第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2007年2月12日 

ベートーベン 序曲「レオノーレ」第3番 ハ長調 作品72a

「レオノーレ」というキャラは、貞淑かつ勇気があり(おそらく美人)、ベートーヴェンの理想の女性像であると言われています。彼が生涯に1曲しか作らなかったオペラ、というだけあって大変気合いが入っており、序曲を4回も作り直しています。中でもこの曲は、オペラのエッセンスが最も濃密で完成度が高く、単独で演奏される機会も多いものです。

冒頭の木管tuttiは、世界中の木管奏者を泣かせてきました。みな同じ音で降りてくるというこのツラさ!! しかも指揮者によっては非常にゆっくり奏されることがあり、だんだん目が白黒してきます。酸素ボンベが必要です。弦楽器の跳躍や装飾音など、短い割にはテクニックも要求されます。

ラッパのソロだ!? と見ても舞台上のTrpは吹いていない!というビックリもあります。なにせ気合いの入った曲なもんで、リズムの噛み合わせが単純なようでいてとても難しく、“合っててもずれて聴こえる!”、だから、今日もずれてるように聴こえて、実は合っているのよ。って訳じゃないんですけど(笑)!

フルート的にはこの曲、大変オイシイ。。。至る所にソロがあり、甘美かつ華麗!!笛吹き冥利に尽きるというものです。念願のレオノーレ、楽しんでいただけると幸いです。

(Fl. S.O)

ベートーベン 交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」

この偉大な作曲家が創りあげた交響曲のなかでも、劇的表現の強い第7番とこの第9番は、人気ドラマにも取入れられて昨今すっかり多くの若者に知られるところとなったようで、教科書ご推奨の「運命」「田園」からお株を奪った感すらあります。

第9番は「合唱付き」という新しい構成の上に、彼が苦難多い人生に耐えた末、歓喜と人類愛の訴えを結実させた、音楽史上の最高傑作であり、様々な場面で人々に感動を呼起こしてきました。

この港北区民響も20年の節目で、いわば再出発を期します。世界中が厳しい環境になり、若者とともに高齢層も共に未来に向けて幾多の苦悩を乗り越えながら歩むことになるとすれば、歴史が繰り返すように、この音楽が力づけてくれることを願いたいものです。

彼の器楽作曲技術の粋を結集した3楽章までをオーケストラが演奏して、間髪いれず終楽章に入りシラーの詩による歌へ向います。

“おお友よ、このような悩みに満ちた音楽ではなく、歓びあふれる調べを皆で歌おうではないか!”

(Ob. S.M)