春のあらし
雨に打たれる景色は
鈍色の
ブリキのようにこわばっていく
雨つぶをこぼす天も
また鉄色の
おのれに錆びついてゆく
春はこうして近づいてくる
だまし絵のような花を
売りつけにやってくる
のんきな連中は
いつまでも
口を閉め忘れて眠っている
少し緩んだ陽気が
お気に召すのかしら
それで
顔に開いた穴になにかが
もぐりこんでも
眠りまなこでそいつを
うまそうに喰っている
春はうまいなと
夢だらけになりながら
---------------- (改)
「 春がくる 」