第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年3月28日 

ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲

オペラ開幕前、薄暗いオーケストラピットから聞こえてくる序曲の調べ。オペラの中の主なメロディーをふんだんに用いたその調べを聴いていると、やがて始まる舞台への期待でワクワクしてきます。妖精王オベロンの魔の角笛を表すホルンの音で始まるこの序曲からは、いったいどんなオペラの舞台が展開されていくのでしょう。

このオペラの内容は、”妖精達の神秘的な世界と人間のダイナミックな世界”。作曲は「魔弾の射手」で有名なウェーバー。とくれば、さぞや幻想的、そしてドイツ情緒たっぷりのオペラに違いありません。

ところが残念なことに、脚本の出来が悪かったため今ではほとんど上演されることがなく、舞台を見て確かめることはできません。ただ序曲だけは、今なお独立した管弦楽曲として親しまれ、しばしば演奏されているので(これで作曲者もうかばれるというもの)、それを聴いてあれこれ想像するしかないようです。

序曲からでも十分に、ドイツの森を背景とする神秘的な場面、最後の大団円のシーンなどが目に浮かぶような気がするのですが、いかがでしょうか。

(Bassoon) Y.K

メンデルスゾーン/バイオリン協奏曲 ホ短調

クラシックに興味があれば、誰でも一度は聴いたことがあるこの曲は、次のように例えられています。「ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトをアダムとすれば、メンデルスゾーンのそれはイヴである(ベネット)」。これは、この曲がベートーヴェンのそれと比肩すべき名曲であることを語っているとともに、女性的な優しさ、控えめを合わせ持った曲であることをも表現しています。

例えば第1楽章では、美しい女性の曲線美のごときヴァイオリンの旋律が、控え目な管弦楽演奏の上を、すばらしい調和をもってすべるように流れていく・・・。本日演奏して下さる水野佐智香さんは、そうした点でまさにこの曲にふさわしいヴァイオリニストではないでしょうか。

我が区民交響楽団も、佐智香さんがすばらしい音色をホール全体にろうろうと響き渡らせることができるよう、メロディと調和のとれた管弦楽を努めたいと思っています。ご期待下さい。

Violin S.S

ドボルザーク/交響曲第8番 ト長調

ドボルザークは9つの交響曲を残しました。しかしながらはじめの4曲は彼の生前に出版される事がなかったので、かつてはあの有名な「第9番(新世界より)」(当オケの第1回定演でのメイン曲)が「第5番」、そして本日演奏される「第8番ト長調」が「第4番」と呼ばれていました。事実、本日使用する譜面のタイトルはNo.4となっています。

彼の交響曲の中で、旋律や和声、リズムにボヘミア色が最も強く表れているこの曲は、好き嫌いのはっきり分かれる曲でもあります。当オケのあるホルン奏者は『ドボ8では燃えない』と言っていますし、他のホルン奏者は『3楽章を聴いていると涙が溢れてくる』とコメントしました。トランペット奏者の立場から言えば、あまり派手にやりすぎると日本人の感覚ではお祭り騒ぎになってしまう嫌いがあるので、多少ひかえめに吹くのがコツの様です。

いずれにせよ当オケは、都会的な曲よりもむしろ泥臭い曲を得意とする傾向があるので、自信を持って(と言い切るには一抹の不安が隠せませんが)お薦めのできる一曲だと思います。

Trumpet T.K