第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年3月27日 

交響曲第39番変ホ長調K.543/W.A.モーツァルト

この曲は、第40番、第41番(ジュピター)と共にモーツァルトの「三大交響曲」並び称されている曲です。1788年、32歳、窮乏生活、長女の死という悲しみの中で、僅か2ヶ月ほどの間に書かれたこれら三大交響曲は、「モーツァルトの交響曲活動の総決算であり、古典派交響曲の終極点を示す物である」(海老沢敏)と評されるほどの名曲です。

私たちが、この曲を取り上げるに当たって、「自分達には演奏困難だ。」という意見がでました。これはアマチュアオーケストラ仲間で「39番?!あそこが難しくてネ」と異口同音に言われる箇所があるからです。

この”常識”通り(?)我々も、その箇所には大変苦労しました。「情熱ではプロに負けない」と自負していても、特に、正確さが要求されるモーツァルトの場合”情熱”だけでは”聴かせる演奏”にならないわけです。

今日は、溢れる情熱をおさえながら、クールな気持ちで演奏したいと思います。

歌劇「リエンチ」序曲/R.ワーグナー

このいささか大仰な序曲は、当時流行していたグランド・オペラの様式を基本的に踏襲しており、後年のワーグナー的なもの−聴く者を引きずり込まずにはいない魔力、恍惚の絶頂へと昇りつめていく息の長い過程−は、まだ片鱗しかみることができない。

しかしこの曲は、様式がどうの、動機の関連がどうのと言うより、やはり華麗な金管の響き(?)を楽しむべきであろう。冒頭のトランペットのソロに始まり、最後のファンファーレに至るまでに随所に金管がムキ出しに現われ、我々金管奏者の唇に喜びと苦痛を与えてくれるのである。

なお、バスチューバ奏者として一言つけ加えておくと、当時(19世紀前半)この楽器は管弦楽にようやく頭角を現したばかりで、ベルリオーズ、メンデルスゾーンなどの管弦楽曲ではかなり高い音域で使われていた。このリエンツィも同様に高音域指向であり、この傾向はオランダ人、タンホイザーまで続くのである。

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲/R.ワーグナー

私が初めてこの曲に出会ったのが神奈川県立市ヶ尾高校1年の6月。夏の高校野球地区予選をあと1ヶ月に控え、吹奏楽部に入っていた私に手渡された楽譜に、この「マイスタージンガー」の最初の部分26小節が書かれていました。当時、創立3年目でその頃はまだ、校歌が出来てなく、もし野球部が勝ったら、校歌の代わりにこのマイスタージンガーを演奏するというのです。

結局1回戦敗退でグラウンドでこの曲を演奏することはありませんでしたが、この曲をワーグナーの「マイスタージンガー」と知らない人が聞いたら、”なんとカッコイイ校歌なんだろう!”と思ったかもしれません。今考えると思わず笑ってしまいます。校歌はその後すぐにできました。そのせいか次の年の夏の予選は4回戦まで進んだのですが、どうも最近はさっぱりの様です。

「マイスタージンガー」と出会ってから10年が過ぎましたが、この曲を聞くたびに青春時代を振り返ってしまう私です。