大腸癌細胞株の分化過程におけるギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションの変化

 

総括

Caco-2細胞を用いて大腸癌細胞の自発的分化過程におけるギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションの変化を色素拡散法を用いて検討した。

1.細胞間コミュニケーションの解析に scrape-loading法のscoreを用いた定量化が有用であった。

2.細胞間コミュニケーションはpreconfluentの状態では認められず、confluent直後に出現し、細胞分化の早期の段階で細胞間コミュニケーションが発現した。

3.GJICの出現を培養条件との関係において捉えると、ALPを高く誘導する培養条件においてGJICの出現が認められる傾向にあった。

以上の検討より、分化誘導剤を用いない大腸癌細胞株の自然分化とgap junctionを介した細胞間コミュニケーションの発現は密接に関連していることが示唆された。