日消誌;95(11):1229-34

 

重症急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害剤持続動注療法を中心とする併用薬物療法 -ulinastatin動注併用の試み-

 

要 旨 

 5例の重症急性膵炎に対し、蛋白分解酵素阻害剤(メシル酸ナファモスタット)の持続動注療法を施行した。5例中4例にウリナスタチンの動注を併用し、1例には抗菌剤 (IPM/CS)の動注を併用した。腹痛は速やかに改善し平均7.9時間で消失、圧痛は平均5.0日間で消失した。ウリナスタチンは持続動注用の留置カテーテルを介して動注するため、薬物動態的にも膵に効果的に作用すると考えられ、またメシル酸ナファモスタットとは異なる作用機序を有することより併用療法は有効であると考えられた。臨床的に、ウリナスタチン動注の併用は早期の疼痛除去に効果的である可能性が示唆され、抗菌剤動注の併用は感染性膵壊死の予防に有効であると考えられた。