麻疹(はしか)と予防接種                【潜伏期間】10〜12日         

 

はしかは大病です。肺炎や脳炎を合併することもあります。治るまでは要注意。

                  症状は、大きく三つの時期に分かれます           

1) 10日ほどの潜伏期の後、初めの2〜3日は熱、咳、鼻水、目ヤニなど、風邪と同じ症状。一時的に熱が下がるのも特徴です。この時の診断は難しいです(「前駆期」)。

2) 一旦熱が下がった後、次の4〜5日は本格的な高熱になります(二峰性の発熱)。全身に細かい発疹が出ます。発疹は首の周囲や顔から始まります。徐々に融合し、色が赤から茶色〜黒っぽく変化していきます。咳こみが強くなり、食欲が落ち、ぐったりとしてきます。この4〜5日は全身状態が悪くなる時期です。

3) その後熱が下がり、発疹も消えていきます。咳や目ヤニなどの症状や全身状態などが回復してきます。それでもすぐに元に戻るわけではありません。解熱後3日間は安静に。

■治療 主に対症療法です。咳止め、熱さまし、時に抗生物質などを使いながら、必要に応じて点滴などを考慮します。重症者は入院治療になります。

■家庭で気をつけること

1      高い熱:熱が高くてつらいときは、熱さましの薬を使ったり、冷やしてあげたりして下さい。一方、寒気があるときは暖めてあげたほうが楽です。本人が快適に感じるように配慮。

2      強い咳:しつこい咳が特徴ですが、肺炎を併発することもあります。

3      伝染力は強烈:麻疹と診断されていない「前駆期」から伝染力があります。麻疹と診断された場合は「隔離」扱いになります。

4 入浴:回復期に入り、熱がなく、咳が軽くて、具合が良くなっていれば入浴可能です。それまでは、体を拭く・シャワーなどで、皮膚を清潔に。

■保育園・学校 熱が下がってから3日間は出席停止

■はしかの内攻 はしかが重症になると、全身の状態が急激に悪くなり、顔色は真っ青、手足は冷たく、ぐったりした状態になります。これは「末梢循環不全」の状態で、緊急処置が必要になりますので、医療機関に連絡してください。それまで見られていた発疹が消えてきます。このことを古くから「はしかの内攻」と呼びました。もちろん、回復して発疹が消えてきたのなら安心です(この時、本人は元気になっています)。

■ワクチン接種の注意

1 【全てのワクチンに共通】予防接種の副作用として、ごくまれに、注射の直後に急に具合の悪くなることもあります(アナフィラキシー・ショック)。15分〜30分は、医院の中で休んでいて下さい。(その場で適切な処置をすれば、最悪の事態はさけられます。)

2 当日は激しい運動は避けてください。入浴はかまいません。

3 20%に、接種後5〜12日目(多くは7日目)に、37.5℃以上の熱が出て、1〜2日でおさまります。高熱には解熱剤が使えます。熱に弱い方はご相談ください。また、体に発疹が出ることがありますが、自然に消えます。人にはうつらないと言われています。

4      弱毒化生ワクチンです。他の予防接種は四週間以上あけてください

■緊急予防接種の有効性は「ある」と言われています。                      原内科医院