入院治療計画書(A)

<病名・症状>

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)検査目的

胆道系(胆嚢、総胆管やその他の胆管、膵管)に、結石や腫瘍の存在を調べる検査です。

特殊な胃カメラ(上部消化管内視鏡)を使います。特殊という理由は、通常の上部消化管内視鏡は、正面に目(カメラ)が付いていますが、今回使用するものは、目(カメラ)が横に付いている側視鏡というものです。これは、胆汁・膵液の出口の、十二指腸乳頭部を見ることが目的だからです。通常のカメラよりも、太くて、先端(頭)の部分が長いので、その分、苦痛が大きくなります。

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)の検査は、内科で施行する検査の中で、最も辛い検査の部類に入ります。それでも、検査が必要なのは、今までの検査では、病気がはっきりしないからです。

この検査をしても、はっきりしないということもありますが、通常の検査の後に行う二次検査としては一般的なものです。

辛い検査ですので、麻薬系の鎮静剤を筋肉注射するのが一般的です。検査は、およそ30分位で終わると思いますが、患者さんによっては1時間以上かかる場合があります。

情報公開の時代ですので、はっきりと申し上げますと、全国ではERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)検査がもとで、死亡した方がいるということです。どの検査にも危険はつきものですが、この検査は、特に偶発症(副作用)の多い検査です。

想定される偶発症(副作用)の主なものは、

1)ショック(血圧の低下)

2)十二指腸などに穴があく(穿孔)、穿孔はカメラの通り道にはどこでも起こる危険があります。食道の入り口に穴があくということも報告されています。

3)胆管炎・膵炎:造影剤を胆管や膵管に逆行性に(無理矢理ということになります)入れますので、そこに炎症や細菌感染が起こることがあります。抗生物質や膵炎の治療薬は使用しますが、それでも回避できないことがあります。一度、胆管炎や膵炎を起こすと、悪循環がおこり、それが重症化することがあります。死亡原因にもなりえます。

4)使用する薬(麻薬系の鎮静剤)や、辛い手技によって引き起こされる、血圧の変動(高血圧の誘発や、その反対の血圧の過度の低下)によって引き起こされる、心臓病(心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈)や、脳血管障害(脳卒中)。

などです。

注意をして施行いたしますが、通常の検査よりも危険性が高い検査であるということをご承知いただきまして、検査をしたいと思います。御家族ともよくご相談の上、検査を受けるかどうかの選択をして下さい。検査を受けるときには、承諾書をいただくことになります。

<この検査に伴う検査>

適宜、採血・レントゲン検査など

<治療計画など>

麻薬系の鎮静剤の使用(検査時)

抗生物質(検査前後)

膵炎の治療薬(検査前後)

<手術予定>

病状により必要となることがあります。この検査の偶発症によって、手術が必要となることがあります。

<推定される入院期間>

病状によって変わります。

<その他>

合併症(余病)などについての説明は、補足v1.1に書いてあります。一通りご覧いただいた後、入院治療計画書(病院書式)にサインしてください。