胃食道逆流症(GERD

 

胸やけ と 逆流性食道炎】

内視鏡検査で食道の下部にただれなどの食道炎の所見があれば、食道に胃酸が逆流するために生じた逆流性食道炎と診断していました。しかし、3040%の割合で食道には異常が認められないため、最近では食道炎の有無にかかわらず食道内への胃酸などの胃内容物逆流による症状があれば胃食道逆流症と呼ぶようになりました。

 

【胃食道逆流症による胸やけ以外の症状

胸痛、咳(時に喘息様)、咽頭痛、嗄声(声がれ)、耳痛などのうち1つ以上

(耳鼻科・呼吸器・循環器症状など多彩な症状が出ます)

 

【原 因】:食道と胃の境界部にある下部食道括約筋(LES)の弛緩現象

・ 年齢による変化(いわゆる老化現象)

・ ピロリ菌の除菌治療後(胃十二指腸潰瘍を治療してもGERDは起こり得る)

 

【薬物治療】 

プロトンポンプ阻害薬PPI)が最も強力:タケプロン、パリエットなど

 PPIテスト:胃食道逆流症の患者さんにPPIを出すと症状が良くなります

次がヒスタミンH2受容体拮抗薬:ガスター、アルタット、ザンタックなど

【生活指導】

肥満や便秘・きついベルトやコルセットは腹圧を上昇させ、逆流を起こしやすくするので悪い。また、前屈み姿勢も逆流を起こすので注意する。

・ 横になると胸やけがする場合には、枕や座布団で上半身を高くする

食後2時間ほどは横にならない

・ アルコールはLESを弛緩させる。特にビールやシャンパンは胃の中で炭酸ガスが発生して胃を膨らませるため、これらのアルコール類を控える

・ 脂肪の多い食事、香辛料、コーヒー、たまねぎ、かぼちゃ、さつまいも、トマト、チョコレート、ケーキ、甘味和菓子は胸やけを起こしやすい。

   高血圧治療薬のカルシウム拮抗剤や、喘息治療のテオフィリン(テオロング、テオドールなど)は、症状を悪化させる可能性がある。

 

【注意】食道の”しみる”・”つかえる”感じがする時は、内視鏡検査を!