第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年3月28日 

リスト/交響詩『前奏曲』

1854年に作曲されたこの曲は、詩人ラマルテイーヌの『瞑想詩集』の中の詩を基にして以下の4部構成となっている。
  1. 春の気分と愛
  2. 生命の嵐
  3. 愛の安らぎ・平和な牧歌
  4. 戦いと勝利
詩の流れに従い様々にそして劇的に展開して行くこの曲は、前奏曲と言うより小交響詩と言った方が適当かもしれない。

曲中で特徴的なのは、弦楽器(特に1st Vln)の美しいアルペジオで、これにHr等のソロが乗り、ピアノの達人であったリストらしいアレンジとなっている。全体として、各楽器の特徴をよく生かした作品に仕上っている。

リストのイメージ通りの響きがするかどうか、どうぞご期待下さい。

TROMBONE K.E

チャイコフスキー/バレエ組曲『くるみ割り人形』

ドイツの文豪ホフマンの話をもとにしたこの曲は、チャイコフスキーの「三大バレエ音楽」の最後を飾る傑作である。

彼は劇場から作曲を依頼された当初かなり難色を示したらしいが、不世出の名振付師ペティパの書いた台本を一読するやすぐさまOKしたという。こうして多忙の中、1892年2月ころからオーケストレーションに入ったが、翌月のとある演奏会で自作自演をする破目となり、やむを得ずこの未完のバレエの中から数曲選んで演奏会向組曲として披露した。これが今日演奏される「バレエ組曲くるみ割り人形」である。

バレエの初演はさらに9ヶ月後になるが、バレエの初演より組曲としての初演の方が早いという例は極めて稀なことである。

音楽の集いが家であったりするとそのあとで「頭の中が音楽でいっぱいだ」と頭をかかえて泣き出してしまうような繊細な少年だったチャイコフスキーは今日はたしてどんな顔をして聞いているであろう。

CLARINET S.S

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』

前略 ベートーヴェン殿

1年半ぶりの再会に私の胸はあつくなる思いです。そんな私の気持ちも知らずあなた様は相変わらずあのいかめしいお面のまま。港北区民交響楽団の演奏会で最多登場のあなた様ですが、この度はあの有名な交響曲第5番を演奏することになりました。

「運命はこのように扉をたたく」と言ったかどうかはさておいて、ジャジャジャジャーンと始まるこの曲の頭にある“”が私たちには曲者でして、タイミングが合わないと悲惨な運命になるのです。でも、そのといい、3楽章トリオの象さんダンス、終わりそうでなかなか終わらない4楽章・・・音符をかきながら、ニヤニヤしていたお茶目なあなた様の顔が目にうかんでくる私です。

私たちの演奏を、本日、御来場下さった皆様と楽しんで聴いていただければ幸いに思います。それでは又、近いうちにお会いできる日を願って。。。

VIOLA S.T