高齢者の発熱(外来治療と入院治療)

 

(国保旭中央病院 糟屋美有紀先生論文を改変)

若年者に比べた高齢者の発熱の特徴

1)            細菌感染症(肺炎、腎盂腎炎など)の可能性が高い

→ 治療に抗菌剤を使用する頻度が高くなる

2)            重症感がわかりにくいので入院管理が安全

3)            しかし、入院すると歩行が悪くなる・認知症が出る(ADLの低下)

→ 入院治療を開始する判断基準が必要になる

 

90歳以上の発熱疾患や感染性疾患の治療状況 旭中央病院の報告

<初診時に入院治療を選択した割合>

1)        37度以上の46%が入院

2)        感染性疾患の59%が入院

3)        感染性疾患での体温と入院率の関係(熱の高さと入院率は無関係

 36度未満:約80%  36度台:約80% 

37度台: 約60%  38度台:約45%  39度以上 75

(注)高熱が出るインフルエンザは外来で初期治療していることと関係?

(注)結核症などは平熱の感染症。また、感染症の余病で入院することもあります

 

入院治療になった高齢者に見られたもの(入院率46%)

1)           主訴が発熱以外:「元気がない」「だるい」

2)           食欲の低下

3)           意識の変化

4)           動脈血酸素飽和度の低下(90%未満で呼吸不全)

【結論】入院と外来治療群間では、血圧・体温・脈拍・呼吸数に統計学的に差がなかった。入院治療開始は体温よりもADLの低下が指標になる。

 

参考:米国での有熱高齢者65歳以上、入院率20%)で重症化と関連する因子

1)      体温39.4度以上

2)      呼吸回数30/分以上

3)      白血球11000以上

4)      脈拍120/分以上     米国の報告と日本の報告には差があります