あちこちが錆びついて
春を出迎えるのも鬱陶しくなった
踏みこむ脚にもなにかしら痺れがこもり
尻のあたりから不可解な電気が貫いてつらい
それでも春はいつものように爛漫に打ち寄せ
つかのま花片を夢のかけらさながら光らせて
また会えたねと愛(いと)おしくそよいでくれる
そうだねとぼくは去年とかわらず答えるべきだろうか
抜けるような青空に映えるきみはぼくたちのくりかえしてやまない馬鹿げた嘘や
帳尻のあわない殺意や反吐もよおす狂気けっして捨て場所のみつからない悲しみを
いったいどのように感じとっているのだろう
尽きることなく幾世代も重ねてしまうたよりなく寄る辺ない自己肯定の舗道にちらばるもの
それらなにによってもあがなわれず
( いったいなにによってあがなわれるべきというのだろう )
冷たく腐ってゆくばかりのおびただしいオブジェとそこにまとわりつく強いられた無言
そのうえをきみばかりがうすべにの涙をまぼろしのあがないのように散らしてくれるときに
2022.04
「春爛漫」