症例報告

蛋白分解酵素阻害剤の持続動注療法が奏効した重症急性膵炎の一例

 

I. はじめに

重症急性膵炎は他臓器不全を併発し、現在でも予後不良の疾患である。1990年に改訂された急性膵炎臨床診断基準ならびに重症度判定基準においては重症急性膵炎の死亡率は30%以上1)であり、様々な治療が考案されている。著者らは、胆石症に合併した重症急性膵炎症例が通常の治療に反応せず、他臓器不全の兆候を示した時期に蛋白分解酵素阻害剤の持続動注療法 (continuous arterial infusion, CAI) を行い著効した症例を経験したので報告する。