流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)と予防接種

 

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)はウイルスによっておきる感染症です。治療は、安静と解熱剤などの使用が基本です。特効薬はありません。 

似た病気に細菌が耳下腺に入って起こる細菌性の耳下腺炎がありウイルス性との区別は難しいです。こちらは抗菌剤で治療しますが、再発が多いです。

おたふく風邪で最も目立つ症状は、1)唾液を作る耳下腺の腫れです。また、一番問題になるのは2)難聴です。通常は片側の耳だけですが、内耳の聴神経が壊されてしまいます。有効な治療法がなく、永続的です。頻度もおたふく患者の数百人〜数千人に一人の割合とされ、比較的多いものです。

 3)髄膜炎は、ウイルスが脳や脊髄に入り込みやすいために起こります。おたふくかぜにかかった子どもたちの1%〜3%におきるといわれていますので注意が必要です。症状は頭痛、吐き気、痙攣などです。

 成人男性では4)睾丸炎などがおきることもあります(約30%)。成人女性では(5)卵巣炎をおこすことがあります(約7%)。いずれも通常は片側だけですが、その側の生殖能力は失われます。その他、(6)膵臓炎の原因にもなることがあります。卵巣炎や膵臓炎では腹痛が出ます。

 おたふくかぜワクチンの副作用には、軽い耳下腺炎の腫れや、髄膜炎症状のおきることがありますが、いずれも程度は軽く、後遺症などをおこすことはまずないと言われています。ワクチン接種を受けるにはまず検査をおすすめしています。(かかったことがあるかどうかを抗体検査ですが、必須ではないです)

■接種上の注意

1 【全てのワクチンに共通】予防接種の副作用として、ごくまれに、注射の直後に急に具合の悪くなることもあります(アナフィラキシー・ショック)。15分〜30分は、医院の中で休んでいて下さい。

2 当日は激しい運動は避けてください。入浴はかまいません。

3 注射したところが赤くなったり、はれたりすることはほとんどありません。

4 2週間ほどして、時に熱をだしたり、軽く耳下腺が腫れることもあります。

5 2〜3週間後に、まれに髄膜炎をおこすことがあります。高熱、頭痛、嘔吐などの症状がでたら、診察を受けて下さい。(通常は軽くすみ、後遺症なく治っています。)

6      弱毒化生ワクチンです。他の予防接種は四週間以上あけてください

■緊急予防接種の有効性は「有効性なし」と言われています。