上腹部不定愁訴に対する漢方治療 - 柴胡剤の使用経験について -

 

要旨

上腹部不定愁訴の症例のなかで胸脇苦満を認める症例に対し柴胡剤を使用し、その有効性を確認した。これら上腹部不定愁訴の症例の多くは、 Non-ulcer dyspepsia (NUD) の定義を満たしていた。NUDは漢方治療の良い適応疾患と考えられるが、すでに六君子湯の有効性が確認されている。しかし、腹部所見にて胸脇苦満を認める症例に対しては、胸脇苦満の程度に応じて柴胡剤を選択することがNUDの漢方治療にあたって有用であると考えられた。