組曲「演奏会の風景」

第1曲 集合

 ついに来てしまった演奏会当日。曲は集合を告げるホルンの朗々としたソロで始ま る。(Hr.のS氏はいつも早くから来ている) やがて徐々に集まってくる団員た ち。その気持ちを表すかのように意気揚々とした旋律が奏されていく。曲の後半部よ り時折、名曲(難曲)の触りの部分が出現するが、これは団員たちの音出しの状況を あらわしている。

第2曲 ステージリハーサル(ステリハ)

 短い序奏の後、当日になってもテンポが決まらない、或いは指のまわらないフレー ズがあるという団員の焦りを暗示する旋律が出現する。「他パートの冷たい視線」の 動機も加わり、展開部へ。やがて「焦り」は「開き直り」の動機に変わり、「本番で はどうにかなるさ」という自信に満ちたコーダへと進んでいく。

第3曲 昼休み

 Vivace(快活に) ステリハの後、開場まで1時間半しかないため全体的にあわた だしい。曲はロイヤルホストへの団員の足取りをあらわすホルンのきざみに始まり、 「食事」「着替え」の主題が続く。「Yシャツ忘れた!」「ベルトがない!」などの ハプニングが起こることも。受付等のセッティングの後、コーダは全奏でAの持続音 となる。次曲「本番」に備えている。

第4曲 本番

 全曲を通し、作曲者が最も力を注いだと思われる曲。第2曲ステリハと同じリズム、 旋律が使われているが、ルバート、アドリブが多く二度と同じ演奏がされることはな い。 指揮者と演奏者の力量が最も問われる曲である。

第5曲 打ち上げ

 乾杯をあらわすトランペットの勇壮なファンファーレで幕を開け、少々堅さはある ものの和やかな雰囲気で曲は進んでいく。中間部より、第二主題「今回は練習不足だ ったので次回こそは…」が現れ、これは各パートにソロで受け継がれていく。やがて 曲はffのクライマックスを迎え、アタッカで次曲「二次会」へ突入する。

第6曲 二次会

 「打ち上げ」の堅さはすっかりなくなり、主題も「今度スキーに行こう」「飲み会 をやろう」など音楽とはあまり関係のないものとなっている。 時折、「次回はショ スタコを!」「いやマーラーを!」とはずれた音が混じることも。曲はffのトゥッ ティに終始する。

終曲 翌朝

 いつもは日曜日が本番だが、今回は土曜日なので気が楽だ。まどろみの中、「本 番」「打ち上げ」「二次会」の旋律がゆったりとしたテンポで再現され、けだるい雰 囲気の中、静かに曲を閉じる。

解説 小池晴夫


区民響機関紙「ポコ・ア・ポコ」第14号(1996年10月26日発行)より収録

Last update:Oct.12 1997
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