再発性アフタ性口内炎におけるマレイン酸イルソグラジンの効果的な投与法の検討と治癒機転の内視鏡的観察

 

要旨

 胃炎、胃潰瘍の治療薬であるマレイン酸イルソグラジン(IM)はアフタ性口内炎の治癒を促進することが報告されている薬物である。再発性アフタ性口内炎患者7名において、自然治癒とIM投与時のアフタ治癒期間を比較したところ、IM投与にてアフタの治癒期間は有意に短縮された。

血中濃度シミュレーション曲線を作成することによって検討した結果、治療開始3日間は18mgIMを投与することが、治療効果を高めると考えられた。この投与条件で、1名の再発性アフタ性口内炎患者のアフタの治癒過程を自然経過と比較した。IMの投与によりアフタの治癒期間が短縮され、内視鏡的に観察した治癒過程は修飾されていた。白苔の菲薄化が早期に現れ、自然経過では認められないアフタ周囲の再生上皮増生が内視鏡的に観察され、瘢痕を残さずに治癒した。