大腸癌検診

 

 大腸がん検診では、便の中の微量な血液(便ヘモグロビン)を検査しています。以前は、便の中の鉄分を調べていました。鉄分は、肉や緑黄色野菜にも含まれているため、食事制限が必要でした。現在の方法は食事の影響を受けず、精度も高いため、検診としての精度が飛躍的に向上しました。しかし、いくつかの注意が必要です。

 陰性とは正常のことで、便の中にヘモグロビンが検出されなかった場合です。しかし、大腸に病気があっても「陰性(正常)」と判定されることがあります。これは、現在の便ヘモグロビン検査(二回法)の検査の限界です。言い換えますと、検査法は良くなりましたが、残念ながら、

現在の大腸がん検診は100%確実な検査法ではありません。

 

5000人規模の大腸がん検診の報告では、

1      検査を受けた方の約7%(350名程度)が「陽性」の判定を受け、二次検査を受けている。

2      「陽性」の少なくとも半数の方は、大腸ポリープ・大腸がん が発見される。    その他に「陽性」となる病気には、口(歯槽膿漏など)、胃・十二指腸(潰瘍・がん など)、肛門(痔など)、大腸憩室症などの病気がある。

3      大腸疾患の多くは、大腸ポリープ(腺腫性ポリープ=良性腫瘍)。大腸ポリープは癌化することが知られている。

4      5000人中、1名程度(0.02%)は、実際に大腸癌があったにもかかわらず、検診で「陰性(正常)」の判定を受けてしまう。【検査の限界】

5      また、大腸がんの中には、三ヶ月程度の短期間に進行癌になってしまう成長速度の速いものがある。この種の大腸がんは、年一回の便ヘモグロビンの検査では見落とされる危険がある。

 

「陰性(正常)」と判定された方へ【大切な注意事項】

1      検査法の限界や成長速度の速い大腸癌がありますので、自覚症状がある場合は医療機関に相談してください。

2      自覚症状は、下血、便に血が混ざる、便に血が付く、便の形が悪くなった(”いびつ”な形)、便通の変化(便秘がちになった、下痢をしやすくなった)、おなかが張る、ガスが多くなった 等です。