『キュアからケアの時代へ』は、ジャミー先生(高橋 誠先生)と、ポコの往復メールをまとめたものです。本文は48通のメールで構成されています。

平成8年度からジャミー先生は高校の社会科で、いのちの大切さを教える授業(平成11年度は「生と死を考える授業としての死への準備教育」)を担当されています。

ポコはジャミー先生の教え子ですが、ジャミー先生とポコが「先生と生徒」として、高校で出会ったのは、昭和53年でした。ポコは医学部に進学し医者になりました。一方、ジャミー先生は試行錯誤の後、「生と死を考える授業としての死への準備教育」を教育の中心的なテーマとして授業をされていました。

二人が約二十年の歳月を経て再会したときに、この往復メールが始まりました。個人的なメールではありますが、『キュアからケアの時代へ』を通して振り返ると、ジャミー先生とポコが共通して求めているものがあることがわかりました。そこで、一冊の本にまとめることを思い立ち、自費出版の道を探しました。

九州大学医学部法医学教室内 大道学館の古山正史先生のご協力で、念願の本にまとまりました。それが『キュアからケアの時代へ』です。

拾い読みが出来るように目次を充実させました。目次を見ることで索引を見ているようにできればと良いと思いながら、目次を作りました。その目次をこちらに掲載します。

 

 

【目次】(実際の本では、一部、変更点があります)

 序文     アルフォンス・デーケン(上智大学教授)

 出版によせて 日比紀文(慶應義塾大学医学部教授・慶応がんセンター所長)

 はじめに   原  歩

 メール1<ジャミー先生へ>ごぶさたしています

安らかな死

 メール2<ポコ先生へ>ぼくの「死への準備教育」(Death Education)

これからの医療と医学教育

 メール3<ポコ先生へ>鈴木荘一先生と、AERAの座談会でご一緒させて頂きました 

病人を持つ家族の精神の成熟

 メール4<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(1):薬を使った方が経営に有利な医療制度

検査漬け・薬漬け

 メール5<ポコ先生へ> 「緩和ケアの実践」というシンポジウムに行ってきました

ターミナルケア/ パリアティブケア/サポーティブケア

 メール6<ジャミー先生へ> キュアからケアの時代へ(2):SOAPからSMAPへ

S(症状)/M (受診の動機)/A (同意)/P (実際の検査・治療)

 メール7<ポコ先生へ>まさに「50の手習い」です

デーケン先生の「生と死を考えるセミナー」

 メール8<ジャミー先生へ>デーケン先生のテープを聞きました

和顔優語

 メール9<ポコ先生へ>「医学の源はホスピスにあり、学校教育の源は死への準備教育にある」

日野原先生曰く

 メール10<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(3):私の外来診療1

主訴/見極め/スピーディーな診療/余計な検査

 メール11<ポコ先生へ>「医療従事者によるターミナルケアの時代」から「学校教育の現場教師による『死への準備教育』の時代」に

 メール12<ジャミー先生へ>当直でした

 メール13<ポコ先生へ>ご苦労さまです

医者は一種の肉体労働

 メール14<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(4):私の外来診療2

癌には辛く/わからない時/治療のため/治療は引き算

添付書類:成人病ポスター(糖尿病、高血圧、食事療法、運動療法、糖尿病・高脂血症の管理)

 メール15<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(5):名医と方位

信頼関係の出発点

 メール16<ポコ先生へ>依頼原稿と講義の構想

 メール17<ポコ先生へ>「死への準備教育」のすゝめ

みんなで学ぼう、死に方のコツ・死なせ方のコツ

1)前置き

死生学

2)(1) 何を、どのように教えているのか

授業の内容と方法/死に場所の選択/死へのプロセス/悲嘆のプロセス

3)(2) どのようにしてカリキュラムの中に取り入れられたのか

導入の過

4)(3) どうして教えるようになったのか

経緯と動機

 メール18<ジャミー先生へ>講義の原稿を印刷して勉強しております

 メール19<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(6):万病の薬とカリスマ性へのあこがれ

患者側の問題点

 メール20<ポコ先生へ>万病の薬とカリスマ待望は古くて新しい問題です

死は汝に起こる

 メール21<ジャミー先生へ>「その薬はいらない」はどこの病院でも経験することだと思います

娘の質問「百歳になったら、つぎはどうなるの?」

 メール22<ポコ先生へ>小さい子供は死をどう考えるのか

マリア・ネーギー/ブルーボンド・ラングナー

 メール23<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(7):診断の遅れと人生の輝き

死の質

メール24<ジャミー先生へ>「モルヒネの副作用対策」という小冊子

 メール25<ポコ先生へ>癌患者の疼痛緩和

日本のモルヒネ使用量

 メール26<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(8):医療における生産性

労働生産性

 メール27<ポコ先生へ>教育や医療の現場にはインプットとアウトプットのバランス・シートは馴染みません

アートは損をすること

 メール28<ジャミー先生へ>高校時代の思い出

 メール29<ポコ先生へ>「ハレルヤ」

カーニバルの世界

 メール30<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(9):お医者さんと職人気質

理想像は職人気質を持った学者

 メール31<ポコ先生へ>少年写真新聞社「心の健康ニュース」

1)私の「死への準備教育」への道(1)

なぜ今、子どもに死を教えているのか

2)私の「死への準備教育」への道(2)

死への学びが教室に導入されるまで

3)私の「死への準備教育」への道(3)

死を教えながら教えられながらの三年目に思うこと

 メール32<ジャミー先生へ>「教えるとはなさいと言わずにさせること」は私の中に住みついています

 メール33<ポコ先生へ>メールは「自前用のメモランダム」

 メール34<ジャミー先生へ>時系列に並べて整理を始めました

 メール35<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(10):医学と医療・サイエンスとアート

患者さんの知らないところで隠れた病気と闘う

 メール36<ジャミー先生へ>AERA増刊号の座談会の感想

 メール37<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(11):外来診療と入院治療を結ぶもの

一般病院における「老化・病気の準備教育」

 メール38<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(番外):在宅死のことをお話しました

幸福な死に場所

 メール39<ポコ先生へ>かつては人間の誕生も死も在宅分娩、在宅死でした

訪問看護ステーション

 メール40<ジャミー先生へ>在宅医療自体が家内制手工業的なところがあると思います

在宅医療を医療の進歩として位置づける

 メール41<ポコ先生へ>この50年で在来の伝統的な家内工業的開業医が淘汰されていきました

車や自転車で30分以内が往診範囲

 メール42<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(12):延命医療に対する反省

「がんばりましょう」と「ひかえる勇気」の線引き/病気との共存を目指す医療

 メール43<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(番外):患者さんに「あ・・・・」と言われて

 メール44<ポコ先生へ>シェークスピア の "All's well that ends well"(終りよければ、すべてよし)とマザー・テレサ「死を待つ人の家」

「涙」も「ことば」

 メール45<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(13):患者を診る・家族を見る・そして患者を看る

手作りの治療計画と“お看取り理想図”

 メール46<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(14):「由らしむべし、知らしむべからず」-癌の告知と苦痛の除去-

日本の一般病院での告知/「間接的な告知」/癌性疼痛と心の痛み

 メール47<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(15):死生観

お看取りする側の死生観

 メール48<ジャミー先生へ>キュアからケアの時代へ(16):論語読みの論語知らずにならないために

生と死を見つめる勇気と道徳観

 ■付録

 私の「死への準備教育」(2)-「死への準備教育」の内容と方法-

(慶應義塾高等学校紀要第30号、2000年1月より)      高橋 誠

1)はじめに

「死への準備教育」という用語

2)「死への準備教育」の内容

授業概要/授業内容/終末期医療の改善と充実/悲嘆教育

3)「死への準備教育」の方法

体験学習プログラムの計画

4)おわりに

問われているのは教える者の死生観

 あとがき  原  歩・高橋 誠