オセルタミビル(タミフル)にて治癒後14日目に再びインフルエンザを発症した一症例

(臨牀と研究 80:811-2、2003)

緒言

インフルエンザ診断用の迅速キット1)の普及とインフルエンザに有効な抗ウイルス薬2)の出現により、インフルエンザの診断と治療は新しい時代になった3)。インフルエンザ発症48時間以内ではオセルタミビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬の治療効果が高く、適切な治療によりインフルエンザ罹病期間は短縮されるようになった4)。

インフルエンザは冬季に流行するウイルス疾患であるが、罹患後に終生免疫を獲得することはない。そのため、前シーズンと同型ウイルスの流行が予測されても予防のためには毎年のワクチン接種が必要となる5)。血清型の異なるウイルスに罹患したことにより、同じシーズンにインフルエンザを複数回発症する症例のあることは知られているが、インフルエンザ罹患後には中和抗体が産生されることにより同一シーズン中は同型インフルエンザに感染しても発症する可能性は低くなると考えられる。今回、著者らは、インフルエンザ発病の直後にオセルタミビルにて治療し、治癒を確認した後14日目に再び同型と思われるインフルエンザに罹患した症例を経験した。抗ウイルス薬の使用と抗インフルエンザ抗体産生能の関係に示唆を与える症例であると考えられるので報告する。

 

キーワード:オセルタミビル(タミフル)使用時のインフルエンザ再発