第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年5月28日 

「スペイン奇想曲」(N. Rimsky-Korsakov:1844-1908)

リムスキーコルサコフと言うと私はシエラザードとこのスペイン奇想曲しか知らない。以前シエラザードはやったのでよく聞いていたが、その続きにあったスペイン奇想曲は”チャンチャチャチャンチャチャ・・・”というフレーズを聞いたらそのままCDを止めていたので、その先を知らなかった。その後どっかのオケの演奏会で聞いて、初めて、何だこの曲にはホルンのソロがあったのか!と気がついた。

スペインと言われればスペインかもしれないとも思うが、この曲を聴いたファーストインプレッションはどう考えても中近東である。しいていえばトルコだ。だって、イメージが、ドネルケバブかパエリアか?といったら、ドネルケバブ持って踊っているトルコ人だろう。まあ、スペインは行ったこと無いからトルコのイメージになってしまうのかもしれないが。。。カプリッチョ、、、、カプリチョーザ・・・イタリアンか?という意味では、途中でイメージがパスタを食う陽気なイタリア人!となってしまって、これまた勘違い。と言う話がある。

しかし、こんなことを考えながらホルンのソロを吹いていると、指揮者から「ソロが健全すぎて、もっと妖しさがほしい」という、まことに的をついた指摘を頂くことになる。ということで、今日はせめていろっぽいシエラザードくらいなイメージをもってソロを吹いてみようと思うのである。
(Hr. ChiezouI)

「アランフェス協奏曲」(Joaquin Rodrigo:1901-1999)

皆様は、曲とはどのような機会に出会いますか? 中には当団の演奏会で、という方もいらっしゃるでしょうが(ありがとうございます!)、学校で、という方も多いのでは?

私とこの曲との出会いも、音楽の授業でした。確か中学2年だったと思いますが、第2楽章を鑑賞したのが始まりです。後にこうして演奏するなんて夢にも思いませんでしたが、あの哀愁漂うメロディーは、教科書に載っていたアランフェス宮殿の写真と共に今でも心に残っています。

さてこのアランフェス協奏曲は、20世紀のスペインを代表する作曲家、ホアキン・ロドリーゴの代表作です。

アランフェスは首都マドリードから50キロほど南に位置する小都市で、豊かな水と緑に恵まれ、王の離宮などで知られています。彼はこの地を新婚旅行で訪れ、河畔の自然の中を歩くうちに第2楽章の楽想を得ました。

その後この曲は、1939年に留学先のパリにて作曲されます。当時スペインは内戦の只中にあったため彼は祖国に戻ることが出来ず、遠い異国の地でアランフェスの情景だけでなく祖国を想いながら曲を書いたことでしょう。

3楽章からなるこのコンチェルトは珍しいギターの協奏曲として知られていますが、前述の2楽章には、重い病を患った夫人への慰めの心も込められていたということです。

果たして本日の区民響のアランフェス協奏曲との出会いは皆様の心に残りますでしょうか?ソリスト益田正洋さんの情熱いっぱいの演奏にご期待下さい。

(Vn. Y.U)

交響曲第6番「田園」ヘ長調 作品68(L.V.Beethoven:1770-1827)

作曲者自信が「田園生活の思いで」と書いた交響曲第6番は、それぞれ表題のついた5つの楽章から構成されています。この、あまりにも有名な「田園」に普通の解説は不要と思いますので、臨場感溢れる(?)港北公会堂ならではの、楽しみ方をご紹介します。

第1楽章 Allegro ma non troppo 田園に近づくよろこび
1小節目から第一主題(注)が登場します。2小節目の「タータラ・タンタン」とその変形が、様々な楽器で繰り返し登場します。違いをお楽しみ下さい。

第2楽章 Andante molto mosso 小川のほとりにて
コントラバスとチェロのピチカートの上に、第2ヴァイオリンとヴィオラが小川のせせらぎを表し、第1ヴァイオリンがメロディを奏でます。チェロの1プルト目だけが、ヴィオラ等と一緒に「せせらぎ」を弾いているのにご注目下さい。(途中省略)2楽章の最後の木管楽器は、何の鳥のさえずりでしょう。

第3楽章 Allegro 村人の集い
村のお祭りです。速い3拍子の部分と2拍子の部分が交互に繰り返されますが、どんな踊りを連想されますか。3拍子の部分のオーボエ、クラリネット、ホルンが吹く軽妙なメロディが聴きどころです。

第4楽章 Allegro 嵐
祭りの最中に、急に空が暗くなり、遠雷が鳴り、あっと言う間に、嵐になります。暴風雨を表す部分では、コントラバス奏者の左手が高速に上下し、弦との摩擦熱で指先が火傷寸前です。(ここを弾くたびに、映画「海の上のピアニスト」で、熱くなったピアノ線で煙草に火がつくシーンを思い出します。)

第5楽章 Allegretto 牧人の歌
嵐の後のよろこばしき感謝の情嵐が過ぎ、第1楽章と同じヘ長調に戻ると、演奏している団員の顔からも、厳しい表情が消え、穏やかな笑みが浮かびます。(そうなる筈です)

(注)コントラバス奏者は休憩時間も交代で楽器の傍におります。「主題って何?」等の質問があれば、お気軽に声を掛けて下さい。

(Cb. M.F)