビって甘いブレーキとなりコースアウト! 転びゃしなかったけど,側溝のフタの上に乗ってしまって,落ち葉・落ち枝をさんざん踏みつけた.道路に戻ったのはいいけれど,後から来てた乗用車(さっき抜いたばかり)には一部始終をきっちり見られてたろうなぁ〜,恥ずかしぃ〜(^^;; でもこのコーナーで一つ重要な事を学んだ.それは「オーバースピードでコーナーに入ってしまったからって,遅れてブレーキをかけてもバイクは起きあがってしまう,それは更にコーナーを曲がりづらくする」ということ.要するに,コーナー進入の前に十分スピードを落としておかなければならないということ(うひ〜教習所の教本どおりや〜)
 長尾峠〜湖尻峠の箱根スカイラインは早朝のせいか改札も無人.軽快に芦ノ湖スカイライン(ここを巣にしている4輪集団FGCのHPに全コーナー写真あり)の入口まで辿り着いてようやく停車.ここでドシロートの私を真ん中にしてフォーメーションチェンジ.先行(ZZ-R1100)がペースを教えてくれるし,後ろ(師匠)はフォームを見ててくれるという寸法.また,万が一転んでもすぐ助けて貰える体制だ.

 まずは芦ノ湖スカイラインの登り.割とスピードが乗るので怖い.ZZ-Rの2秒後ろを走ろう,と決めて追走.これまで甲州下り調布インターの入口くらいしか知らなかったきついRのコーナー(笑い事)が連続で来る.最初のウチは木陰の中,という感じだったが,途中から周囲の木々の背丈は低くなり,空の中を走っている感覚となった.なるほどスカイラインだ.なにしろ気持ちがいい,別に早く走ろうなんて思わないけれど,すごい快感.

 通称「山羊コーナーの駐車場」で小休止.とろろ蕎麦,のノボリがとても旨そうだったがまだ開店前なのでぐっと堪える.仕方なく(?)芦ノ湖スカイラインに向かう.何本か走って,コーヒーブレーク.いやぁ,楽しい! ど素人のおいらのコメントが連れの2人には面白くて堪らないらしい(いろいろと教えてくれた).なんかこの動きのリズムはスキーに似てる.ワインディングの感覚もそうなんだけど,空気の旨いところで,ドワ〜っと滑って(走って),集中力が切れる前に少しづつ休むあたりがそっくりだ.芦ノ湖スカイラインはGS(ジャイアントスラローム)かダウンヒルといった印象.
 あとここのドライブインには不良中年達が「いかにも」な車で乗り付けてきていて,エリーゼやらロードスターやら,果てはポルシェやフェラーリまで,ボンネット開けて見せびらかしっこしていたり,すごい勢いで攻めてたりして,子供じみてて面白いです.(もちろんケツにつかれたときは,隼よゴメンとつぶやきながら,即パスさせてました(^^;)

 少し慣れてきたところで,今度は大観山ドライブインへ移動.ここはもう,なんじゃ〜ってくらいバイクが停まっていて,少なくとも100台くらいはいた.50ccの原付クラスから,スーパースポーツまでとにかくたくさん,見て回ってるだけでも面白かった.'02年モデルの銀銀ブサと,年式不明の青銀ブサを発見.これまで隼とはほとんど巡り会ったことがなかったから,同類を見つけただけで,なんか幸せ(^^)

 ここから湯河原へ至る道に降りていったんだけれど,御天道様が高くなってきたせいが車量が多くて全然ダメ.と,その時路肩に人が倒れてる! そばには何人かバイクの人がいて,交通整理をしていた.破片に気をつけながらパス,しばらく行くとUターンできそうな場所があったので,Uターンして様子を見に行った.危なくないところにバイクを停めて転んで倒れている男性の元へ.道ばたで倒れたまんま携帯電話で話をしているので,命に別状はなさそう.おそらく独りで来ていて,応援(バイクのサルベージとかか?)を呼んでいるのだろう.周りで交通整理をしている人たちはきっと善意の走り屋達だ.
 GSX-R1000(師匠)が診察(なんとこの人は,現役の整形外科医なのだ).腰だの背中だの足だのを叩いたりさすったりしている.周囲の人に聞くと,既に救急隊には連絡済みで到着を待っているところだという.早く来るといいが….
 師匠が一通りの診察を終えた.内臓破裂も脊椎損傷も否定的で命に別状はなさそうだ,ただし右の肋骨が何本かイッてる,とのこと.その間に倒れているYAMAHAのバイクを連れのZZ-Rが診察.こちらは全損は免れないと.
 ううぅ,恐ろしや.十分注意して走っていたつもりだったが,今の事故をみて萎縮.自分でも走りが堅くなっているのがわかったから,もう一度大観山ドライブインへ戻り,落ち着くまで少し休憩させてもらった.

 11時過ぎになった.もはや観光客が多くてどうにもならないので,芦ノ湖へ出て観光.今日は走っていた時間よりもアスファルトの上でダベっていた時間の方が長かったから,すでに鼻のアタマのあたりが日焼けで痛い.この後強羅へ出て餃子センターで餃子を購入(強羅にはここしかメシ屋がないのでは? というほど並んでいた).御殿場インターへは138号線が混んでたので,長尾峠まで裏道(?)を走ったんだけど,スキーでいうところのSL(スラローム)みたいで今回はここが一番楽しかったなぁ.
 帰宅前に御殿場アウトレットで食事をして現地解散.カミさんへのご機嫌取り(なんせ8月唯一の晴れた週末を,家族放ったらかしで来ちゃったので…)を買って,帰途へ.帰りは渋滞していたけど,事故も故障も無く無事に戻ってくることができました.
 いろいろ教えてくれて,お守りをしてくれたGSX-R1000,ZZ-R1100のお二人方,すっごくすっごく楽しかったです.また連れて行ってください.どうもありがとうございました.
Sep.3rd.2003