第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年3月27日 

チャイコフスキー/エフゲニー・オネーギンよりポロネーズ

9月の上旬、練習終了後に演奏会用パンフ編集役のS氏が私のところにやって来て言った。「Kさん、今度の演奏会のパンフのエフゲニーオネーギンの曲目解説、書いてくれませんか?CD持ってましたよね?」「えっ、でもあれ輸入盤だよ。曲目解説も英語。」「いいじゃないですか、仕事で英語使っているんでしょ?」「だって僕、船橋から往復3時間半かけて練習に通っているんだし・・・」「関係ないじゃないですか。」・・・、というわけで、曲の解説をしたいと思います。

プーシキンの韻文小説を題材にしたチャイコフスキーの5作目の歌劇「エフゲニーオネーギン」は1877年5月に着手され、翌年2/1に完成しました。当時としては異端な《日常性》を題材としたオペラで、それは彼自身これをオペラではなく《抒情的情景》と呼ぼうとしたところにも現われています。・・・とまあこんな難しいことは専門家におまかせするとして、今日はこのオペラの第3場第2幕で演奏される、明るく楽しい「ポロネーズ」を弾く側も聴く側も楽しんで頂くことにしましょうか。(うーん、やっぱり解説になっていないなあ・・・)

Violin S.K

グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16

ビューローはグリーグを「北国のショパン」と呼んでいますが、彼が残したピアノ協奏曲は意外にもこの一曲だけです。しかし、この曲は北欧の雄大な自然を思わせる美しいメロディーによって、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とともにロマン派を代表する名曲のひとつとして知られています。

彼がこの協奏曲を作曲したのは1868年、弱冠25歳の時でした。若き作曲家が満ちあふれる才能に任せて書いたこの曲は、現代の感覚に照らしても尚、新鮮でみずみずしさがみなぎっています。

一方本日この協奏曲のバックを務める港北区民交響楽団は一見してお判りの様に平均年齢が高く、作曲時のグリークと同じ25歳以下は数える程しかおりませんが、この曲が持つ若々しい美しさを少しでも多く表現できる様練習して来ました。その成果の程(?)をお聴き下さい。

では、本日ソロをお願い致しました小原佳子さんの演奏にご期待下さい。

Trumpet Y.S

チャイコフスキー/交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

作曲者の死の2ヶ月前に書かれたこの曲は、彼の作曲技法の全てを集約した見事な作品です。

さてこの曲は第1楽章のコントラバス、ファゴット、ヴィオラによって始まる呻きにも似た序奏や有名な第4楽章の悲痛な叫びのような冒頭など、全体を通じて人生の絶望、悲痛といったものがうたわれていますが、この悲愴感は当時の彼の個人的状況と無関係ではなさそうです。

一説によると彼はあまり名誉でない理由により、さる筋から服毒自殺を計るように迫られていたらしいのです。しかし、この曲は初演後「単なる第6交響曲では淋しすぎる」と感じた作曲者が、弟のモデストの示唆を受けて『悲愴』と命名したことからも判るように標題音楽ではなく、人が誰しも持っている悲愴感を象徴的に表した作品です。

私共がこの悲愴感を表現する事は私共の性格が明るすぎるのか、人生経験が乏しすぎるのか、他の理由からか、ともかく至難の技ですが、作曲者の意に背かぬ演奏に務めたいと思っております。

Viola A.K